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オムロン株式会社 Sensing Egg Project

オムロン株式会社 Sensing Egg Project

プロジェクト概要

  • 目的
    ・BtoBで提供してきた画像センシング技術を一般向けに製品化し販売
    ・製品開発段階から、ユーザに近いデベロッパーと一緒に製品を作っていきたい
  • 支援内容
    ・コミュニケーション計画策定、クリエイティブコンセプト策定、KPI設定
    ・プロジェクトのロゴ、サイト、Facebookページなどの立ち上げ
    ・デベロッパーコミュニティの形成
    ・サイト・Facebookの継続運用、定例ミーティングで検証・改善
    ・プロトタイプ公募キャンペーン実施、イベント・ユーザ会の企画、実施
  • 成果
    ・3か月で70以上の開発事例づくりに成功。
    ・外部のデベロッパーとオープンにつながったことが、社内の他部署とのオープンな関係づくりに波及。

BtoBで提供してきた技術を、一般向けに製品化するプロジェクトが始動

オムロン株式会社の「OKAO(R) Vision」は、世界中のデジタルカメラやスマートフォンに採用される世界トップクラスの画像センシング技術。2014年12月、オムロン株式会社はこの「OKAO(R) Vision」を搭載したボックスタイプの「Human Vision Components - Consumer model(以下 HVC-C))」を一般開発者向けに直接販売をすることになりました。

ユーザやデベロッパーとの共創の場作りを支援するためにロフトワークがパートナーとなり、デベロッパーをとともに製品の新しい可能性を探る「Sensing Egg Project」を始動。デベロッパーのコミュニティとともにプロトタイプ事例を生み出すことに成功したのです。

プロジェクト開始から製品発売までの時間は約2か月半。怒濤のスピードで進行した同プロジェクトを、オムロン株式会社の寺川裕佳里氏、上辻雅義氏、真鍋誠一氏、羽山圭介氏、ロフトワークの森内章と川上直記が振り返ります。

「HVC-C」は、人体検出、顔検出、手検出、顔向き推定、視線推定、目つむり推定、年齢推定、性別推定、表情推定の9種類の画像センシング機能を有する、人を認識する画像センシングデバイス。画像は15年9月発売予定の「HVC-C2W」

森内(ロフトワーク):改めて、プロジェクト立ち上げ時の背景をお聞かせください。

寺川(オムロン株式会社):機器に取り付けるだけで人の状態を認識できる画像センシングコンボ「HVC(Human Vision Components)」を法人向けにリリースしたのは2014年の春。当時から「いずれは一般向け製品を」と思っており、それが形になったのが手軽に使えるボックス型の「HVC-C」です。

「HVC−C」の開発・販売にあたって、Sensing Egg Projectの実施に踏み切ったのは、「OKAO(R) Vision」という技術を社会のどこに活かすのか?ということを、我々ではなく実際にそれを使う人に考えてもらいたかったからです。でも、どう進めるべきかわかりませんでした。一緒に考え進めてくれるパートナーを探す中、クリエイターやデベロッパーのネットワークを持ち、イノベーティブなプロジェクトを数多く支援しているロフトワークという会社があると知り、すぐに相談させていただきました。

オムロン株式会社 寺川 裕佳里氏(左)、上辻 雅義氏(右)

川上(ロフトワーク):そのとき、ロフトワークに期待していたのはどんなことですか?

上辻:ユーザーに近いデベロッパーの方々のネットワークがあることももちろんですが、何より一緒に考えてくれて、間違っていることは「間違っていますよ」と言ってくれるパートナーであることですね。

「ハッカソンがやりたい!」のひとことからはじまった戦略立案

寺川:「HVC-C」の開発着手が8月末。初回のお打合せをお願いしたときは、検証サイクルを早く回しながら開発を進めつつ「販売計画をどう組み立てる?」と同時に考えなくてはいけない状況でした。

森内:そして、最初に私たちがご提案をした9月末にはもう、「10月6日にCEATEC JAPAN出展のリリースを出す」ことが決まっているという状況。そして製品である「HVC-C1B」の発売は12月19日。本当に怒濤のスケジュールでしたね。

プロデューサー 森内章(左)、シニアディレクター 川上直記(右)

川上:プロジェクトが始まった頃、寺川さんに「ハッカソンがやってみたいんです」と言われたことが印象に残っています。でも、目指すのはハッカソンそのものの成功ではありません。あくまで、デベロッパーとともに「HVC-C」によるソリューションを生み出し、「OKAO(R) Vision」の技術が世の中の役に立つものにするという道筋を大切に考えていきました。

森内:そのためイベント単発ではなく、最初の約1か月で戦略やクリエイティブコンセプトを立案し、12月の発売までの約2か月でキャンペーンやワークショップ、ユーザ会など各種の施策を実施するという提案をさせていただきました。ポイントは、それぞれのプロセスをオープンにしていく手法を取り入れたことです。

川上:「Sensing Egg Project」というプロジェクト名は、デベロッパーと一緒にセンシング技術を育てていきたいという思いをこめてつけました。

森内:時間がないなかで、一番気を配ったのはオムロンさんとデベロッパーの距離感を縮めることでした。Facebookなどで親しみある語り口で伝える、製品の企画担当者や開発者にも顔を見せていただくなどの工夫を重ね、オムロンさんがデベロッパーをサポートして共にプロジェクトを育てている空気感を作り上げていきました。

デベロッパーコミュニティを作り、プロトタイプアプリを集めるキャンペーンを実施

寺川:Webサイトも、ユーザの声や状況に対応して柔軟にバージョンアップさせてきましたね。

川上:一番最初のティザーサイトは手書きイラスト1枚だけのもの。Facebookページが動き始め、「Sensing Egg Project」の全貌が明らかになるとデベロッパー向けにデザインを変更。フェーズごとに部分的な改修を繰り返しながら最適化しています。

寺川 :Webサイトは「1年以上使う」固定的なものとして扱われるのが一般的だったのですが、このプロジェクトでは状況に応じてメッセージを発信したい思いから、サイトをこまめに作り変えることを社内で通しました。

森内 :WebサイトとFacebookページが立ち上がると、デベロッパーにプロトタイプアプリを作ってもらう「Make your own prototype」 というキャンペーンを実施しました。12月の正式販売時までに「HVC‒C」を使ったプロトタイプ事例を集めてコンテンツ化するとともに、デベロッパーコミュニティーの中で認知と存在感を高めることを目指しました。

「発売前のHVC-Cに触れて、スマートフォンアプリを開発するとベータ版と製品版を両方をプレゼント」というキャンペーン内容は非常に好評で、あっという間に応募枠が埋まりました。

川上:このキャンペーンでは、Loftworkが運営しているFabCafeが築いてきたデベロッパーとのネットワークを最大限に活用しました。Fabcafeネットワークを通じてキャンペーンの情報を、ターゲットとなるデベロッパーに確実に届けることができたのです。

渋谷FabCafeにて、HVC-Cを入手したデベロッパーが集まるイベント「Open Fab Night Sensor Special」を実施(上)。プレゼン中の中村薫 氏(左下)と、初音 玲 氏(右下)。

森内:結果的に「Make your own prototype」では、発売前に194人のデベロッパーたちに75ものプロトタイプアプリを作ってもらえました。発売前にHVC-Cを使ったアプリを一般のデベロッパーが作っている姿がWebに上がっているというのは非常に大きなインパクトだったと思います。

最終的には75ものプロトタイプアプリが集まった

目の前でユーザーが喜ぶ姿を見たことが、次期開発への自信に

寺川:発売までには、東京で2回、京都で1回、デベロッパーが集まる小さなユーザ会を開きましたね。

森内:ユーザ会にはオムロンの開発者・真鍋さんにも来ていただきました。デベロッパー目線で考えた時に、メーカーの製品開発者と意見交換することは刺激になります。またその様子をWebサイトやSNSを通じてオープンにすることで、潜在的なユーザとオムロンさんの距離感も変化すると考えたからです。オンラインでの情報発信と、オフラインでのフェイス・トゥ・フェイスの活動は両輪。オンラインとオフラインの両方の利点を組み合わせた提案を採用いただけたことでわたしたちロフトワークの強みは発揮できたと思っています。

オムロン開発者とデベロッパーの意見交換会を開催

上辻(オムロン株式会社):私は今年からこのプロジェクトに参画したのですが、もうその段階ではすでにオムロンとデベロッパーの身近な関係ができていて驚きました。これは、後から参画したからこそ一番実感できたと感じています。

寺川:ユーザ会やワークショップでは「面白い」「何かできそうだ」と反応をいただけたことが何よりもうれしかったです。社内からは「ソースコードを公開するのか?」「そもそも、オープンイノベーションってなんやねん?」みたいな声はありましたから。自分たちがやっていることが肯定されて、自信を持って次の製品開発に向かうことができました。

真鍋(オムロン株式会社):自分が携わった製品を目の前で使ってくれていることがうれしくて。特に、重度障がい者のために目の動きで文字盤の文字を認識するアプリを見た瞬間は涙があふれました。様々なデベロッパーとつながることによって、本当に困っている人が必要とするものを提供できるかもしれない。これからもっと、こういう事例が出てくるかもしれないと思うと、ひとりの開発者としてとてもうれしいです。

森内:ここまでのフェーズはゼロからの立ち上げでしたから、プロジェクトの成果や手応えは主にイベントなどのオフラインの活動の中で感じ取っていただきました。イベントに集まってくれる目の前の20~30人と交流をすることで、Webサイトにアクセスする数万人のデベロッパーが期待をしてくださっていることを理解することができます。オムロンのみなさんが、その実感値を持ってくださっているからこそ、Webをどんどん変えていくことにも同意いただけているのだと思います。

オープンイノベーションは、社内とのオープンなつながりを生む

森内:今回のプロジェクトを通して、社内からの評価に変化はありますか?

寺川:昨年末に社内でアワードをいただきました。最近は「面白いことをやっている人たちがいる」と認識され、社内から「こんなものを作れない?」と声がかかることも。外部とオープンにつながろうとしたことが、社内とのオープンのつながりに役立つ可能性を生んでいます。実は、新しいチームメンバーの羽山は社内公募制度に手を挙げてわたしたちのチームに加わってくれることになりました。

オムロン株式会社 真鍋 誠一氏(左)と羽山 圭介氏(右)

羽山:寺川さんに「HVC-Cにこういうアイデアどうですか?」と話しかけたら、「ちょうど今、募集しているよ」と言われたので、軽い気持ちで参加しました(笑)。この技術の先には困っている人がいると思っています。困っている人たちが本当に解決したいと思う課題を、オムロンだけでなくデベロッパーのコミュニティと一緒に解決していきたいですね。

森内:オムロンさんがコミュニケーションをオープンにしたからこそ、共感したデベロッパーが「じゃあやってみようよ」と好意的に興味を持ってくれました。そこからデベロッパーが動き出す力が生まれ、あれだけの数のプロトタイプ事例に繋げることができました。みなさんがその事実に感動してい ただけたことは、まさしくオープンイノベーションのコアとなる熱量。引き続き、このプロジェクトの最終的なゴールである「人に寄り添える機械が出てくる世の中」に至るためのサポートをしたいと思います。

真鍋:HVC-Cの新バージョン製品では、ファームウェアアップデートができる予定。バージョンアップすれば最新の機能を手に入れられるようになり、長く使っていただけると思います。

寺川:私たちは機器メーカーですが、メーカーだけでものづくりをしていると独りよがりに陥ることもあります。だからこそ、製品開発と同時にユーザと共に製品を作るコミュニティも育てたいのです。今後も、ロフトワークの力を借りながらやっていきたいと思っています。

川上:ありがとうございます。こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします。

関連リンク

お客様の声

オムロン寺川氏

オムロン株式会社エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネスカンパニー アプリケーションオリエンティド事業部 事業推進部 HS企画課 課長
寺川 裕佳里氏

私たちは機器メーカーですが、メーカーだけでものづくりをしていると独りよがりに陥ることもあります。だからこそ、製品開発と同時にユーザーと共に製品を作るコミュニティも育てたいのです。今後も、ロフトワークの力を借りながらやっていきたいと思っています。

オムロン上辻氏

オムロン株式会社エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネスカンパニー アプリケーションオリエンティド事業部 事業推進部 HS企画課 主査
上辻 雅義氏

私は今年からこのプロジェクトに参画したのですが、もうその段階ではすでにオムロンとデベロッパーの身近な関係ができていて驚きました。これは、後から参画したからこそ一番実感できたと感じています。

オムロン株式会社 真鍋 誠一氏

オムロン株式会社エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネスカンパニー アプリケーションオリエンティド事業部 事業推進部 HS開発課 主査
真鍋 誠一氏

自分が携わった製品を目の前で使ってくれていることがうれしくて。特に、重度障がい者のために目の動きで文字盤の文字認識するアプリを見た瞬間は涙があふれました。様々なデベロッパーとつながることによって、本当に困っている人が必要とするものを提供できるかもしれない。これからもっと、こういう事例が出てくるかもしれないと思うと、ひとりの開発者としてとてもうれしいです。

オムロン 羽山 圭介氏

オムロン株式会社エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネスカンパニー アプリケーションオリエンティド事業部 事業推進部 HS企画課 主査 博士(工学)
羽山 圭介氏

この技術の先には困っている人がいると思っています。困っている人たちが本当に解決したいと思う課題を、オムロンだけでなくデベロッパーのコミュニティと一緒に解決していきたいですね。

制作チーム

このサービスに関するお問い合わせ

Akira Moriuchi

MTRL KYOTO プロデューサー
森内 章

オムロンさんがコミュニケーションをオープンにしたからこそ、共感したデベロッパーが「じゃあやってみようよ」と好意的に興味を持ってくれました。そこからデベロッパーが動き出す力が生まれ、あれだけの数のプロトタイプ事例に繋げることができました。みなさんがその事実に感動してい ただけたことは、まさしくオープンイノベーションのコアとなる熱量。引き続き、このプロジェクトの最終的なゴールである「人に寄り添える機械 が出てくる世の中」に至るためのサポートをしたいと思います。

Naoki Kawakami

シニアディレクター
川上 直記

プロジェクトが始まった頃、寺川さんに「ハッカソンがやってみたいんです」と言われたことが印象に残っています。でも、目指すのはハッカソンそのものの成功ではありません。あくまで、デベロッパーとともに「HVC-C」によるソリューションを生み出し、「OKAO Vision」の技術が世の中の役に立つものにするという道筋を大切に考えていきました。

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