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石垣島の物語の再編集 USIO DESIGN PROJECT #3

石垣島の物語の再編集 USIO DESIGN PROJECT #3

石垣島の物語の再編集 USIO DESIGN PROJECT #3

年間100万人以上が訪れる人気観光地、石垣島。「大切な環境を維持したまま、みんなから愛され続ける場所でいられるだろうか。」という問いからスタートし、これまで2年間にわたり、石垣島の魅力を外部目線から再発見し、発信するUSIO DESIGN PROJECTを実施してきました。最後の年となった3年目のテーマは「再編集」。地元の編集者の協力のもと、これまで再発見してきた石垣島の魅力を、国内外より多くの旅行者へ伝えるため、Webサイトと冊子にまとめました。

石垣島へ訪れた旅行者へ新たな「旅の視点」を提供し、一過性ではなく、島の魅力がずっと発見され続ける仕組作りに挑戦した、「地域×デザイン」プロジェクトです。

プロジェクト概要

  • 課題/目的
    ・過去2年間の「USIO DESIGN PROJECT」で特定の層に深く届けていた情報を、もっと広い層に届けたい
    ・LCC就航など着地型観光が増加、本当の島の魅力に気づかない観光客が増加している
    ・プロジェクトオーナーでもある「石垣市」が、自走できるサステナブルな仕組みを作る
  • アプローチ
    ・石垣島らしい体験にフォーカスしたWebサイト「ISHIGAKI NOW」の企画・制作
    過去2年間のプロジェクトで再発見した石垣島らしさが詰まった旅体験をガイド
    ・多様な外部目線をもったプロフェッショナルな編集チームづくり
    ・台湾人観光客へ向けた全記事の繁体中文翻訳
    ・プロジェクトを通じて撮りためた写真を、クリエイティブ・コモンズライセンスで公開
    ・Webサイトへの誘導として、旅の開始点で配布される冊子「ISIGAKI NOW / journal」の企画・制作
    ・USIO DESIGN PROJECT終了後までも見通した持続可能性の高いプロジェクトデザイン
  • 成果
    ・メディア掲載数 32メディア
    ニュース・一般紙 32
    海外メディア 7
    国内デザイン系メディア 10

    ・受賞歴
    1. 日本タイポグラフィ年鑑 2015 入選
    (パッケージ部門,ロゴタイプ・シンボルマーク部門)[玄米乳]
    2. 日本パッケージデザイン大賞 2015 入選 (一般飲料部門)[玄米乳]
    3. 日本パッケージデザイン大賞 2015 入選 (食品部門)[あんまぁーのアンダーミシュ]
    4. 日本パッケージデザイン大賞 2015 入選 (一般飲料部門)[庭のハーブティ]
    5. 離島フェア 2014 沖縄県優良特産品 [にごり黒糖ジンジャーシロップ]
    6. NY Type Directors Club年鑑2015 入選 [玄米乳]

体験にフォーカスしたWebサイト「ISHIGAKI NOW」

島にいる人が、島を感じるWebサイト

観光地である石垣島の情報は、ガイドブックやWebサイトが既に数多く存在しています。ISHIGAKI NOWが目指したのは、スタンプラリーのようにガイドブックに載っている点を巡るのではなく、その場所でどんな風にどんな視点で過ごすのが石垣島らしいのかを一般旅行者に届けることです。

島内の無料Wi-Fiのエントランス画面からの誘導や、Webサイト訪問の時間帯に合わせたお薦めコンテンツの表示など、その瞬間瞬間で、新たな石垣島らしさを感じるための視点を得てもらい、より深く石垣島を体験してもらうことを目的としています。

Webサイト左上のエリアには、ライブ感の演出として、現在の気象情報や月齢情報を表示。特に月齢は月の満ち欠けが生活に密接に結びつく石垣島ならではの営みを表現するために、APIで取得し、リアルタイムに更新されます。

多様な目線をもったプロフェッショナルな編集チーム

プロジェクトを通じてのキーワードとなっていた「多様性」「外部視点」に沿ってクリエイターチームを結成。外国人の視点や旅人の視点として、「地上で読む機内誌」をコンセプトにした雑誌『PAPERSKY』編集長のルーカス氏や、石垣島内の視点として、島内に編集部を置く雑誌『モモト』のライター松島由布子氏、アジアからの観光客のインバウンドに造詣が深い北海道のディレクション&制作チーム「Gear8」と取り組みました。国内外の様々な魅力を発信してきた経験をもとに、1週間で50記事の現地取材を行いました。

繁体中文での情報発信。台湾へのラブコール

沖縄本島よりも台湾に近い石垣島には、年間25万人以上の台湾人観光客が訪れます。昔から文化的な交流も多い台湾からの旅行者にも、より深く石垣島を知ってもらうために、全てのコンテンツを英語ではなく繁体中文でも展開しています。

誰もが無料で使える写真ライブラリー

3年間のプロジェクトで撮りためた中から厳選した400枚の写真を再編集し、CC(クリエイティブ・コモンズライセンス)で公開するフォトライブラリーを用意しました。色や場所、カテゴリーなど様々な条件で検索を可能にし、島内外からの情報発信の際に誰もが使える素材として提供。また、石垣市観光文化課が外部からの問い合わせに応じて活用する広報ツールとしても想定しています。

「今」石垣島にいる人のための観光ガイドブック ISIGAKI NOW / journal

本当の石垣島を「旅の発着点」で知る。

石垣島を訪れた旅行者が、いわゆる名所だけを足早にまわるような旅をするのではなく、その場の空気やストーリーをじっくり味わう視点を提供するために、新たに紙冊子の「ISHIGAKINOW / journal」を発行しました。旅の出発点での気付きを提供するために、空港や港、ホテルなどで配布しています。

さらに、島内を旅するときにもカバンに入れやすいサイズ感と島内で撮影した色鮮やかな写真を起用し、情報誌ではなく写真集をイメージしたシンプルなデザインは、様々なリーフレットが置かれた観光案内所でも、一目見た瞬間に手に取りたくなる効果を狙っています。持って帰りたくなるクオリティーを追求することで、旅が終わっても周りの友人や家族への波及効果も期待しています。もちろんWebサイト同様、記事はすべて繁体中文が併記されています。

持続可能性へのアプローチ

CCで無料公開した写真のライブラリは、個人や法人を問わずプロジェクト終了後も写真が利用してもらえる仕組みです。外部サービスであるflickrと連携することで、クライアントである石垣市役所が今後も継続的に写真を追加することも可能です。

また記事コンテンツは、地元の雑誌編集部である「モモト編集部」と共同で制作しているため、ロフトワークがプロジェクトを離れても島内だけで新たな記事を作り続けることが可能になっています。

頻繁にWebサイトの更新ができなくても、Instagramのハッシュタグ(#ishigakinow)を読み込んで表示させることにより、石垣島の「今」がリアルタイムに届けられる仕組みになっています。

ISHIGAKINOWのWebサイトやISHIGAKINOW / journal(冊子)で実施された多くのアクションは、プロジェクト自体が終わりを迎えた後も、無理のないペースで継続することができるなど、持続が可能であることを強く意識してデザインしています。













ディレクターインタビュー

プロジェクトを終わらせるプロジェクト?

─ 今年のUSIO DESIGN PROJECTは、どのようなきっかけで始動したのですか?

寺井:
これまでの活動を通じて、取り組みやプロダクトの評価は得られていましたが、情報が届いている範囲が限定されるよね。と石垣市役所のみなさんと話をしたのが起点になっています。今までストーリーやプロセスにこだわって伝えてきましたが、それだけでは伝えきれない、「美味しそう〜とか、いい匂い〜とか、行ってみたい〜」をもっと伝えたいと思いました。

これまでの2年間でやってきたのは、どちらかというクリエイターや、アーリーアダプターな人たち向けのメッセージになっていましたが、同じ素材を使って、いわゆる一般旅行者に届くような翻訳をして届けよう。ということで3年目のプロジェクトである「ISHIGAKI NOW」がはじまりました。

シニアクリエイティブディレクター 寺井 翔茉

ただ一般旅行者向けと一言でいっても、石垣市役所のみなさんもロフトワークも、もうどっぷり石垣側の視点になっていたので、外部からの視点を入れる必要がありました。そこで、雑誌という形で「広く届ける」ことに取り組み続けているPAPERSKY※の編集長に入ってもらい、我々に足りない部分を補ってもらっています。彼らの嗅覚や取材先をセレクトするさじ加減で、コンテンツを作ってもらっています。

※PAPERSKY(地上で読む機内誌というコンセプトの雑誌 : http://www.papersky.jp/

それから、今回のプロジェクトは、プロジェクトの終わらせ方にも挑戦しています。

以前プロジェクトに関わっていた中田一会さん(2015年までロフトワークに在籍)が、「地域プロジェクトの終わり方」というタイトルで記事を書いていました。プロジェクトの終わらせ方はずっと考えながらやっていたことなので、記事を読んだ時に、最後一緒にやってないのに、どうして考えてることがわかるんだろう。とびっくりしました(笑)

─ なるほど。プロジェクトが終わっても、どのうように続いていくかを考えるプロジェクトでもあったんですね。

寺井:
そうです。Webメディアみたいに頻繁な更新がなくても、生きていて、仮に続けられるとなってもちゃんとアップデートしていける仕組みのデザインです。

Webサイトや見え方の設計はもちろん、プロジェクトの運営体制としても沖縄の地元雑誌であるモモトの編集部と一緒に作ることで、ロフトワークが抜けても、島の中でトーン&マナーが共有され、石垣市役所のみなさんを中心に情報がアップデートしていけます。

─ 一過性の企画ではなくて、きちんと地元の人たちが自走できる仕組みを作ったということですね。

寺井:
千晶さん(ロフトワーク代表取締役 林千晶)と最初にはなしていたのは、USIOっていう名前がなくなっても続けられるようにやろうよ。ということで、USIOという名前ありきじゃなくてちゃんとものが残っていくようにしようと。

続いていくという視点では、Instagramにも挑戦しています。Instagramの#ishigakinowがサイトトップに表示されるので、サイト自体更新がされなくても「今」のリアルな石垣島を感じられます。また市役所のみなさんが島内で「インスタやってるので#ishigakinowでアップしてください〜」と島民/旅行者に声をかけるネタとして機能することも想定しています。その為に#ishigakinowを紹介するカードも作りました。

サイト自体の更新は2016年3月で止まっていますが、#ishigakinowは1700件以上も投稿されていて、中には2000件以上のいいねがついているコンテンツもあります。

“島の中で見る”という体験のデザイン

─石垣島の魅力に気付いてもらい、実際に島に行き体験してもらいたいということですね。

寺井:
もちろんそれもありますが、実はこのサイトは石垣島に来る前に見るためには作っていません。島の中で見て欲しいんです。もちろん別に事前にみてもらうのは全然構わないのですが、メインはそこではありません。

島で、あ。なんか時間余ったけどどうしようかな。とか、格安航空会社でノープランで来てなにしようかな……。となった人とか。その場で何か調べた人がこの情報にアクセスして、こういう過ごし方すればいいのか。というちょっとしたお手本になるようなイメージです。

─ なるほど。でも「石垣島」で検索しても出てこないですね。

寺井:
検索で「石垣島」はビッグワードすぎて検索結果には出てきません。でも、そこもちゃんと考えていて、そのために手に取れる冊子を一緒に作っていたり、島内の無料Wi-Fiのスタート画面にバナーを貼ってもらってサイトへの導線を確保したりしています。島に到着してWi-Fiを拾うと、まずこのサイトへの導線があります。

─ SEOで勝たなくていいっていうのは面白いですね。

寺井:
笑。これだけの観光スポットかつビッグワードです。SEO業者がしのぎを削っていてもおかしくないところで、新しいサイトを作って勝負しても勝てるもんじゃないですからね。

─だからターゲットは島にすでにいる人にしたということですね。

寺井:
例えば中国や台湾からクルーズ船で、多くの旅行者が石垣にきます。大型バスで島内の主要スポットをまわり、大きな食堂で一斉にごはんを食べる。この消費される旅をなんとかしたいと思いました。

彼らが島に着いた時に、こんな楽しみ方があるんですよって気付いてもらって、じゃあもうバス乗らないで好きに島内をまわろうとか、次来るときは個人旅行でゆっくりしにこようっていうきっかけを提供したいと考えました。

台湾にいる人に、このサイトを見て石垣どう?って訴求してもまだまだ距離がありますが、実際に島に来ている人には、ちゃんと深くまで届けられるし、記憶に残してもらえるのかなと。

だから、冊子も何でもかんでも情報を詰め込むのではなく、写真集みたいな形で作っています。ホテルでチェックインして部屋に入った時に、ベッドの上にぽんっておいてある。それをバラバラバラと見ると、綺麗だなと思ってもらえるし、なんかこれやってみようかなっていうのが最初のきっかけになったり。

さらに持ち運びやすいサイズも意識していて、持って帰ってまた見たいなとも思ってもらえるところまで考えています。

長期的な関係の中で見えた本質的な問い

─ CCライブラリを作ったり、島で見つけてもらうっていう考え方だったり、冊子を持って帰ってもらうっていう作りだったり。終わっても残る、続くようにというのがすごく考え抜かれているのですが、これらが続いていくためのアイデアの種はどこから生まれたのですか。

寺井:
カラダのなから湧き上がって……というわけではなく、ずっと、市役所の小笹さん翁長さんや石垣市のみなさんと飲んだり話したりいろんな活動をしていく中で、これじゃダメだね、こうしたいよね。みたいなものから自然にでてきた感じです。「サステナブル」であることを要求されていたわけではないんです。

もちろん私もできれば続けていきたいと思っていますが、3年の節目は大事だから一度終わりにするというのにも賛成でした。石垣市役所側でも、続けられるか不安に思うところもあったので、予算やリソース的にも無理せずに続けられるプロジェクトのサイズも考えました。

─ ゴールを決め過ぎないというのもよかったのかもしれませんね。この目的に向かってみんなでゴーっていうゴールを決めてしまうと、出てこないアイデアが結構ある気がします。

寺井:
納品物を何にするか。という話ではありません。冊子も依頼があって作ったわけではなく、お互い共有している大きな目的のために、じゃあ冊子作ったほうが良いよね!となっています。普通のお仕事だとなかなかこうはなりませんが、この3年間コミュニケーションはかなり頻繁にとっていました。メンバーから仕事に関係ないことがLINEで来たりするレベルです(笑)

でも、こうやって長く密にやり取りする中で、何を作るかや、本質的に考えなければいけないことがおのずと共有されていったと思います。

─ なるほど。本質的な問いが長期的なやりとりの中で見えてきたのですね。このプロジェクトは今回でいったん終了となっていますが、またどこかで続いていきそうですね。

ISHIGAKINOW / journal プレゼント

本事例で紹介した冊子「ISHIGAKINOW / journal」をご希望の方に、お送りいたします。実際に手にしたい方は申込みフォームよりお申し込みください。

数量限定ですので予告なく終了する可能性がございます。また、お申し込みいただいてから順次配送作業を行いますので、お時間をいただく場合がございます。予めご了承ください。

お申し込みは締め切りました。

お客様の声

翁長隼大

石垣市役所企画部観光文化スポーツ局観光文化課
翁長 隼大

寺井さんを空港で迎えるなり、山に登らせたり、崖を下らせたりと、ハードな島めぐりの記憶が色濃く焼き付いています。

1年目の小笹さんから受け継いだUSIO Design Project。ゼロからコトを起こすことの大変さを味わうことができました。10数年あまりをシステムエンジニアとして、動くか、動かないか、白黒はっきりした世界にいた私が、正解のないことを想像して仮定して、これで行こう!と決めた、2年目、そして3年目のUSIO Design Project。私にとっては、とても大きな挑戦でした。

外部目線を取り入れて、島の魅力を再発見する本プロジェクトを通して、今、私たちに足りないもの、これからやってみたいことが見えてきました。いつも隣にいたUSIOメンバーの存在はとても心強かったです。

3年目の取材で、寺井さんが言った言葉がずっと残っています。プロジェクトってその人の個性が出てくるものですよ。小笹さんは小笹さんの、翁長さんは翁長さんの色が出てくるんです。小笹さんなら絶対山に行かないし、崖も下らないし、自転車にも乗らなかった。そんな風にプロジェクトの端々にその人の個性が出てくるもんなんです。

この言葉を聞いて、小笹さんだったら〜と心のどこかにあった、小笹さん目線から一歩前に進めた気がしました。3年目、私たちUSIO Design Projectは、冊子を作りました。日本語と台湾で使われている繁体字の2か国語で。
ステキな写真の数々と味わいのある手触り感。これぞUSIOテイスト。その美しさのあまり、私は、冊子を数冊取り、職場内を周りました。冊子の出来栄えを自慢しに。一番嬉しかった感想は、私たちはこんなに素晴らしい島に住んでいるんですね〜というコメントでした。中にいると忘れてしまいがちな島の魅力。それを再発見することが、USIO Design Project。このプロジェクトは、大成功でした。

そして、公募から4年目の2016年夏には、紅いもパイ、ツナフレークの販売が開始され、これで10アイテムすべてが日の目を見ることができました。270km西の小笹さん、2,000km北の寺井さんも大変苦労したことと思うと同時にその分、歓びも一入だと思います。石垣島、台湾、そして東京。今は離れ離れではあるものの、そこがまた新たな潮のきっかけにもつながるかなあとぼんやり思っているのです。

小笹 俊太郎氏

石垣市役所台北駐在員
小笹 俊太郎

いま僕は台北で仕事をしていますが、このプロジェクトがキッカケになったとも言えると思います。僕ら石垣島にとっては、那覇よりも近い “おとなりの台湾” からの視点は、プロジェクト第1弾から大切にしてきました。

USIO Design Project からうまれたプロダクト、ISHIGAKI NOWで再編集された石垣島の物語も、台湾の皆さまからとても興味を持ってもらっています。

台北の人気店 “好丘” で特集コーナーを設けてもらったり、台湾の地方政府からプロジェクトのプロセスなどについてお問合せを頂いたりもしました。単純に“旅行地”という対象としての興味ではなく、いろいろな角度から気持ちを寄せてもらう事ができたと感じています。

ロフトワークさんとは、とてもワクワクお仕事できました。
変な言い方ですが、同じチームという感じで、一緒にいろんなチャレンジができたと思っています。カラフルかつ聡明、そしてフレンドリー。理想的です。
非常感謝★

石垣市役所とのパートナーシップ

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