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「WORK MILL」 コンセプト/VIデザイン・Web構築・グロース戦略

「WORK MILL」 コンセプト/VIデザイン・Web構築・グロース戦略

未来のはたらき方を描く ― オカムラとつくる社会性に富んだ新規事業プロジェクト

オフィス家具の製造・販売だけでなく、あらゆる空間を快適な環境へと導いていくためのコンサルティング及びデザインも手がける株式会社岡村製作所(以下、オカムラ)。「日本の新しいオフィス文化をつくる会社になろう」というビジョンから、オカムラは2015年、新たにこれからの働き方を考えるプロジェクトを発足しました。ロフトワークは立ち上げ時期からプロジェクトに参画して、オカムラのプロジェクトメンバーといっしょに、新しい価値をつくるためのお手伝いを続けています。

プロジェクトの最初のステップとして、オカムラのビジョンと新しい価値を世の中に送り出すためのWebメディアを立ち上げました。その名も、「はたらく」の見方を変えて、価値を挽き出すオウンドメディア『WORK MILL』。日本社会に向けて現代に最適化された働き方を提案するべく、ロフトワークは『WORK MILL』の企画・運営を、立ち上げ前のコンセプト設計の段階から現在に至るまで、継続的に支援しています。

プロジェクト概要

  • 支援内容
    ・プロジェクトコンセプトの策定/VIデザイン
    ・Webメディア構築
    ・『WORK MILL』(http://workmill.jp/)編集方針策定/運用
    関連サービス
    Web戦略策定
    メディアサイト構築
    体制
    ・クライアント:株式会社岡村製作所
    ・プロデューサー:柳川 雄飛
    ・プロジェクトコンセプト/VIデザイン:シニアディレクター 重松 佑
    ・Web:クリエイティブディレクター 藤野 清太郎
    ・コンテンツ戦略:クリエイティブディレクター 原 亮介
    ・コンテンツプランニング/マネジメント:クリエイティブディレクター 関口 智子吉澤 瑠美
    ・テクニカルディレクター:丹羽 孝彰
    パートナー
    ・プロジェクトコンセプト/VIデザイン:アートディレクター 菅原大介(Ligh.
    ・Web:デザイン 依田 樹彦、コーディング 島袋 直和
    ・メディア編集方針策定:モリ ジュンヤ(inquire Inc.
    ・イラストレーター:野中 聡紀

クリエイティブ/プロセスの詳細

“「はたらくを作る」ではなく「はたらくを生む」でもなく「はたらくを描く」になったのは何故だろうと。
夢を描く、理想を描く、絵を描く、など多くの場合「描く」は自分自身の
内面にある形の定まっていないモノゴトを、外に向けて表現する際に使われます。
今回「はたらくを描く」という言葉に決まったのは「はたらく」は他人に与えられる
ものではないというメッセージが込められていると、私たちは解釈しています。”

立ち上げ時、メディアを作ることが目的ではなく、これからの「新しいはたらき方を描く」プロジェクトとして捉え、広い視野でプロジェクトコンセプトを策定。


プロジェクトコンセプトの策定/VIデザイン

コンセプト策定/VIデザインのすすめかた

情報発信のためのプラットフォームをつくりはじめる前に、プロジェクト全体の目指す方向を明確にするため複数回のディスカッション・ワークショップを行いました。「オカムラとしてなにを伝えたいのか」という目的意識と、プロジェクトの中でのメディアの機能・位置づけをメンバー全員で共有していきました。

両社プロジェクトメンバーでのディスカッション

ワークショップではさまざまなステークホルダーを巻き込んで実施

このプロジェクトで目指す方向性を丁寧に言葉にしていきました

配色など細かく調整され完成したWORK MILLロゴ

プロジェクトのコンセプトとVIデザインはシニアディレクター重松がディレクション、Ligh.の菅原大介さんがデザインを担当。VIデザインは、安野光雅の絵本『ふしぎなえ』にインスピレーションを得て、既成概念を超えて自由な発想を生み出すプロジェクトのコンセプトにあうビジュアルを実現しました。

Webメディア構築

これからの「はたらく」を、 様々な視点でキュレーションし発信していくというコンセプトから、ランキングなど情報の押し付けでなく、雑誌をめくるような感覚でフラットにコンテンツに触れてもらうために、新着順以外の運用者側の恣意的なキュレーション機能を排した構成。VIデザインのブルーグレーを背景に、ロゴの世界観を強調しています。

編集方針策定/運用

原を中心にWORK MILLの編集方針や、企画運用のプロセスなどを整備。編集方針策定フェーズでは、外部アドバイザーとしてinquire Inc.のモリ ジュンヤさんを迎え、WORK MILLで発信すべきメッセージやターゲット、メディアでつくる世界観を細かく設定。

原は編集チームのリーダーとして、コンテンツをつくる際に記入する企画シート/編集チームのコミュニケーションツール/編集会議体のデザイン/毎月のコンテンツ戦略など、WORK MILLを継続的に成長させるためのさまざまなプランニングをしていきました。

記事では「はたらき方を描く」というコンセプトをさまざまな人・テーマで紹介。オカムラ、ロフトワーク両社の編集チームが取材対象やテーマのアイデアを持ち寄り、WORK MILLらしいものを選びながら着々とコンテンツを増やしています。

記事のディレクションとマネジメントは、関口、吉澤が中心になって担当。ネットワークを活かして多彩なライター、フォトグラファーとコラボレーションしながら制作を進めています。記事の内容をわかりやすく伝えるイラストは野中聡紀さんがデザインを手がけています。

クリエイターコメント

菅原大介

Ligh. http://www.ligh.jp/

どのようなサービスや商品でもそれ自体を考え、つくり出すのはその企業で働く従業員です。企業を人で考えてみれば、顧客へと届く商材は外とつながる体であり、それをつくる従業員や働く環境は心と考えられそうです。

WORK MILLとは企業の心を考える事と言っても、大袈裟でないように思います。人も様々、企業も様々、働く環境もまた様々であるべきです。

不思議な絵のように重力から解放された、この立体のロゴのように、自由に予想もつかない角度から様々な働くを見つけてほしいと思います。

モリ ジュンヤ

inquire Inc. https://inquire.jp/

メディアを運営していく上で大切なことは、関わる人々が目的や想いを共有することです。今回は複数回に渡ってディスカッションやワークショップを重ね、関わっているメンバーのプロジェクトへの深い理解が伺えました。あとは、メディアとして実際に形にしていくだけ。そのためのサポートが私の役割でした。

世界観やコンセプトがある程度定まっていれば、プロトタイピングしながら編集方針やコンテンツを策定していきます。編集方針を元にコンテンツ案を考え、生まれた具体的なコンテンツ案を編集方針に反映させる。互いを行き来しながら、それぞれをブラッシュアップしていくお手伝いをさせていただきました。はたらき方は、私にとっても重要なテーマ。WORK MILLを通じて、新しいはたらき方を描ける人が日本に増えてくれると嬉しいです。

野中聡紀

http://t-nonaka.jp/

WORK MILLの記事は「仕事」をキーワードに新しい取り組みにチャレンジするひとのインタビューが中心です。取材対象のユニークな考え方や経験を綴った原稿なので、いつも楽しく読んでいます。

WORK MILLの記事はどれも既存のひな型に当てはまらない新しい内容のため、イラストで可視化していくプロセスは簡単ではありません。イラストレーターはその記事を深く理解しなくてはなけませんし、その上でどの文章をイラストレーションにすべきか、どのキーワードを強調すべきか、どんなメタファーを使うかなど、いくつものハードルを超えてようやく絵を描くことができます。

毎度、ぼくの理解の足りないところを、ロフトワークやオカムラの編集チームに助けてもらいながら作成しています。WORK MILLのイラストレーションが記事の印象を深め、理解を促すものになっていたらうれしいです。

プロジェクトメンバーの対談

「新しいはたらき方を描く」 ─ プロジェクトのコンセプトに込められた想い、それはオカムラのプロジェクトリーダー遅野井さんが長いキャリアの中で一貫して持っていた課題感と深く関係がありました。WORK MILLプロジェクトはオカムラの、そして遅野井さんのどんな想いから生まれ、それをどのようにロフトワークと共につくっているのか。プロジェクトメンバーの遅野井さん、山田さん、谷口さん、ロフトワーク柳川、原でいままでのプロジェクトを振り返ります。

テキスト:西山武志
写真:岩本良介


“日本の働き方を変えたい『WORK MILL』に込められた想い”

岡村製作所 マーケティング本部 ソリューション戦略部 未来企画室 遅野井宏さん(写真中央)

柳川(ロフトワーク):遅野井さんとは今回のプロジェクトを始める以前からお付き合いがありましたが、当時から「働き方」の研究をされていましたよね。なぜ、岡村製作所で新しい働き方について取り組んでいるんですか?

遅野井(岡村製作所):私は前職で十数年間、日本のものづくりの最先端の現場を見続けてきました。その技術力は本当に素晴らしいのですが、社内の働き方に注目すると「どうしてこんな旧来的で非効率な方法を選ぶんだろう」と感じる瞬間も、少なくありませんでした。そんな課題感が募った結果、2011年の夏に「よりよい働き方」の研究をするため、大学院に行く決意を固めたんです。今まで蓄積してきた経験や問いを、体系的に整理して修めようと。

柳川:最初にいた電子機器メーカーから、ソフトウェア会社に転職したのも、同じ時期でしたよね?

遅野井:そうですね。この頃は、IT周りを中心とした事業コンサルタントとしての仕事が主でした。その業務の一環として、さまざまな会社のオフィスを訪問させてもらいました。さまざまなコワーキングスペースを訪れて、洗練された空間に、それぞれ専門性を持った人たちが集まって、新しい仕事を生み出している様子をみたら「働く場所を変えれば、現代の日本の働き方をアップデートできるはずだ」と感じて、大学院での研究テーマを「コワーキングスペース」にしたんです。

柳川:弊社が手掛けた「KOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)」に足を運んでいただいたのも、そうした背景があったからなんですね。

遅野井:KOILがオープンしたのは、私が岡村製作所に移ったタイミングでした。柏市民でありコワーキングを研究している自分が、KOILに行かない手はないと思って。そこで初めてロフトワークの皆さんと出会ったんです。メンバーの個性が豊かで、仕掛けていることの一つひとつが面白い。「いつか一緒に仕事ができたらいいな」と感じました。

関連リンク



“メディアをつくることを目的にしない、本質的な課題解決を目指して”

柳川:遅野井さんが岡村製作所に移籍された頃から、岡村製作所では『WORK MILL』の原型となるプロジェクトは動き出していたんですよね。

遅野井:当時から「世の中への情報発信を強化していこう」と動き始めていました。“顧客”対“企業”という枠組みを超えたファン・コミュニティを作るためには、外にひらいたコミュニケーションが不可欠ですからね。2015年1月、この動きが具体化して新しいプロジェクトが発足しました。キックオフの場で、社長は「日本の新しいオフィス文化をつくる会社になろう」と宣言。この言葉をもとに議論を重ね、プロジェクトの事業ステートメントが“DRAW YOUR WORK―はたらくを描く”と決まったんです。

柳川:僕たちがプロジェクトに参画したのは、この事業ステートメントが決まる前後くらいからでしたね。遅野井さんから「情報発信のためのプラットフォームを作りたい」とご相談を受けたのを覚えています。

山田(岡村製作所):当時、弊社が自主的に発信できる機会は、展示会くらいしかなく、まずは、自社の思想や主張を表現できる場づくりが必要だと考えました。漠然とですが、「Webメディアを持つのがいいのかな」という思いはありましたね。ただ、それでロフトワークに相談をしたら「本当にWebメディアでいいのか」という投げかけをいただいて、ちょっとビックリしました。(笑)

柳川:弊社でも「Webメディア/オウンドメディアを作ってほしい」という相談がよくあります。ただ、具体的にお話を聞いていると「メディアを作ること」が目的化しているケースが少なくありません。メディアとは、何かを伝えるための“手段”です。伝えるべき“目的”が明確になってないと、いくら見栄えのよいメディアを作っても、宝の持ち腐れになってしまいます。だから、「『メディアを作ってほしい』という依頼が来たから、メディアを作ろう!」とすぐに動いてしまうのは、クライアントにとっての本質的な問題解決につながらないんです。

遅野井:だから、プロジェクトの目的について、あらためてロフトワークと整理をしていきました。結果的に、メッセージを発信するためのWebプラットフォームをつくるという方針には落ち着きましたが、あそこで原点に立ち返る時間があったから、いまの『WORK MILL』に広がりが生まれているのだと感じています。『WORK MILL』という名前も、この議論の中で見えてきましたしね。

柳川:初期の段階で「これは“メディアを作る仕事”ではなく、『WORK MILL』という名の“働き方を変えていくプロジェクトを作る仕事”だ」という意識を、プロジェクトメンバーが明確に持つことができました。Webメディアは『WORK MILL』プロジェクトの一つのステップであり、ここからさらに立体的なプロジェクトをつくっていこうと考えていました。

原(ロフトワーク):私も、最初から「メディアをつくる」とアサインされたわけではなく、「プロジェクトをグロースさせてほしい」という目的で招集されたんです。プロジェクトの中の、いくつかの並行した流れのひとつにメディアがある。この前提がしっかりと共有できていたからこそ、オフラインの場である『Sea』*と、オンラインの場である『WORK MILL』が共鳴して、新しい働き方を提示していく……というビジョンを持てました。

*岡村製作所が『WORK MILL』プロジェクトの一環として運営しているセッションスペース。これからのよりよい「はたらく」を模索するためのイベントを定期的に開催している。

“「何を作るか」ではなく「誰と作るか」にフォーカスしたメディア運営”

柳川:Webメディア『WORK MILL』は、2015年12月にリリースされました。それまでのコンセプト設計などでも紆余曲折はありましたが、プロジェクトとしては立ち上げてからが本番でしたね。

遅野井:オカムラにはメディア発信の経験値がまったくなかったので、「何を取り上げるべきか」「評価基準や目標値はどのように定めていくか」など、 最初はすべてが手探りでした。その点は、ロフトワークに大変助けていただきました。

:コンテンツ制作のフローについては、何度も試行錯誤を重ねながら、ここまでブラッシュアップしてきましたね。使用するツールも、必要に応じて柔軟に変えていきました。

山田:運用を始めてみて、「メディアを作ること」についての考えが甘かったなと痛感しましたね……。

遅野井:“箱”だけ立派でも、肝心の“中身”であるコンテンツが練られていないと、思いは伝わらない。コンテンツの質をどう向上させていくかは、打ち合わせの度に議論しましたね。

:その点に関しては、とにかく「岡村製作所の皆さんと同じ方向を見よう」と意識しながら、改善をしていました。そのためのコミュニケーションの時間は惜しみませんでしたね。今でも月に1回、かならず対面の定例ミーティングをしていますし、取材前後のラップアップも念入りに行なっています。

岡村製作所 マーケティング本部 オフィス研究所 谷口美虎人さん

谷口(岡村製作所):そうなんです。改善しようとしてくださるプロセスが、他の会社と違うなと感じていました。こちらの意見をしっかり聞いてくれて、ニーズに合った提案をしてくれたので。メディアの立ち上げからしばらくは、なかなか思うような成果が出ていませんでした。それでも、苦しい時期を一緒に乗り越えられたのは、ロフトワークがこちらの気持ちに寄り添ってくれたからこそだと、私は思っています。

柳川:僕ら制作サイドが注視しなければならないのは、「何を作るか」よりも、「誰と作るか」なんです。いくら、こちらが考える最高のものを作っても、それがオカムラさんにとっての“最高”でなければ、まったく意味がない。僕らが普段の遅野井さんたちの発言からインプットして、「それって、こういう問題意識を持っている、ということですよね?」「だから、ここが改善できるといいんですよね?」と、何度もしつこく意図を確認してきたおかげで、大きなズレもなく『WORK MILL』を成長させられました。

“オープンコラボレーションが、創造的な提案を生み出す”

遅野井:実際にメディアを運営していく中でありがたいなと感じたのは、ロフトワークのネットワークの豊かさですね。メディアで取り上げたいと思った人とは、大抵何かしらのつながりがあるので、取材交渉はスムーズにいくことが多いです。

谷口:『明日の広告』などの著者である佐藤尚之さんや、「CRAZY WEDDING」創業者の山川咲さんへの取材が実現したのも、ロフトワークの人脈のおかげでした。

遅野井:「顧客ネットワーク」と「クリエイティブネットワーク」を接続させることに、ロフトワークはとても長けているんだなと感じています。それぞれ1対1の関係性に終始させるのではなく、「この人たちとこの人たちが何か一緒にやったら面白そう」と、利害関係を超えた所でつないでくれる。そういった“好奇心”による巻き込みによって、他ではなかなか生まれない価値を提供しているんだろうなと。

:そうですね、弊社は新しさや面白さに忠実な人間が多いです。

岡村製作所 マーケティング本部 オフィス研究所 山田雄介さん

山田:ロフトワークは、高いレベルで“オープンコラボレーション”のできる環境が保たれているんですよね。たとえば『WORK MILL』のプロジェクトが、私たちと柳川さん・原さんの間で行き詰まったとします。そんな時には、問題点をロフトワーク社内で共有して、他のプロジェクトメンバーからの意見を集約し、何かしらのアップデートを打ち出してくれる。内部で常に部署を超えたコラボレーションが起きているのは、非常に合理的かつクリエイティブな組織体制だなと感じています。

遅野井:なんだか、会社そのものが「コワーキングスペース」みたいな会社ですよね、ロフトワークって。社内に多様性があって、それぞれの社員が一人ひとりと線でつながっている。そのかかわり合いの中で、新たな仕事が自然発生的に、次々と生まれていく……もしかしたら、ロフトワークの社内システムは、これからの日本が目指すべき働き方のマイルストーンになるかもしれないですね。そう感じさせてもらえる会社と、「働き方を変えること」をコンセプトとしたメディアを一緒に作れているのは、非常にありがたいです。

柳川:そう言っていただけて嬉しいです。僕らも『WORK MILL』の未来を考えることは、とても楽しくやらせてもらっています。引き続きよろしくお願いします。

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