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三井不動産株式会社  KOIL Kashiwa-no-ha Open Innovation Lab プロジェクト

KOIL Kashiwa-no-ha Open Innovation Lab プロジェクト

本記事は後編の事例記事です。前編は以下リンクから参照ください。

正解のないサービスをデザインすることの難しさと面白さ

ロフトワーク 松井:KOILで行った"デザイン"は空間だけではなくコミュニティ全体のデザインです。そのひとつが、KOILをで利用するためのメンバーシップのデザインです。ロフトワークでは月額の会員費の提案から会員管理システムの開発までも担当しました。

設計当初のWebとリアルを繋ぐコミュニケーションをデザインした概念図

高井(ロフトワーク):会員管理システムは、会員登録の受付から、会員情報の管理、会議室や設備の予約、利用料の算出と請求など、KOILを利用する上で必要な機能を網羅しています。最終的に実現に至っていない部分もありますが、Webとリアルの場を繋ぎ、継続的にコミュニケーションをしていくことで、成果に繋げることを考えました。

会員システム以外にも、Web、パンフレット、サービスなど、人々がオープンに交わる空間をトータルにデザインしていく上で、検討すべきことは山のようにありました。クリエイティブに関わった人数は、当社のディレクターだけで約10名、個人法人を含めて約30社に上ります。

ロフトワーク クリエイティブディレクター 高井 勇輝

当然ながら、情報共有やコントロールにはいつも以上に神経を使いましたが、プロジェクトは生き物です。関わっているクリエイターへの要求もどんどん変わっていきます。それでも、「これまでにない面白いものを作るんだ!」という共通の思いが関係者を動かし、受発注の関係を超えて、一緒に作る仲間=パートナーとして前向きに協力してくれました。

動く家具や照明、会員管理、ルームサインなど様々な人々がオープンに交わる空間をトータルにデザイン

諏訪:一番苦労したのがサービスです。空間と違って決めごとは少ないのですが、どんな名称にするか、どうやって会員を集めるかなど、サービスのありようというのは正解が見えません。常に「これでいいのか?」と自問自答を繰り返していました。サービスをデザインすることの難しさを改めて痛感しました。

ロフトワーク 松井:KOILで開催されているイベントも、当社が企画したサービスのひとつです。イノベーションを誘発するセミナーや体験型ワークショップなど、多彩なプログラムをご用意しました。一番の狙いは、KOILに足を運ぶきっかけをつくることで、KOILを知ってもらい、会員になってもらうこと。現在シリーズ開催している公益財団法人日本デザイン振興会とのコラボレーションイベント「GOOD DESIGN BEST 100とその未来」は、その目玉です。イベントが最初のタッチポイントになるとともに、本物に触れる機会を提供することで、そこから次のイノベーションが生まれることが期待されます。

日本デザイン振興会とコラボレーションした、GOOD DESIGNイベントをシリーズで開催

諏訪:KOILは、“具体的なモノをつくりコトを起こしていく実践の場”として、最先端のデジタルファブリケーションツールを揃えた「KOILファクトリー」を提供しています。そういう意味でも、日本のものづくりを支援する組織とのコラボレーションイベントは非常にシンボリックだと言えるでしょう。

アイデアを形にするための、デジタルファブリケーションツールを備えた「KOILファクトリー」

数ヵ月で来場者は早くも数千人。社内からの反響も大きく、新しい働き方を考えるきっかけに

高井:オープン後の手応えはいかがですか?

三井不動産 松井:とにかく反響がすごいですね。来場者はすでに数千人。新聞、雑誌など、さまざまなメディアでも取り上げられています。KOILからどんな事業や産業が生まれてくるのか、これからが非常に楽しみです。

弘瀬:社内からの反響も大きいですよ。長いことオフィスを手がけてきた当社の人間から見ても、KOILはこれまでの三井不動産にないものなので、時間を見つけて自主的に見学に来る社員も多いようです。また、新しい働き方を考えるきっかけにもなっていて、自分専用の席があるこれまでのオフィススタイルをやめ、フロア全体をコワーキングスペースのようにするなど、自分たちでまずは体験しようという動きも広がりつつあります。

三井不動産 柏の葉街づくり推進部ベンチャー共創事業グループ 弘瀬 愛加氏

利用者についても、会員として利用されている方はもちろん、ビジターが一時利用できる施設もあるので、かなり増えてきた印象です。会議室などは、4F、5Fに入居する企業の方々も利用されていますし、交流会なども開催されています。

高井:KOILのような“場”をさらに展開される計画はありますか?

三井不動産 松井:苦しかったことも振り返れば楽しい想い出ですが、高井さんもこの2年間は相当大変だったと思います。アイデアが山ほど出てくる一方で、限られた予算もある。その中でまだ見ぬ空間をどうマネジメントしていくか、多くの関係者をどうマネジメントしていくか。さらに、扉はこれでいいのか、ガラスはどうするかなど、それこそ椅子1個から繰り返していくわけです。柏の葉の持つ魅力と、三井不動産の本気、それに応えてくれたロフトワーク。いろんなものが揃ってKOILが出来たのだと思いますので、簡単に他に展開できるものではないですね。

高井:確かに、期間も長く、大がかりで難しいプロジェクトでした。スケジュールと予算に限りがある中で、人、モノをどう組み合わせて進めるのがベストなのか。いろんなことが手探りで進んでいく中で、変更に柔軟に対応できる余地を残しておくにはどうしたらよいか。そんなことを常に考えながら進めていました。

上流にサービスが位置し、そこからモノが作られていく新しい空間設計のあり方へ

ロフトワーク 松井:今回のプロジェクトで実感したのは、WebやITで生まれた「サービスデザイン」「デザイン思考」というメソッドがリアルな空間づくりに活かされるということです。サービスや体験をどうデザインするか。メンバーシップのDBやエントランスの認証をデザインすることもひとつの大切な要素です。緻密な計画の下、ウォーターフォール型でプロジェクトを進めていく中に、アジャイル型で作りながら変えていく力が加わると、化学反応が起こる。もちろん、社内的にはさまざまな軋轢がある中で、素早く決断し、ロフトワークのやり方やアイデアを受け入れて頂けたことで、はじめて起こせた化学反応だとは思いますが、出来上がってみて、こんなにおもしろいものが作れるんだなと改めて感じました。

諏訪:空間はもちろん建築家だけでも作ることはできます。そこでロフトワークの役割は、空間と人、人と人の接点を含めて、エクスペリエンスのデザインにコミットし、そこに新しい価値を生み出すこと。単に机を貸す、スペースを貸すだけでなく、新しいビジネスのスタートアップに参加できたり、技術的なバックグラウンドを持つ人を巻き込めたり、企業との接点が出来たり、そういう場を提供できて初めて、KOILに新しい価値を見出してもらえると考えています。

ロフトワーク 代表取締役社長 諏訪 光洋

三井不動産 松井:人が空間に入って真っ先に受けるのはサービスです。ロフトワークがこの点に着目し、建物や設備ではなく、サービスから発想をスタートさせたのは、これからの新しい空間設計のあり方を真っ先に取り込んでいる気がします。これまでのように、空間のデザインが先に決まり、設計者がカタチにし、後からサービスを付加するというのではなく、上流にサービスが位置し、そこからモノが作られていく。そういう考え方を体験させてもらったプロジェクトでした。

ロフトワーク 松井:2年間、それぞれに生みの苦しみはありつつも、とてもハッピーなプロジェクトでした。空間設計という領域で新しいエクスペリエンスのデザインに挑戦した経験は、ロフトワークとしても大きな一歩です。これからも大勢の方にKOILに足を運んでもらい、ここから日本を変える、あるいは世界を変えるイノベーションが生まれることを期待したいですね。本日はありがとうございました。

お客様の声

松井 健氏

三井不動産株式会社ベンチャー共創事業室長
松井 健氏

人が空間に入って真っ先に受けるのはサービスです。ロフトワークがこの点に着目し、建物や設備ではなく、サービスから発想をスタートさせたのは、これからの新しい空間設計のあり方を真っ先に取り込んでいる気がします。これまでのように、空間のデザインが先に決まり、決まった通りに設計者がカタチにし、後からサービスを付加するというのではなく、上流にサービスが位置し、そこからモノが作られていく。そういう考え方を体験させてもらったプロジェクトでした。

弘瀬 愛加氏

三井不動産株式会社柏の葉街づくり推進部ベンチャー共創事業グループ
弘瀬 愛加氏

社内からの反響も大きいです。長いことオフィスを手がけてきている当社の人間から見ても、KOILはこれまでの三井不動産にないものなので、時間を見つけて自主的に見学に来る社員も多いようです。また、新しい働き方を考えるきっかけにもなっていて、自分専用の席があるこれまでのオフィススタイルをやめ、フロア全体をコワーキングスペースのようにするなど、自分たちでまずは体験しようという動きも広がりつつあります。

制作チーム

このサービスに関するお問い合わせ

hajime matsui

プロデューサー
松井 創

ロフトワークではOpenCUというクリエイティブと学びのコミュニティを2009年につくり現在は7000人の学びネットワークになっています。2012年にはものづくりカフェであるFabCafeをオープンし台北、バルセロナに拡大している中で、ものづくりのコミュニティも急速に成長しています。 FabCafeで感じたのが"場"があることでコミュニティがさらに活性化すること。"場"と"サービス"が連動し、そのツールとしてWebやスマートフォンがあります。コミュニティをつくるにはWebだけでは不十分で体験全体をデザインする必要があり、空間とサービスとWebをトータルにプロデュースするほうがもっといい成果を生み出せると考えたのです。

株式会社ロフトワーク クリエイティブディレクター 高井 勇輝

クリエイティブ ディレクター
高井 勇輝

クリエイティブに関わった人数は、当社のディレクターだけで約10名、個人法人を含めて約30社に上ります。当然ながら、情報共有やコントロールにはいつも以上に神経を使いましたが、プロジェクトは生き物です。関わっているクリエイターへの要求もどんどん変わっていきます。それでも、「KOILというこれまでにない面白いものを作るんだ!」という共通の思いが関係者を動かし、受発注の関係を超えて、一緒に作る仲間=パートナーとして前向きに協力してくれました。

諏訪光洋

代表取締役社長
諏訪 光洋

空間はもちろん建築家だけでも作ることはできます。そこでロフトワークの役割は、空間と人、人と人の接点を含めて、エクスペリエンスのデザインにコミットし、そこに新しい価値を生み出すこと。単に机を貸す、スペースを貸すだけでなく、新しいビジネスのスタートアップに参加できたり、技術的なバックグラウンドを持つ人を巻き込めたり、企業との接点が出来たり、そういう場を提供できて初めて、KOILに新しい価値を見出してもらえると考えています。

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