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FUJITSU Knowledge Integration Base PLY

FUJITSU Knowledge Integration Base PLY

ロフトワークはクリエイティブと多彩なネットワークを通じたオープンコラボレーションで、クライアントの課題解決に取り組んでいます。Web、プロダクト、コミュニティ、空間など業界業種・デザインするものは多岐に渡りますが、私たちの基本姿勢はどれも同じ。

「なぜ必要とされるのか?」「誰にとって価値があるのか?」「なにが本当に大切なのか?」

本質的な問いを立て、企業の枠を超えたメンバーで徹底的に考えて、その価値を言語化していきます。事例紹介では、ゼロから価値を生み出すプロセスと、その価値にクリエイティブでどのように肉付けしていったのかを、プロジェクトメンバーの対談を通じて読み解きご紹介します。

プロジェクト概要

富士通株式会社は2015年に発表したインテグレーションコンセプト「FUJITSU Knowledge Integration」を具体化させるひとつの取り組みとして2016年5月23日、同社SEが多く在籍する蒲田の富士通ソリューションスクエア内に「FUJITSU Knowledge Integration Base PLY」を開設。

PLY(プライ)は異業種企業や地域との連携により、アイデアを生み出す、オープンイノベーションの場として、アイデアソンやハッカソンなどの共創活動や、国内外のICTや業種・業務のトレンドなどの共有、訪れた人たち同士のマッチング促進などの多様な機会を提供する施設です。

ロフトワークは富士通グループのプロジェクトメンバーと共に、2015年11月からプロジェクトをご一緒しています。主にPLYのグランドコンセプトデザイン、空間設計・インテリアデザインのディレクション、プロモーションのための映像・プレイブック・各種プロモーションツールの制作を支援してきました。

  • 支援内容
    ・グランドコンセプト策定 / 要件定義
    ・空間設計 / インテリアデザイン
    ・各種プロモーションツール制作
  • プロジェクト期間
    ・2015年11月〜
  • 関連サービス
    空間デザイン
    プロダクトデザイン
    製品パンフレット制作
  • プロジェクト体制
    ・クライアント:富士通株式会社 / 富士通デザイン株式会社
    ・ロフトワーク プロジェクトマネージャー:棚橋 弘季
    ・ロフトワーク クリエイティブディレクター:石川 由佳子 / 関口 智子
    ・アートディレクション・デザイン:山口 真人(IDEASKETCH) / 阿久津 望(IDEASKETCH)
    ・コピーライティング:宗像 誠也(ホワイトノート)
    ・空間設計・インテリアデザインディレクション:古市淑乃建築設計事務所
    ・スチール写真撮影:北村 圭介
    ・映像ディレクション:東京ドローン / EXIT FILM

プロジェクトメンバー(上段左から)富士通 福村氏、堀江氏、富士通デザイン 高崎氏 / (下段左から)ロフトワーク 石川、関口、棚橋

オープンしたばかりのPLYにお邪魔して、プロジェクトメンバーのみなさんにPLY設立の背景・狙い、空間作りのプロセス、今後の展開について取材をしてきました。

クリエイティブ

グランドコンセプト策定/要件定義

FUJITSU Knowledge Integrationの掲げる人、知識、実践の積み重ねやより合わせが力になり新しい価値を生み出すというコンセプトと、繊維をより合わせ一本の糸となり、それがさまざまな素材に変化して新しいものを生み出していくというメタファーを元に「PLY」というネーミングと空間のコンセプトを開発。プロジェクトメンバーで何度もディスカッションを重ねながらコンセプトを洗練させていきました。

点と線を知のつながりと見立て、あらゆるシーンに展開できるデザインを設計。アートディレクションはIDEASKETCHさんに担当いただきました。出来上がったコンセプトとビジュアルは、空間設計やプロモーションツール制作など様々なクリエイティブに活用しました。

空間設計 / インテリアデザイン

両社プロジェクトメンバーで作った空間の基本コンセプトをもとに、古市淑乃建築設計事務所 古市淑乃さんにオリジナル家具を含めてインテリアデザインを担当して頂きました。

PLYでの活動を促進させるための家具やプロトタイプ展示用の什器もデザイン。あえて粗削りな状態にすることによって、自由な使い方を提案して空間の可能性を広げています。空間のスチール撮影は北村圭介さんに担当いただきました。

施設内にはさまざまなプロトタイピングができるスペースも設置。区切りすぎず、オープンな空間にすることで人々の交流が生まれ、面白いプロトタイプが日々生まれています。

各種プロモーションツール制作

Photo by IDEASKETCH

富士通、ロフトワークで検討した全体コンセプトを基にコースター、ステッカー、ポロシャツなどPLY内で使うプロモーションツールをデザイン。場とそこで生まれる活動の可能性を社内外にメッセージするためのコンセプトブックも制作しました。

コンセプトブックではアートディレクションをIDEASKETCHさんに、コピーライティングをホワイトノート宗像誠也さんに担当いただき、プロジェクトメンバーと一緒に議論を重ねながらPLYのコンセプトと想いが伝わるメッセージを創り上げました。

Webやコンセプトブックで使用しているメインビジュアルは富士通の川崎工場屋上で撮影。構成はIDEASKETCHさんが行い、東京ドローンの 武田 充弘さんディレクションのもとドローンを使いながら、富士通グループ社員やロフトワークなど総勢50名のキャストが集まって撮影を実施しました。

プロモーション用の映像も制作しました。歳上の女性に恋した少年とその仲間になったPLYのメンバーが、いっしょに想いを届けるためにPLYで奮闘するというストーリーで、PLYのコンセプト・世界観・機能などさまざまな魅力を映像で表現しています。ディレクションと撮影・編集はEXIT FILMの田村 祥宏さんにご協力いただきました。

メンバーと振り返るPLYプロジェクト

PLY開設の背景・ねらいとは?

富士通株式会社 グローバルサービスインテグレーション部門 ビジネスマネジメント本部 戦略企画統括部 福村 健一さん

─ 富士通の”共創”の取り組みについて教えてください。そもそもどんな課題感があり、共創に取り組んでいるのでしょうか?

福村(富士通):
クラウドコンピューティング、ビッグデータ、IoTなど、新しいキーワードが次々登場し、それらが現実のものになっていくなかで、システムインテグレーションをコアビジネスとする当社も、従来のスタンスでは追随できなくなっています。

2012年頃から、時代の流れに応じて変化できる体制を整えるべく、さまざまなチャレンジを試みてきました。数多く実施してきたハッカソンイベントもその一つです。また、こうした取り組みを通じて、特に若手を中心に現場レベルでも新しいことに挑戦する機運が高まっていきました。

─ なるほど、環境の変化に対応して色々と実践を重ねてきたんですね。その中で徐々に現場の意識も変わってきて、今回のプロジェクトもその一つの試みなんですね。ここ蒲田に共創空間を作ろうと思ったのはなぜですか?

福村:
デジタル化の流れが進むにつれ、業界間、業種間、企業間の境界線が曖昧になっています。ビジネス領域が全業種にわたる当社は、本当の意味での境界をなくそうと、2015年5月、デジタルビジネスをけん引する新しいインテグレーションのコンセプト「FUJITSU Knowledge Integration」を提唱しました。この実現に向け、共創の場を作ろうというのが目的です。

オフィスとは別の場所に作るべきという声があったのも事実ですが、まず我々自身が変わらないとはじまりません。目指したのはSEのためのイノベーションスペースであり、そのフラッグシップとなる空間は、社員が気軽に足を運べる場所にあるべきだと考えました。

空間設計のプロセス

ロフトワーク 棚橋 弘季

─ ロフトワークは富士通のみなさんの構想を、どのようなプロセスで形にしていったんですか?

棚橋(ロフトワーク):
空間というより、もう少し大きな視点で“場”のコンセプトを考えることからスタートしました。具体的には、SE部門をはじめ、場づくりに関心の高い他部門を交えたワークショップを実施して現場の方々が考えていることを吸い上げ、みなさんの想いをどのような方向に落とし込むべきかを探っていきました。

そこから導き出したのが、「FUJITSU Knowledge Integration」を凝縮した「PLY」というコンセプトワードです。より合わせるといった意味のある「ply」という言葉をキーコンセプトにして、人との出会い、知の蓄積、実践の積み重ねが、価値のあるカタチを生み出していく場所にしたいというメッセージを込めました。

ロフトワーク 石川 由佳子

石川(ロフトワーク):
プロジェクトメンバーにIDEASKETCHさんを迎え、コンセプトやクリエイティブの開発を進めていきました。点が結びついて線になり、それが広がり面になるイメージはPLYのさまざまなコミュニケーションツールに活用されています。

関口(ロフトワーク):
私がワークショップで一番新鮮だったのは、ワークに参加いただいた富士通のSEの方々一人ひとりが「本当はこんなことがしてみたい!」という思いやアイデアをたくさん持たれていたことです。

ワークショップを経てさまざまな方向性が見えましたが、可能性の余白を残しておくため敢えて整理して言語化することはしませんでした。美しくまとめること自体がPLYらしくないからです。付け加えたり、変化させたり余地があるのがPLYだと考えていました。

富士通デザイン株式会社 UXサービス&ソリューションデザイン事業部 高崎 徹さん

─ 現場の人たちからさまざまなアイデアが生まれたり、パワーがあるのって素晴らしいですね。富士通さんの社風というか、雰囲気をよく表しているなと思いました。高崎さん、空間設計でこだわったポイントをぜひ教えてください。

高崎(富士通デザイン):
使う人によってどうにでも変われる、どんどん変わっていくことを目指しているので、あまり細部まで深く追求せず、いい意味での粗さを前面に出したのが大きな特徴です。富士通という大組織の中でこの粗さを表現するのはかなりの冒険でしたが、ギリギリのラインに挑戦しました。

棚橋:
富士通が継承してきたアイデンティティをリスペクトしつつ、どこまで殻を破れるかという挑戦でしたね。

ロフトワーク 関口 智子

関口:
高崎さんや堀江さんに、目に見えるところが大きく変わっても、根っこでは富士通のアイデンティティやデザインのルールを忠実に守っているということを、関係者のみなさんにもご説明いただきながら進めていきましたね。

高崎:
あともう1つこだわったのは、ここにしかない価値、オリジナリティです。なるべく外から完成されたものを持ち込まず、ここにあるもので生み出していくことで、場の価値がどんどん増していくと考えていました。

石川:
“異なるものが出会う場”というところからインスピレーションを受け、たとえば異質な素材を組み合わせて使うなど、素材自体もコンセプトを踏襲するものを選んでいきましたね。

今までにない挑戦の数々 / 今後の展望

─ 今回は、コンセプトづくりや空間設計、インテリアのデザインディレクションのほか、PLYのコンセプトブックや、スタッフが利用者にメッセージを書いて渡せるPLYカード、スタッフポロシャツ、プロモーションムービーなども制作しました。棚橋さん、コンセプトブックはどんな狙いでつくったんですか?

棚橋:
空間の使い方ガイドラインというよりは、PLYのイメージやコンセプトを感じ取ってもらい、それに共感してもらうためのものに仕上げました。PLYは一言で「○○ができる場所」と言い尽くせないほど多くの可能性を秘めているので、使い方やガイドラインではなくそもそものビジョンを伝えたいと思っていました。

石川:
施設の中身より、考え方や挑戦のプロセスのほうが重要で、かつ仲間ありきで成り立つのがPLYです。コンセプトブックでは、その仲間たちに呼びかけ、挑戦が許容されるカルチャーがここにあることを伝えています。

関口:
そうですね、あとはPLYはPlayと響きが似ているので、一緒に何かやりませんか?という意味を込めたりもしましたね(笑)。

富士通株式会社 グローバルマーケティング本部 総合デザインセンター チーフデザイナー 堀江 武史さん

堀江(富士通):
よくありがちな説明的な施設紹介ではなく、ビジョンだけを語るコンセプトブックは、当社の施設では前例がありません。そういう意味でもチャレンジングでした。しかも、そこに社内の関係者を登場させ、社員一人ひとりの想いがつながっていくというコンセプトをそのまま表現した点も、これまでにない手法です。

─ PLYプロジェクトで様々なチャレンジを可能にした一番のポイントってなんだったんでしょうか?

堀江:
一番重要なことは、富士通ブランドとしてお客様に何をどう伝えるか。当社のガイドラインからはずれてしまうと軸がブレてしまうので、富士通らしさを守りつつ挑戦できる余地を探ることで、プロジェクトの目的とブランドをきちんと融合できたのです。これも明確なコンセプトや目的があってこそです。

─ 空間はまだオープンしたばかりですが、さっそくいろんな方々が活用していますよね。なにか反響などはありましたか?

福村:
社内の反応は良いのですが、まだ使い方がわからない人が圧倒的多数です。コンセプトブックで表現している内容と、実際の使われ方はまだ少し遠いかなと思っています。次のステップは、その差をだんだん縮めていくこと。

今後は新しいアイデアの種を生み出したり、実際にモノを作ったりといった機会を提供していき、コンセプトブックで描いたストーリーのように、ここからたくさんの新しいサービスやビジネスが生まれるようにしていきたいです。

石川:
同じ立場で一緒にPLYのことを考え、作り、楽しみながらカタチにしていく感じが非常に心地よかったですね。

棚橋:
空間設計にせよプレイブックにせよ、試行錯誤の連続でしたから、数々の苦労を乗り越えてきたチームの結束は実にすばらしいなと思いました。本当に楽しいプロジェクトでした!

─ PLYがどんな風に育っていくのか、引き続き注目していきたいと思います。本日はありがとうございました!