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大阪ガス株式会社 バランス・スコアカードで見えた!CMS導入の費用対効果

・共通の指標づくりを目指すCMS学会への参加をきっかけに、CMSの導入評価にバランス・スコアカード(BSC)を適用
・更新にかかる工数が94.7%削減されるなど、明確な数値としてCMS導入の効果を見える化
・BSCによる評価結果は、経営陣を説得するだけではなく、現場を味方に付けるための材料としても有効であることを実感

CMS学会への参加を通じてバランス・スコアカードによる評価手法を実践

コーポレートサイトのユーザビリティ、アクセシビリティの強化に向けてCMS(NOREN)を導入し、2008年3月、第一弾となるプレスリリースのリニューアルを果たした大阪ガス株式会社。最初の一歩を踏み出してから約2年、CMSを導入したページのリニューアルを目前にした今、CMSの導入効果をどう評価されているのか。同社の情報通信部 情報ソリューションチームの岩木圭氏に、ロフトワーク取締役の矢橋友宏がお話を伺いました。

大阪ガス株式会社 岩木圭氏

矢橋(ロフトワーク):まずはCMS導入から2年が経過して、どのような変化を感じていますか?

岩木(大阪ガス):工数が大幅に削減されただけでなく、これまでまったくホームページの更新をしていなかった人が、自分たちで更新するようになったのは大きいですね。あるコンテンツでは更新頻度がびっくりするほど上がり、情報発信力が大きく向上しました。「劇的に楽になった」とか「これがなかったら更新できない」など、ユーザーの大半が好意的です。

矢橋:現場が効果を実感してくれているのは、何よりうれしいですね。でも、手探り状態だった導入当初は、どうやってCMSの効果を社内にアピールされたのですか?

バランス・スコアカード4つの視点

岩木: それこそCMSでどう楽になるのか見当もつきませんでしたから、制作会社に現状のランニングコストをはじいてもらい、「ランニングコストを半分にして、4年でNPV(正味現在価値)をプラスにするので、導入させて下さい」と説明しました。他社事例などが公開されていれば、それにのっとったのですが、そんな情報ありませんでしたしね。

矢橋:現在も年度末に向けてリニューアルを継続中とのことですが、このタイミングで、バランス・スコアカード(BSC)(※)を使って導入効果を評価されたのは、どのような経緯からでしょうか。

岩木:ちょうど、何かいい評価方法はないものかなと思っていたところに、ロフトワークからCMS学会に誘われたのがきっかけです。おかげでいろんな視点で投資を評価する機会に恵まれました。私の頭の中には財務の視点(コスト面)しかなかったのですが、CMS学会を通じてBSCの意義を知り、財務の視点に、顧客の視点、業務プロセスの視点、学習・成長の視点を加えた4つの視点で自社のCMS導入を掘り下げてみることにしたのです。

BSCというのは、使う人の視点、お客様の視点が網羅されていて、さすがに良くできていますね。独りよがりの偏った見方ではないので説得力があり、会社が目標とする数値に照らしてロジカルに投資を判断できます。

更新にかかる工数が94.7%削減されるなど、明確な数値としてCMS導入の価値を見える化

岩木:財務の視点での評価はリニューアル後になりますが、いざ評価してみると、現時点で十分な費用対効果が出ていることがわかりました。たとえば業務プロセスの視点で一つ例を挙げると、約3,000ページ分のヘッダーを変更するのに5,300分もかかっていたのがCMS導入後は280分。なんと94.7%の削減です。しかも、プロセス数が減ったらミスが減る、更新漏れがなくなるなどという考え方はしたことがなかったのですが、そういうことにも改めて気付かされました。

業務プロセスの改善。ヘッダー変更時のプロセス・工数の変化

矢橋:コスト削減に限らず、CMS導入によるプラスαの価値が“明確な数値として”見える化できたということですね。コストの観点だけで決裁を取るのは危険、という見方もあります。単に工数が減ってコストが減りましたというのではなく、出来た時間で何が実現したのかという部分は重要です。そこをうまく引き出せた理由はどこにあると思いますか?

岩木:定量的効果と定性的効果の2つの側面を見ていくことです。定性的効果だけでは上司は納得しないですし、定量的効果だけでは見えてこない部分もあります。まず定量的効果があって、次に投資効果があって、加えて定性的効果もありましたと言えれば、上司も評価しやすいはず。この合わせ技がポイントでしょう。

ちなみに、評価指標を決める際には、効果が出ているところを想定しながら絞り込んでいきました。もちろん、効果が出ていない部分に目を向けることも必要です。ただ、CMSを入れるといいことが多いからこそ、これだけ多くの企業が導入しているわけです。最初に設計したユーザビリティに問題があったとか、お問い合わせの位置が悪かったとか、導入後に本当に反省すべき点は、CMSの機能や考え方には直接関係のないところだと思います。

BSCによる評価結果は、経営陣への説得だけでなく現場への啓蒙にも有効

矢橋:岩木さんは、Webサイトの改善に向けたワーキングからスタートし、CMS導入の決裁を取るべく、草の根活動的に社内への説得を続けてこられたということですが、いろんな人に協力者になってもらうことはとても重要ですよね。BSCによる評価結果は、経営陣への説得材料とは別に、現場に対するもう少し泥臭いアプローチにも使えそうな気がしますが、いかがでしょうか?

バランス・スコアカードで明らかになったCMS導入の各種効果

岩木:間違いなく使えるでしょうね。弊社の場合は、広報部にシステムに理解のある者がいたので、取っ掛かりのプレスリリースへの導入はある程度スムーズに進めることが出来ました。但し、そのようなキーマンがおらず現場の意見が強い会社では、地道に良さを伝えていくしかありません。そういうときに、ただ「CMSを入れると楽になる」といった感覚論で説き伏せるのではなく、作業にかかるプロセスや工数を具体的に提示できれば、「手間がなくなるならCMSを入れたい」「自分たちで更新できるならやりたい」というニーズを現場から引き出せるようになり、それこそ導入への大きな力になるはずです。

ロフトワーク 矢橋友宏

矢橋:なるほど。そうなるとBSCの顧客の視点が、ひとつ課題になりそうですね。岩木さんも実感されているように、他の視点と違って、CMSの導入効果として断定しにくいのが悩ましいところです。もっと「こんな観点なら顧客満足度が上がったと言えるよ」という指標を探してみる必要があるかもしれません。そうした課題はあるにせよ、BSCの活用には大きな可能性があり、ロフトワークとしても、漠然と思っていたことが言葉にできる感じはしています。

岩木:そうですね。私自身、絶好のタイミングで導入効果を評価できたことで、いい流れになりつつあることを感じています。企業にとってWebサイトは絶対に必要なマーケティングチャネルですから、これを機に、井の中の蛙ではなく、いろんな企業の取り組みを参考にしつつWebをさらに活性化していきたいですね。

そのためにも、CMS学会のような営利目的ではない活動は非常に貴重でした。これからは自分たちの閉じた世界ではできないことがますます増えてくるでしょうから、セミナーをはじめ、業界全体の方向性や考え方に関する情報発信にも大いに期待しています。あとは関西支店ができたらうれしいですね(笑)。

矢橋:ありがとうございます。ご期待に沿えるよう、日々努力を重ねて参ります。まずはリニューアルサイトの完成を楽しみにしています。財務の視点での評価が終わったら、またぜひお話をお聞かせください。

※バランス・スコアカード(BSC)について
ロバート・S・キャプランとデビッド・ノートンが1992年に発表した業績評価システム「バランス・スコアカード」を軸として構成したもの。従来の財務指標中心の業績管理手法の欠点を補うため、企業の戦略やビジョンを4つの視点(財務の視点、顧客の視点、業務プロセスの視点、学習・成長の視点)で分類しています。

財務の視点:
株主や従業員などのステークホルダーの期待に応えるため、企業業績として財務的に成功するためにどのように行動すべきかの指標を設定。

顧客の視点:
企業のビジョンを達成するために、顧客に対してどのように行動すべきかの指標を設定。

業務プロセスの視点:
財務的目標の達成や顧客満足度を向上させるために、優れた業務プロセスを構築するための指標を設定。

学習と成長の視点:
企業のビジョンを達成するために組織や個人として、どのように変化(改善)し、能力向上を図るかの指標を設定。

内容やお客様情報、担当ディレクター情報は本記事公開時点のものです。現在は異なる可能性があります。

お客様の声

岩木 圭様

大阪ガス株式会社情報通信部 情報ソリューションチーム
岩木 圭様

CMS学会のような営利目的ではない活動は非常に貴重でした。おかげでいろんな視点で投資を評価する機会に恵まれました。これからは自分たちの閉じた世界ではできないことがますます増えてくるでしょうから、セミナーをはじめ、業界全体の方向性や考え方に関する情報発信にも大いに期待しています。

制作チーム

このサービスに関するお問い合わせ

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取締役 兼 COO
矢橋 友宏

伝統企業ですから各事業部門の声が大きい中で、岩木さんはグループの制作会社や外部のソリューションパートナーとの連携を積極的に行い、柔軟に新しい仕組みやツールを取り入れて味方を増やしておられます。良質な情報を手に入れるために自らも価値のある情報を発信していく姿勢は、ますますスピードが早まる経営環境にとてもマッチしていると感じました。

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