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Chiaki Hayashi

代表取締役
林 千晶

プロジェクトマネジメントがクリエイティブ環境を革新させる

なぜプロジェクトマネジメントが重要なのか?

Web業界でもプロジェクトマネジメントという言葉を耳にする機会が急増しています。

もともとは建設やシステム開発など、巨大プロジェクトを対象に培われてきた手法ですが、最近では、大手制作会社であるIMJが2007年末にPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)を設立しましたし、Webクリエイターの人気イベント「CSS Nite」でもWebディレクションにかかわるセミナーが開催されたりしています。

ロフトワークは先駆的な存在として、Web業界におけるプロジェクトマネジメントの重要性を発信してきました。そこで、『なぜWeb・クリエイティブ業界でプロジェクトマネジメントが有効なのか』を、簡単に整理してみたいと思います。

Episode 1   脆弱だったからこそプロマネが必須だったロフトワーク

ロフトワークがプロジェクトマネジメントへの取り組みを始めたのは2003年。もう5年以上前ですからクリエイティブ業界としてはかなり早かったと思います。

ロフトワークはご存知のとおり、社内に制作のリソースを持っていません。「クリエイティブのダイナミックな流通」を目標に、ロフトワークのスタッフはディレクションだけを担当。実制作は登録クリエイターさんとバーチャルな制作チームをつくり、案件を進めます。例えば会社案内をつくるなら、ライターさん、カメラマンさん、グラフィックデザイナーさんと3名、コーポレートサイト制作ならWebデザイナー、イラストレーター、コーダー、ライターなど4~5名の体制に。大規模な案件になると、数十名のクリエイターさんとのやり取りが発生します。そして、彼らの作業を指示し統合しひとつの成果物にまとめあげる「指揮者」のような役割をロフトワークのディレクターは行っています。

この体制では、度重なる修正やスケジュールの遅れは、ダイレクトにクリエイターさんへの追加コストになり、プロジェクト収支は悪化します。ディレクターの仕切りの悪さは、登録クリエイターの人たちからのクレームとなってはね返ってくる。さらに社内で修正対応を行わないので、緊急対応にも弱くなる。

これらは普通に考えると「制作会社としては致命的な弱点」です。でもその弱点は、制作フローの中に隠れてしまいがちな「非効率性」を徹底的に見える化できる体制でもあり、その「非効率性」への前向きな取り組みが今の「プロジェクトマネジメントの確立」へと繋がっているのです。

Episode 2  プロジェクトマネジメント成熟度の向上

2003 年当時はプロマネに関する書籍も少なく、複雑なPERT図などについて語られているシステム開発を対象にしたものがほとんど。そこで諏訪と私はネット上で IBMのプロジェクト管理手法に関する資料をダウンロードし、クリエイティブのプロジェクトに適用させてみたり、複数のクリエイターとのコラボレーション(マス・コラボレーション)を可能にするためのオンラインツールの選定したり、独自のプロジェクト管理ツールを開発したりしました。

いいソフトウェアを見つけたらどんどんテスト導入してしまいます。そして取捨選択をする。その結果、今のロフトワークはかなり「最先端で有効なITツール」を使いこなす企業に成長しています。例えば・・・

  独自のプロジェクト管理システム、オンラインデータ共有システム、
  CRMツール、スケジュール作成ツール、情報共有ツール、
  タスク管理システム、などなど

また全メンバーを対象に、毎週「プロジェクトマネジメント」に関わるレッスンを提供。9つの知識エリアとそれぞれのポイント、プロジェクトマネジメントプロフェッショナルとして必要な心構えなどを解説します。またみんなが活用できるナレッジや教訓をみんなが提供し、洗練させていく「ナレッジベース」。それにより個人単位でなくロフトワークという「組織」として、プロジェクトマネジメント成熟度を高めることに成功しているのだと思います。

Episode 3 ロフトワークがこれから目指すところ

こう説明してしまうと、プロジェクトマネジメントは魔法の言葉みたいに聞こえますね。でもそうではありません。陥りやすい罠もあるのです。

例えば、絶対に間違えてはいけないのは、プロジェクトマネジメントの目的は「プロジェクトを管理すること」ではないということ。プロマネが浸透すると、ついつい人は計画通りに進めることが正解のように感じたり、変更を嫌がったりしてしまいます。これは目的と手段が入れ違ってしまった典型的な例。こんな意識ではいいプロジェクトの成果物はできません。

プロジェクトマネジメントがなぜ大切なのか?それはステークホルダーの満足を実現するために有効だからです。クライアントも、制作側も、そしてそのサービスの実際の利用者も、関わる人間が満足する成果物を生み出すために、プロジェクトマネジメントは存在します。

プロマネがしっかりしているからこそ、優れた企画やクリエイティブを生み出すためにしっかりリソースを割くことができる。プロマネがしっかりしているからこそ、教訓が活かされコストパフォーマンス高いサービスを提供できる。そしてなにより、クライアントに満足してもらえる仕事ができるのだと自負しています。

プロジェクトマネジメントを支援する団体
PMIを中心にプロジェクトマネジメントに有効なサイトをご紹介します

執筆者

Chiaki Hayashi

代表取締役林 千晶

1971年生、アラブ首長国育ち。2000年にロフトワークを起業。Webデザイン、ビジネスデザイン、コミュニティデザイン、空間デザインなど、ロフトワークが手がけるプロジェクトは年間530件を超える。書籍『シェアをデザインする』『Webプロジェクトマネジメント標準』『グローバル・プロジェクトマネジメント』などを執筆。2015年4月、森林再生とものづくりを通じて地域産業創出を目指す「株式会社飛騨の森でクマは踊る」を設立、代表取締役社長に就任。

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