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諏訪光洋

代表取締役社長
諏訪 光洋

情報同期の重要性

プロジェクトマネジメント、専門知識、適切な能力を持つスタッフの収集(リソース)、予算・スケジュール・品質のバランス...プロジェクトの成功にはさまざまな要素が欠かせません。

その中でも環境を整えることでプロジェクトの成功率が高まるもののひとつが「情報同期環境の整備」。「情報同期?なんだそれ?」と思うかもしれません。しかしPMOやシステム担当者が「情報同期性」という言葉を念頭におき、プロジェクトの実行環境を整備することでプロジェクト関係者の負荷やリスクを飛躍的に改善できるケースがよくあります。

「といわれてもなんのことだか?」と思われるかもしれませんが、実は、多くのプロジェクトで情報同期への取り組みは必ず行われています。

例えばメーリングリスト。多くのプロジェクトでごく当たり前に利用されているメーリングリストも実は「メンバー間の情報同期」を行うためのツールで。(逆に「同期されている」と思っていると誰も見ていなかったりしますが(笑))

分散化によるリスク。破綻が生まれる瞬間

「なーんだそんなことか」と思うことでしょう。そうです、実はプロジェクトの環境には既にさまざまな「情報同期性をあげる」環境が整備されています。

例えばファイルをメール添付するではなく、ファイルサーバーを活用する事が増えていませんか?「バグチェックのリスト」「スケジュール」「品質チェックリスト」「コンテンツリスト」のように更新されつづけるべきものをメールでやりとりしている場合、最新情報が分散化し、情報の同期はとることが難しくなります。 サーバー側の管理を徹底することで、分散化によって生まれる問題が減り、情報同期性は高まります。

例えばバグフィックスにおける「先祖返り」。「修正する際、古いファイルを使ってしまった」これはほとんどのプロジェクト関係者が経験しているはずです。プログラマーがプログラムの改変を行い、エクセルに「修正済み」のチェックを行いエクセルファイルをメール送信。しかしその瞬間、クライアントがプロジェクトの新たなバグを見つけ手元のエクセルファイルに新たな項目を付け加えプロジェクトマネージャーに送信...。どうでしょう?これが情報の同期性を保てなくなる瞬間です。そしてプロジェクト管理が困難になり、破綻が生まれる瞬間でもあります。

もしこれがメールによる添付ではなく、「オンラインストレージに保持するファイルが最新のものにすること」と規定するだけで情報の同期性はそれなりに担保されます。Googleのスプレッドシートなどリビジョン管理や共同作業が出来るシステムならさらに同期性があがります。

イシュートラックシステム「JIRA」

ある一定規模のシステム開発プロジェクトでは、「イシュートラック」と呼ばれる情報同期のシステムが採用されています。イシュートラック/バグトラックのシステムは、オープンソースのものから高額なものまでさまざまですが、WEB制作の現場においてはまだ利用されているケースは多くありません。

アトラシアン社による"JIRA"は手頃な価格と機能のバランスから世界でも採用例が多いイシュートラックシステムです。日本でも多くのシステム企業大手に採用されています。

JIRAに限らずソースコードとリビジョンをサーバー側で管理するシステムでの開発が徹底されている場合、こういった問題はほとんど無くすことが可能になります。ソースコード以外のコメントなどの情報も共有することが出来るため、最新情報は常にサーバー上のシステムで同期がされている形を保もつことが可能になります。

さらにタスク管理やスケジュールの機能も備えていることから、プロジェクト従事者はバグや問題点の「管理」に頭を使わず、問題解決やバグの解決に集中して取り組むことが可能になります。

プロジェクトの特性に合わせた同期性の設計がカギ

情報の同期性を保つには少なくともサーバー管理型、そして今やWEB管理のシステムが必要です。「マイクロソフトプロジェクト」は優れたプロジェクト管理システムですが情報同期性を保てる範囲はファイヤーウォールの中に留まります。WEB管理の情報管理システムはGoogleのスプレッドシートやグループウェア、あるいは前述のアトラシアン社のJIRA*を含めさまざまなシステムがあります。(一方で非WEB系のシステムには安全性や操作性などのメリットがありますが、今後は減っていくでしょう。)

どのシステムが適しているかは情報共有を行う内容やプロジェクトや組織の特性によって違います。システムを利用するのは人です。高機能なシステムは、定着しない可能性が高まり、少なくとも定着までに時間を必要とします。また、人は重複する作業を嫌がります。システムによっては重複する機能がある事も少なくありません。また、昔から組織に属しこれまでのやり方に慣れている人が新システムの導入に反対する事もよくあることです。

ロフトワークでは、10近いシステムを利用しています。その多くは「情報の同期性をあげる」という視点を元に導入されてきています。導入が成功すればメンバーは情報の管理と受け渡しに労力をかける事無く、生産とコンセンサス作りに集中することが出来ます。

プロジェクト管理の周囲にあるシステムの役割はさまざまです。特に最近ではSaaSを中心に導入しやすい沢山のシステムが存在します。その中から何を選ぶか。「プロジェクトの情報同期性を高める」という視点は、プロジェクトの生産性と成功率をあげる上で欠かせない視点です。

※ ロフトワークはアトラシアン社の日本における正規パートナーです。JIRAに関して詳細情報が必要な方はお気軽にお訊ねください。

執筆者

諏訪光洋

代表取締役社長諏訪 光洋

1971年米国サンディエゴ生まれ。
慶応大学総合政策学部(SFC)を卒業後、JapanTimes社が設立したFMラジオ局「InterFM」(FMインターウェーブ株式会社)立ち上げに参画。クリエイティブ業務を経た後、同局最初のクリエイティブディレクターへ就任。1997年渡米。School of Visual Arts Digital Arts専攻を経て、NYでデザイナーとして活動。2000年にロフトワークを起業。

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