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Column コラム

  海を越えてバズってしまった!! ソーシャルメディアで起きた広報事件簿

「3Dプリンターでつくる顔面チョコ企画」はどこから来てどこへ向かった?広報的まとめ。

ある日突然、プレスリリースも配信していないのに、国内外のメディアから取材依頼が殺到…そんな嘘のような出来事をつい最近体験しました。とってもWeb時代的な出来事から学んだことを、広報PR担当者の視点でまとめてみます。

序章:SNSで大波紋。「これはひどいwww」「アレだ!www」

あっという間にネットを駆け抜けた問題画像。すみません、それ、私です…。

2013年1月21日、ロフトワークが運営しているデジタルものづくりカフェ・FabCafeの公式サイトでとあるイベント企画が公開されました。タイトルは、「ものづくり女子限定!ハイスペックすぎる自分型チョコレートを贈ろうの会」。3Dスキャナー、3Dプリンター、3Dモデリング…”MAKER”ムーブメントでも注目されている、ハイテクものづくりマシンを駆使して、自分そっくりの「顔面チョコ」を作ろうという、ギークでちょっとお馬鹿なワークショップです。昨年11月から、ケイズデザインラボ社、イグアス社と共に進めている、3Dクリエイティブを一般の方に楽しんでもらうためのイベントシリーズの一環です。 

この企画、そもそも「バレンタイン×3Dプリンター」と、旬なキーワードの組み合わせで話題性はたしかにありました。が、最も予想外の効果をもたらしたのは強烈なインパクトのイメージ画像でした。

「ハイスペックすぎる自分型チョコレートを贈ろうの会」あっという間に4ケタいいね!…

「これはひどいwww」と大好評(!?)だったチョコレートの完成イメージ(左=私)

「アレに似てる!!!www」「アレじゃんwww」イベント公開直後から、FacebookやTwitterであっという間に話題になったのは、企画よりもそのビジュアル。とあるコアな漫画の強烈なモンスターキャラ(?)にそっくりだったんです。

実はこのイベント、タイトルや紹介文、チョコレートの形などの企画の部分で、広報の私と女子大生インターンのIさんがお手伝いしています。当然、チョコのモデルも私たち二人。「ネタっぽいチョコを作って遊ぶような、ギークな女子が喜んでくれるイベントにしようよ!」と企画したものの、まさか自分自身がモンスターとしてネタになるとは…。イメージ画像ができた時点でたしかに予感はありましたが、光速で流れていく関連タイムラインに企画者が震えたのは言うまでもありません。

起爆!? リリースも出していないのにメディア掲載の連鎖

メディア20媒体以上で掲載、気づけば海を越えて…未曾有の取材ラッシュに。

Facebookでのいいね!数やTwitterのRTが1,000件を超えたあたりから、ようやく「これはちょっと大事になるのでは…」と、社内がざわざわしてきました。そして、ソーシャルメディアの口コミ波紋の次は、Web系メディアでのニュース掲載の嵐。定員9名の小さなワークショップだったので、今回、プレスリリースは発行していません。にもかかわらず、SNSで情報を見つけた記者さんが記事にして、あっという間に20媒体以上のメディアに掲載されました。

国内20媒体以上に掲載されたほか、海外メディアでも続々チョコレートが話題に。

さらには、海を超え、WIRED日英版米国PSFK英国ガーディアン等、名だたる海外メディアで話題になっていきました。海外メディアでウケたのは、3Dプリンター×顔面チョコ…だけではなく、「日本のバレンタインデーが独特」という文脈。欧米のバレンタインは男性が女性にプレゼントを贈る日ですが、日本は製菓業界が主導して女性から男性へチョコレートを贈る行事という独自の発展をとげ、巨大な市場を築いている…そこで登場した最高にオリジナルな顔面チョコ!面白い!変わってる!!(そして気持ち悪い!!)というストーリーです。

こうして、たった1ページのイベント告知が口コミで一気に拡がり、記事化され、さらに翻訳され、異国の珍妙ニュースとして拡大していったのです。ニュース掲載だけでなく、当日取材依頼も殺到しました。

決断…メディア露出をとるか、ホスピタリティをとるか。

鳴り続ける電話、社員からの心配。広報としてどうしよう?

「広報PRとして脇が甘すぎる!!!」と言われたら、全力で謝罪します。でも、まさかここまで話題になるとは、関係者全員が想定していなかったんです。小さなイベントにメディア問合せが殺到したときにはただただ驚くばかり。

問合せの多くは、バレンタインシーズンに合わせ、自分型チョコレートをつくるイベントの過程を放送したいという内容のものでした。雑誌、新聞、Web媒体など、通常お付き合いのある国内メディアからもお声がけがありましたが、一番反応がよかったのは、テレビ局。国内の様々な番組、海外の有名報道機関や通信社からも続々連絡が入りました。当日取材の他に、番組出演者のチョコレートを作ってほしいという問合せや、3Dプリンターやスキャナーそのものに関する質問も。その数、実に30件以上!

社内では「また3Dチョコのお問い合わせです!」という声が飛び交い、その度に「どうするんですか?」と心配されました。どうしよう…正直なところ、不安で一杯でした。 

初めての人にも楽しく3D体験してもらえるよう、余裕をもった人数で開催しているワークショップ

9名定員で募集していたワークショップは、即日50名以上の申し込みをいただき、急遽締め切り。なんとか枠を拡げたとしても、機材や場所の関係で最大15名程度しか参加できません。しかも2日間のうちの1日目は、各回3名ずつのプログラム。3名のお客様に、スタッフ10名弱がつき、数十名の報道関係者…想像しただけでちょっと異様です。6,000円の講座に来たというのに、当日カメラだらけで落ち着かない講座だったら…。お客様に申し訳が立ちません。どうしよう…。広報PRとしてチャンスを逃したくない、メディアの人にも申し訳ないという気持ちと、お客様を大事にしたいという気持ちの間で頭を抱えました

結局、各報道機関の皆様には、イベントの開催意図と実情を伝え、お客様第一で進めたい旨を伝えました。その上で、少人数でお客様に負荷の少ない取材形態でもOKという媒体を優先的にご案内しました(それでも最後は先着順状態で恐縮でした)。 

最初から取材も受けられる体制でイベント設計していたら、もうちょっと上手にできたかもしれません。電話口でお詫びしながら、広報として、これでよかったのかなあという気持ちは当日までずっと続きました。

2月2日に開催された第一日目の様子。1コマにつき1媒体に絞ったことで、結果的にお客様も取材陣も上手に共存できた印象です。ご協力いただいたお客様、メディアの皆さん、ありがとうございます!

最後に。境界のないWebの世界だから「人」を大事に

Web PRについて考えるとき、ソーシャルでのバズ→メディア露出の関係性が注目されがちです。でも、そのコミュニケーション活動は、本来誰に向かっているものなのか…忘れないようにしたいなあと今回感じました。

口コミを生むのは、SNSで繋がった個人です。その集団を単純に「潜在顧客」「一般消費者」「メディア」等に区分するのは難しいもの。みな、何らかの役割や立場を持っているし、同時にすごく私的な個人でもある。スイッチのオンオフのようには切り替え辛い時代です。

SNSでは、良いこと・面白いことが拡がるスピードも速い分、相手によって態度を使い分けたりすれば、ネガティブなリアクションが伝播するスピードもおそろしく速い。だから今回は、もともとの「3Dクリエイティブの楽しさを知ってもらいたい」という企画主旨に合わせ、メディア露出やビジネス面の成功よりも、体験の共有を優先することを選びました。(それでOK!と言ってくれた上司や、ケイズデザインラボさんやイグアスさんに感謝…!!)

偉そうなまとめを書きつつ、"うっかり"バズってしまった、"うっかり"なPRですが、次はもうすこし"しっかり"知ってもらって、お客様もメディアも関係者も皆と"しっかり"繋がる企画を仕掛けたいものです。パブリックリレーション、公衆と関係を築くという言葉が、私は大好きです。ということで、これからも精進します…!

おまけ:このあとの大事件など想像もせず、楽しかった企画時(スキャン&チョコのモデリング)の様子。3Dは楽しい!この楽しいな〜を伝えたくて開催したイベントなのでした。

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