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Column コラム

2014年、ロフトワークからのメッセ—ジ 〜 “Fire & Ice”

諏訪光洋

代表取締役社長
諏訪 光洋

新年のご挨拶 ~ロフトワークからのメッセ—ジ “Fire & Ice”~

株式会社ロフトワーク 代表取締役社長 諏訪光洋

「相反するものは一致する。不調和なものが最も美しい調和を作る」
—ヘラクレイトス

相反する課題、矛盾する課題は、組織やプロジェクトが大きくなると乗数的に増えていきます。燃え盛る問題と冷えて固まってしまった問題を同じ手で同時に扱うのはやっかいなもの。だったら火を扱う事が得意な人と氷を扱う事が得意な人で一緒にチームをつくりましょう。

不調和なものが最も美しい調和を作る

例えば、今、僕は、経営者としてどうやって今年オープンするFabCafeバルセロナを成功させようか(しかもスペイン国内に複数店鋪を一挙開店!)と悩んでいるものの、足下を見れば、それ以外の課題が沢山あります。

グローバル戦略の悩みと組織の個人から生まれる悩み、イノベーションに向かう課題と細かいデザインクオリティの問題、全員の成長と各メンバーのメンタリティ……など。しかも考える課題の振幅は年々大きくなるばかりです。同じプロジェクトの中でも「ビジネス戦略」と「気持ちのよい庭作り」の両方を考える場面があったりします。まさに、大きな体験をデザインすることと、ディテールをデザインすることの両方が求められる時代。

だから、どんなプロジェクトにも、クラフトマンシップと適切なエンジニアリング、そして専門知識が求められています。

「デザイン思考」や「リーンスタートアップ」がエンジニアリング手法として注目され、ロフトワークでも取り入れてきたのはそういった理由からです。しかもエンジニアリングの対象は拡張する一方。実際のプロジェクトでもWebのデータ解析の手法をどうモノや空間に活かすかという試みもはじまっていて、デジタルとフィジカルの両領域を横断する知識力も試されています。

熱さと冷たさを一人の手では持てない

そんな状況を客観視すると、「バルセロナにFabCafe..…しかも複数! いやその前に足下の課題から取り組んだら?」と自分にツッコミをいれたくもなります。それでも2013年末は、新しい事業のためにバルセロナに向かいました。

ただ、実際来てみると、「対話」が案外いろんな課題を解決していくものなのです。それを実現したのは僕がエライから……ではなくて、チームワークでした。台北のTimは細かなフォローとコミュニケーションをし、FabCafeグローバルメンバーのToddはクリエイティブ戦略を練り、共同代表の林千晶はどんどん人と仲良くなってネットワークを生み、僕は酒を飲む……じゃなかったアイデアと戦術をつくる。「なんかうまくいく気がする!バルセロナ!」そんな確信がもてました。

前置きが長くなりましたが、これぞ、火を扱う事が得意な人と氷を扱う事が得意な人で一緒にチームをつくる醍醐味です。

FabCafeバルセロナを準備中のメンバー
左から:FabCafeバルセロナのCecilia、ロフトワーク代表の林千晶と僕、FabCafe台北のTim、FabCafeグローバルのTodd

もっと愚かで、愚直で、変な会社でいい

そもそも、ロフトワークは2000年、「クリエイティブを流通させる」ことをミッションに誕生しました。だから「内部にクリエイターがいないクリエイティブエージェンシー」という珍しい形をとっています。創業時からコ・クリエーションの力を信じ、沢山の外部クリエイターやエンジニアと協働することでプロジェクトを手がけてきました。

2014年はいよいよインターネットの役割が変化する1年。オフィスの中、街の中、店舗の中、家の中……「机の上のPC」を越えて様々なモノと繋がったインターネットと、センサーやカメラはどう働くのでしょうか。関係性の見える化は何をもたらすのでしょうか。

2014年は、クリエイターコミュニティ loftwork.com発の地域×オープンイノベーションプロジェクト「USIO Design Project」から新しいプロダクトが誕生し、FabCafeが「デジタルものづくり」の世界的プラットフォームとして国内外に5拠点オープン、そして、「ロフトワーク台北」もいよいよスタートします。

都市や街や家の中で新しい体験のデザインが求められる中、ウェブサイトのためにつくられた膨大な資産をどうリデザインし、新しい価値をつくれるのか。世界の中で皆が「ワオ!」とて感じる体験をどうつくるのか。loftwork.com、FabCafe、ロフトワーク。それぞれ、全く違う事業に見えて実は同じところを目指しています。

「熱いものも冷たいものも、何もかも味わってみなければならぬ。若いときに愚者でなければ、年とってからそうなるものだ。」

—ジェフリー・チョーサー『カンタベリ物語』より

ロフトワークも14年目。謙虚でありつつ、もっと愚かで愚直で変な会社でいいと思っています。クリエイターとエンジニア、そしてクライアントの皆さんと一緒にチャレンジし、異なる部分を認め合い、多様性のコ・クリエーションが生むクリエイティブを信じてイノベーションをつくり出して行く。そういう1年にしていこうと思います。

2014年もどうぞよろしくお願いします。

2013年12月25日、バルセロナ Airbnbの宿にて

loftwork

執筆者

諏訪光洋

代表取締役社長諏訪 光洋

1971年米国サンディエゴ生まれ。
慶応大学総合政策学部(SFC)を卒業後、JapanTimes社が設立したFMラジオ局「InterFM」(FMインターウェーブ株式会社)立ち上げに参画。クリエイティブ業務を経た後、同局最初のクリエイティブディレクターへ就任。1997年渡米。School of Visual Arts Digital Arts専攻を経て、NYでデザイナーとして活動。2000年にロフトワークを起業。

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