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Column コラム

第93回NYADC授賞式のレポートと、今回の気になった6つの受賞作品について考察

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パブリックリレーションズ
石川 真弓

第93回NYADC授賞式のレポートと、今回の気になった6つの受賞作品について考察

第93回ニューヨークADCのフェスティバルが、2014年4月7日~9日の3日間、アメリカのマイアミ・ビーチで開催されました。

今回ロフトワークが中心となって応募した「FabCafe Brand Book」ががデザイン部門の「BOOK DESIGN」セクションにてシルバーキューブ賞を受賞しました!

FabCafe Brand Bookについて詳しくは以下をご覧下さいね。

そんなわけで、プロジェクトメンバーでセレモニー会場の遠路はるばるマイアミまで行ってまいりました。(なぜニューヨークではなくマイアミなのかは最後まで疑問でしたが)

「NEW YORK ART DIRECTORS CLUB」賞(以下NYADC)は、1920年にアメリカ・ニューヨークで設立以来今年で93回目を迎える、広告のアートディレクションについて評価する世界でもプレステージの高い賞のひとつです。世界の広告界をリードし、長年にわたり各国のデザイン・広告関係者の注目を集めています。

NYADCにおけるシルバーキューブは「銀メダル」のようなもので、とても栄誉のある賞。
ニューヨークADCの賞の種類は、
「ゴールド>シルバー>ブロンズ>メリット(入賞)」といった順序です。

第93回NYADCでは、デザイン・写真・イラストレーション・紙の広告カテゴリーにおいて、最終的に15のゴールド、25のシルバー、34のブロンズ、27のメリットが出ました。
また、モーション・インタラクティブ・放送広告のカテゴリーにおいては、24のゴールドに23のシルバーが授与されました。

私達の「FabCafe Brand Book」は、オンラインの管理画面上で結果が発表された時には「Gold or Silver」とだけ表示されていました。マイアミのセレモニー会場で、ゴールドを受賞できるのか、またはシルバーなのかが発表されるというドキドキする展開だったのです。

オンラインの結果表示画面。シルバーかゴールドを受賞するよと赤い文字で表示されてます! が、どっちなの?はっきりして!と初めて見た時思ったのでした。

セレモニー会場での受賞作品の発表風景。
リアル”MAD MAN”、伝説のアートディレクターGeorge Lois氏のプレゼンに、スペインのJavier Mariscalのパフォーマンスの後に受賞作品を一挙発表。


でも結果はシルバー。ちょっとしょんぼり。

もらったシルバーキューブとFabCafe Brand Bookを持って記念撮影!
左から、Thinka 三浦さん、777 Interactive 福田さん、大野さん、石川、Thinka 竹林さん。

いや、でもやっぱり嬉しい!超嬉しい!

建築家の大野さんの斬新で超クールな360° Bookのアイデアを、われらがキャプテン777 Interectiveの福田敏也さんによる強力なリーダーシップとプロデュースでFabCafe Brand Book Projectが去年の夏からスタート。一九堂印刷さんの印刷技術とThinkaの竹林さんと三浦さんのデザイン力で完成していく素晴らしい作品。
あ、わたくし、石川はエントラントカンパニーのロフトワークの担当者として、プロジェクトマネジメントを頑張りました。
組織を超えたクリエイティブチームで実現した皆のCo-Creationが花開いて今回の栄誉ある賞を受賞できてとっても嬉しく思います。

マイアミのセレモニー会場では参加した海外のエージェンシーの方がこうやってFabCafe Brand Bookを手にとって、「Cool!」「Amazing!」「Awesome!」「Love it!」等と喜んでくれたのが印象的でなんだか誇らしい気持ちになったのでした。

セレモニー会場はマイアミビーチのBass Museum。シルバー作品とゴールド作品が展示された会場でのカクテルパーティーでした。

それにしてもたった2泊のマイアミはなかなか遠かった…!
でもプロジェクトメンバーで、マイアミの会場で喜びを分かち合えてとても良かったです。

今回のNYADC気になる作品の考察

さて、今回のNYADC賞ゴールドキューブ受賞作品の中でも気になったのをいくつかピックアップしてみます。
ここでは、ゴールド以上を獲得した作品の中から、複数カテゴリーに渡って受賞しまくっているような今年の注目作品に加え、事例が分りやすい、最新のデジタルテクノロジーとクリエイティブ、またソーシャルイシューが上手く融合して話題となったプロジェクト作品等、独断と偏見で6つ選んでみました。

THE EPIC SPLIT

THE EPIC SPLIT from ADC Awards on Vimeo.


各部門でGOLD CUBEを総なめし、2011年以降現れなかった非常に素晴らしい作品にだけ授与されるBLACK CUBEも獲得した、VOLVOのVolvo TrucksのCMです。

日本でも人気のアクション俳優、ジャン=クロード・ヴァン・ダムが出演。
腕を組んで眼を閉じているヴァン・ダム、実は彼は「とんでもない状態」なのが判明。
腕は胸のあたりで組んだまま、バックする2台のトラックのサイドミラーの上に立っている。
このCMはボルボの最新技術、ボルボ・ダイナミック・ステアリングの性能をアピールするためのデモンストレーションだそうです。
このショットは朝日の瞬間を狙ってワンテイクで撮影されたそうですよ。

これぞ広告オブ広告、正統に素晴らしいCMって感じ。

・agency:Forsman & Bodenfors
・country:Sweden

The Scarecrow

The Scarecrow from ADC Awards on Vimeo.


全米で1000店舗近く展開するメキシコ料理チェーン店 「チポトレ(Chipotle Mexican Grill)」 による反工場畜産アニメーション。
これはiOSゲームもリリースされていて、監禁された動物を救出しつつ、家庭菜園で作物を栽培し、街に出て行き軍資金を調達するみたいなゲームです。
このゲームがアメリカで大ヒット。オバマ大統領もこのゲームをプレイしてTwitterでつぶやいたりしています。あまりにバズりすぎてチポトレの株価はアップ、ソーシャルで一番認知されているレストランに躍り出るという、デジタル文脈のプロモーションで大成功したという事例です。

・agency:Creative Artists Agency
・country:United States

Rice Code

rice-code from ADC Awards on Vimeo.


日本からの作品も多く受賞しています。

人口8,000人の青森県田舎館村が村おこしとして始めた田んぼアートは、全国から25万人もの観光客が訪れる名物となっています。しかし日本のお米の消費量は欧米型の食事の普及によってどんどん減少、もちろん、田舎館村のお米の売上にも影響を受けています。そこで、デジタルテクノロジーと農業とアートを融合させたRice-Codeプロジェクト。
田んぼアートをQRコードとして撮影することでスマートフォンでそのまま地元産のお米を買えるようにしています。

・agency:HAKUHODO.INC
・country:Japan

Thunderclap



みんなでつぶやくクラウドツイーティングを支援するサービス「Thunderclap」が、Social Network Applicationのセクションでゴールド賞を受賞。
たくさんの仲間を募って同時につぶやくことでツイッターのトレンドキーワードに載せよう、というもの。
クラウドファンディングプラットフォームと同様、一定数の賛同者を募り、人数が集まったらプロジェクトが成立したとなり、一斉にツイッターにつぶやきが発信されます。ユーザーは、Thunderclapにつぶやく許可を与えているため、プロジェクトが成立すれば一斉に同じ内容のツイートが飛び、それがさらにリツイート等を呼んでツイッター上で大きな話題になり、トレンドキーワードに掲載できるよ、というサービスです。

GAGA DOLL

GAGADOLL from ADC Awards on Vimeo.


日本のクリエイティブエージェンシー「PARTY」が手がけたプロジェクト、レディーガガそのもの等身大、世界初の人間型試聴機「GAGADOLL(ガガドール)」。
特殊なシリコンで、ガガの表情やきめ細やかな肌を再現。
胸に顔を当てて抱きしめると、内蔵された骨伝導スピーカーから最新アルバム『アートポップ』の楽曲やガガのメッセージを聴くことができるというもの。
最新アルバムのプロモーションのため来日したレディー・ガガ本人と直接対面したり、メディアで大きな話題を呼びました。

・agency:PARTY
・country:Japan

MT awashima

mtex awashima from ADC Awards on Vimeo.


環境デザインで部門でゴールド賞を受賞。
マスキングテープの魅力を伝えるために開催される「mt ex」展を、香川県の小さな島、粟島で開催。小学校を借りきり、マスキングテープで色鮮やかにデコレーションしています。

・agency:iyamadesign inc.
・country:Japan

FabCafe Brand Book


 

最後に改めて、デザイン部門の「BOOK DESIGN」セクションでシルバー賞を受賞した「FabCafe Brand Book」。
FabCafeのユニークな活動を伝えるだけでなく、FabCafeのネットワークを世界に広げるために制作されました。
この本のデザインプロセスは一般的に思い浮かべる本とはだいぶ異なります。
はじめは3DCADの中で構成されるのです。本を構成するすべてのページを放射状に開き、各ページに配置される図案を作成、図案が立体的に重なり合い、絵本を読むように刻々と物語が展開されていきます。そして二次元加工のレーザーカッターを使ってカッティング、そしてまた三次元の360°に開く本として組み立てられます。
360°に本が開く斬新なアイデア、レーザーカッターというFabマシンだからできる正確なカッティング、そして優しく繊細なデザイン。今回の受賞は、デザインにおけるデジタルファブリケーションへの関心の高まりが現れて評価されたと感じています。

「FabCafe Brand Book」は、間違いなくクリエイターをインスパイアする作品で、今回のNYADCのシルバー受賞を通して、FabCafeのクリエイティブが世界のクリエイターに届く良いきっかけになったと思います。

これからもFabCafeのネットワークはグローバルにもっともっと広がっていきますし、ロフトワークは今年の夏には台湾に支社を出すことも決まっています。 FabCafe Brand Bookのきっかけとなったloftwork.comとFabCafeが共催するオープンデザインコンテスト“YouFab”も今年はより大規模に、グローバルに展開予定。

ロフトワークの2000年設立当初からの「クリエイティブを流通させる」ミッションをより世界に広げていくべく、これからも邁進していきます!

執筆者

mayumi_ishikawa

パブリックリレーションズ石川 真弓

WEB制作会社勤務を経て、シックス・アパートで広報及びマーケティングに携わる。2013年7月より、ロフトワークとFabCafeのPR/プランナーとして、広報活動や各種プロジェクトのコミュニケーション戦略のプランニングを担当。本業の傍ら、個人ブログの運営やWebメディアでのライター業務、日本初のHDR写真をテーマにした書籍『HDR写真 魔法のかけ方レシピ』(技術評論社)を刊行するなど、週4日勤務社員とライター・ブロガー活動のパラレルキャリアを実践している。

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