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Column コラム

花王 本間充氏 × キリン 上代晃久氏 「これからの理想のWebマスターはこうあれ!組織やチームを超えて”ベストチーム”を作る」

渡部 晋也

マーケティング
渡部 晋也

こんにちは、マーケティング Div 渡部です。ロフトワークでは今年から、Webに携わる方々を対象にしたコミュニティ「loftwork Webmaster Camp」という新しい取り組みをスタートしています。アドバイザリーボードに花王 本間充氏、良品計画 奥谷孝司氏、キリン 上代晃久氏と超豪華!な方々を迎え、毎回さまざまな切り口でこれからのWebのあり方や、Webマスターの働き方などについて考えてきました。

2015年9月3日、4日には「組織やチームの課題解決」をテーマにしたワークショッププログラム──Webmaster Camp vol.3 「Webマスターが本気で組織・チームの課題に挑む2Days」を開催。

今日はvol.3開催に先立って「組織やチームの連携」「社内理解・調整の難しさ」「部下の育成」など、チームを率いるWebマスターが抱えているであろう課題について、ボードメンバーのお二人、花王 本間さんとキリン 上代さんに、今までの経験と現場での実践を踏まえたリアルなお話を聞かせてもらいました。

組織・チームの課題に本気で取り組む2日間─Webmaster Camp vol.3

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デジタルオペレーションからデジタルマーケティングへ、これからのWebマスター像とは?

本間 充氏|花王株式会社 マーケティング開発部門 デジタルマーケティングセンター デジタルトレード室長


──お二人が考えるWebマスター像ってどんなものですか?

本間:Webが誕生して20年ほど経って、ここ最近、Webサイトのつくり方って急速に変わってきていると思うんです。例えば、上代さんが新しいキュレーションメディアのようなオウンドメディアを立ち上げていたり、多くの企業がモバイルに対応したサイトを作る必要性が高まってきたり、新しいサービスのWebサイトを作らなければいけない時代になってきていますよね。

その中でまさに「どんな新しい価値をユーザに提供できるのか?」を決めなければいけないのがWebマスターの仕事。これからは、Webのガバナンスとかシステムの管理よりも、ひとつ上のレイヤーでものごとを考える必要があるんだと思います。

これからWebマスターに求められることって、ビジョンを描いて実現したいことを決め「じゃあ、誰に、どうやって頼んだらつくれるんだ?」ということを明確に判断するスキルだと思います。それは社内でも社外でもいいが、ベストチームを組むことが大事。Webサイトを管理する仕事より、ひとつ上のレイヤーで考えて実行できるかが肝なんじゃないかな?

──今までだと、決まったチームの中で更新作業とかセキュリティ管理をしていればよかったのが、これからは自社のビジョンを描いたり、その実現にはどんな体制がベストなのかを定義して実行していく力が求められているんですね。上代さんはどう考えていらっしゃいますか?

上代 晃久氏|キリン株式会社 デジタル マーケティング室 主査


上代:多くの企業の場合(キリンもそうでしたが)、Webチームは広報部のなかに作られていて、社内から集めた様々な情報に優先順位をつけて社内外に制作発注して、コンテンツを整えているだけだったと思います。でもこれは「デジタルマーケティング」じゃなくて「デジタルオペレーション」だと思うんです。

今って、ユーザはPCやスマートフォンを開けば、アプリやSNSで面白いコンテンツにはいくらでも出会えるので、わざわざ企業サイトに訪れなくなっている。となると、企業がユーザにメッセージを発信するオウンドメディアの場所って、本当に企業サイトでいいんだっけ?と考えるようになってきました。この状況を打破するためにWebマスターは、今までの「オペレーション」だけでよかった発想から、どうしたら発信するコンテンツに価値を感じてもらえるかという「マーケティング」的視点も持っていかなければいけないと思います。

──オペレーションとマーケティングの違いを明確に意識して、マーケティングができていなければ、その時間をどう作るのか?という視点。ロフトワークのマーケティング部門も、Webでの情報発信を担っていますが、ともするとオペレーションに追われてしまいがちなのでこれは大事ですね......。

企業で担うべきWebマスターのミッションとは?

──上代さんは以前IT企業でメーカーを支援する側、今はメーカー側にいらっしゃいますが、両方の経験を通じて見えてきた違いってなにかありますか?

上代:前職では、デジタルで実現できる未来をどうやって人の手に渡らせるのかということに注力していたので、未来のビジョンのようなメッセージを発信していました。でも、今メーカー側にいて感じるのは、Web(デジタル)はただの手段でしかなく、しかもまだ優先順位の低い手段なので大きなリソースを割く対象ではない。デジタルで描ける未来像やビジョンと、メーカー側が考えている手段としてのデジタルとのギャップは感じました。

本間:そう。そして企業のWebマスターってコミュニケーションの仕事を担ってきているのに、未来を描いたり、将来のユーザと企業の関わり方を定義できていないことが多いんですよね。10年後、未来はこう変わっているから私たちの会社ミッションってこう変わるよね、ていうことを描けるようにならなくちゃいけない。

Webと、ビジネスミッション、両方の進化をきちんと整理した上でのコーポレートブランディングがあるよって枠組みが必要なんだけど、今までの広報活動では、その枠組みってあまり存在しないんだよね。

──未来のビジョンを描いたり、それをメッセージすることって本来的にはWebマスターの仕事なんですかね?

本間:本来は、社長の仕事だと思っていて、業績など数字だけじゃない会社のミッションをちゃんと定義しなければいけない。多くの日本企業は、収支の話しかできていなくて、将来像をきちんと発信できていないという問題が経営陣にはあると思います。

でも、それをたとえばWebマスターが「経営者の仕事だから」と言ってしまうのもちょっと違う。将来像を描いた上で、問題提起は常にしていかないといけないと思います。

デジタルマーケティング好きなチームは組織を変える“伝道師”になれる

──お二人が理想とするWebチームのイメージってどんなものですか?またチーム作りに向けて今課題と感じていることはありますか?

本間:まず現状として、Webサイトがただの「コンテンツの置き場所」から「ユーザとのタッチポイント」に変わりはじめています。その過程で、たとえば顧客管理をしたいとか、メールマガジンのパーソナライズをしたいとか、システム投資対象のプロジェクトは明らかに増えている。そうすると、Webチームはこれからシステム部門と協業することが増えるのは必然で、広報・宣伝・システムの連携をちゃんと考えなければいけないタイミングだと思っています。

将来の課題に関して言うと、デジタル(インターネット)を使うと自社で何が実現できるのかっていうことを、ちゃんと描ける人材を育てないといけない。花王では、社内の若手メンバーを集めた勉強会などは徐々に始めています。


上代:私が考える理想のWebチームは「デジマ(デジタルマーケティング)好き」集団であることです。そして、ただ好きであるだけではダメで、社内で「伝道師」となるような存在であること。キリンでは、営業、パッケージ、工場、広報、経営企画など様々な部署に相談をされたときに「デジタルマーケティング部門に相談してよかったな」と思ってもらえることが大事なんです。

──とはいえ、組織の中ではやはり、メンバーにも向き不向きがあるわけですが、全員がイノベイティブなマインドやスキルセットが必要なんでしょうか?「オペーレーション」と「マーケティング」のバランスってどうあるべきなんでしょうか?

本間:たとえば、うちのシステム部門が1年間ミスなく更新作業を続けるというのは、デジタルオペレーションとしては高く評価されるべきことです。一方で、そういう定常業務には不向きだけれど、イノベイティブな考えができて実行に移せる人も大切。

その中で、いずれのタイプにも絶対に必要なのは、社内に対してちゃんとプレゼン能力を持つこと。いかにして、定常業務の必要さを説明できるか、新しいことを概念だけじゃなくてわかりやすく自社ゴト化して語れるかが大事だと思っています。そうしないと、自分で能力を持っているだけになっちゃうから。

“世界初”に挑戦できる人がチームをけん引する

──これからWebやマーケティングを引っ張っていく人材ってどんな人だと思いますか?

本間:AmazonでAmazon Dashってプロダクトがありますが、ああいうプロダクトを誰が考え出すのかっていうと、一番思いつきやすいのって実はWebの担当者なんですよ。だから、Web担当者がプロダクトを作るって可能性は、今後なくはないと思います。

で、そういう人材がきっと宣伝部や広報部の中にはいて、ちゃんと光を当てて社内にプレゼンの場を与えるべきなんです。インターネットを使ったサービスアウトとかプロダクトアウトはどんどん増えていくはずで、それを考えているやつにどんどんチャンスを与えてあげるべきなんです。今までのプロダクトマネージャーでは考えつかなかったことを、突き抜けてできる人材がこれからのWebチームをけん引していくんじゃないでしょうか。


上代:Web部門から生まれたプロダクトやサービスの事例として、キリンも今年春に実験的に「デジタル商品棚」っていうのを作ったんです。社内からは「これ、作ってどうするの?」という反応もありましたが、流通の企画として、商品の売り場提案にも活用する話も出ています。作ってみてはじめて「センシングには何が出来るのか」がわかってくる。やはり、チャレンジしないとわからないんですね。

本間:今は、こういう“世界初”のトライが世の中のいたるところから出てくるフェーズ。「これ、作ってどうするの?」という疑問を越えて挑戦できるのが、これからのWebマスターやマーケターに必要なことだと思います。

組織・チームの課題に本気で取り組む2日間

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執筆者

渡部 晋也

マーケティング渡部 晋也

青山学院大学国際政治経済学部卒業。学生時代に代表の林千晶も審査員として加わったmy Japanプロジェクトの運営に携わる。このプロジェクトがきっかけで、大学在学中からロフトワークでインターンとして働くようになる。2012年から正式にロフトワークに加わり、マーケティング Div.でビジネスセミナーや外部コラボレーションイベントの企画運営に携わる。最近は、増え続ける体重が悩みの種。

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