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Column コラム

勉強嫌いな渡部が「日本のデザイン勉強会」に参加してみた

渡部 晋也

マーケティング
渡部 晋也

こんにちは、渡部です。突然ですがみなさんは勉強って好きですか?「勉強」ってGoogleで調べてみるとその一部の意味が以下のように出てきます。

──《名・ス他自》無理にでも(=強)努力して励むこと/学業・技能などを身につけようと努力すること

勉強という言葉にはもともと「勉めを強いる」と、気の進まないことを仕方なくやるといった意味があったみたいですね。渡部も勉強にはそんなに積極的になれないところがあります。大学時代は、あの手この手を使い友達からノートを集め試験勉強をせずに乗り切っていました。そのくらいには、勉強が好きじゃなかったです。

全然イメージと違ったよ!「日本のデザイン勉強会」

『WIRED』日本版編集長の若林恵さんと弊社林千晶が2015年の夏頃から密かに開催している「日本のデザイン勉強会」に、先日はじめて参加してきました。すでに5回開かれたこの勉強会、今回のテーマは「日本の地図と空間のかたち」。講師には京都府立大学で歴史地理学を専門にする上杉和央さんをお招きしました。

いったいどんな集いなの?という方は、『WIRED』日本版のWebに林が寄稿した記事もぜひ併せてお読みください。

いま日本が世界に提示すべき価値観とは? 林千晶が「日本のデザイン勉強会」で学んだこと

記事の中で勉強会の目的を、林の原体験も織り交ぜながら以下のように紹介しています。

── 2020年のオリンピックに向けて、日本は世界にどのような価値観を提示できるのか。そんな問いに答えるために、日本を動かしている基本ルールとアーキテクチャーを考える

うーん、かっこいいけど、すごく広いし難しそうだと思いませんか。「勉強」会ってだけで渡部的には少しおよび腰でした。頭のいい人たちが喧々諤々高尚な難しい議論を繰り広げているんだと。でもそんなものは行ってみないと分かるまい、意を決して参加してみたんです。

そしたら驚き!イメージと全然違いましたよ。なんていうか、誤解を恐れずにいえば好奇心旺盛、子供みたいな大人たちが集まって、あーだこーだ好き勝手言い合うオモシロしゃべり場(笑)。 超楽しかったのです!

講師の上杉さん(右)と若林さん(左)。 若林さんのリラックスした感じいいですね

民俗学者の畑中章宏さん

見てください、好奇心に満ち溢れた林の顔!

馴染みのなかった地理学、実はすごい学問だった

今回の講師上杉さんは、古地図や歴史地理学が専門の京都府立大学の准教授。

地理って中学のときに授業であったのを最後に、今までの人生であまり関わりのない分野で、地図なんてどこか出かける時にGoogle Mapsを開く程度。でも上杉さんは「地理学は民族、風土、文化などと深く関わり合い、そこから都市のデザインや建築、経済、農業など、人の営み全般に関係しベースとなる大切な学問なんです」と地理学の魅力を語ってくれました。なるほど、確かに。

さらに地理の語源について解説してくれました。地理は英語で「Geography」。「Geo」は大地、「graphy」は図化することを意味していて、地理とはもともとビジュアライズする学問だったということ。そして、漢字の地理とは「地の理(ことわり)」を指すのだとか。儒学の言葉に「天地人」というのがありますが、天は時間、地は空間、人はそこで生活する人間を意味し、地理は時間(歴史)と人間を視野に入れ、時空と人間の営み全てをとらまえるための学問だということ。連綿と続く長い自然と人の歴史がそこに深く関わってくるのは当然、歴史地理学という分野があることも納得です。

上杉さんは日本の文化財としての景観(Landscape)の在り方について研究をしていて、実際に行政、様々な分野の専門家、地域の人々と一緒に文化的景観作りのプロジェクトをされています。

Cf. 文化的景観(文化庁)
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/keikan/

ストーリーを編むのが仕事?ロフトワークとの意外な接点

文化的景観って聞いてもピンときませんでしたが、上杉さんが教えてくれたのは4つ。長野県上高地の自然風景、宇治市の街並み、香川県栗林公園の庭園風景、岩手県一関本寺の農村風景。このうち、宇治市の町並みと一関本寺の農村風景は、重要文化的景観として国に選定された文化財なんだそうです。

上杉さんのお仕事は、それら景観を文化財として認定する際、その土地の歴史・文化・習慣や様式などをリサーチして、その地域ならではの魅力を見つけ出すこと。そしてその景観が、文化財として後世に残していくべきものだという確かな根拠と、その保存の方法や基準を行政や地域の人たちと一緒に作り上げていくことなんだそうです。

ここで面白かったのが、上杉さんが「いろいろな研究者や地域の人たちと一緒に、その地域の魅力についてとことん調べて議論をして、納得できるストーリーを編むことが大切な仕事なんです」と言っていたこと。

これってロフトワークが、クライアントと一緒に新しい価値を作っていくプロセスともつながる話だなと思いながら聞いていました。一方的に押し付ける「魅力」では、誰にも伝わらないし使われない。サービスでもプロダクトでも大切なのは、納得できて共感できる、しっかり練り上げられた強度のあるメッセージとその裏側にあるストーリーです。

上杉さんの仕事、歴史は古代まで遡って調べることもあるし、空間は街ひとつをまるっと隅から隅まで調べ尽くすことなんてザラだとか。リサーチからストーリーを作り上げるまでに、最低2〜3年はかけていると聞いて、時間的にも空間的にも我々とスケールが違いすぎてびっくり!

日本を動かしている基本ルールとアーキテクチャー

当日のメモを読み返してまだまだ書きたいことがたくさんあるのだけれど、一旦ここでおしまいにしようと思います。そしてあらためて、この勉強会の目的に立ち返ります。

── 2020年のオリンピックに向けて、日本は世界にどのような価値観を提示できるのか。そんな問いに答えるために、日本を動かしている基本ルールとアーキテクチャーを考える

うーん、わからねえぞ!笑

でもなんとなくおぼろげに見えてきたことがありました。それは日本人が「美しい」と考えるものや価値観が世界とは少し違うということ。上杉さんの話にもあったんですが、世界の文化財は基本的に静的保存が可能なものを重視するので、日本の“文化的景観”のように歴史、文化など無形なものも含めて価値を見出そうとする文化財は類を見ないそうです。そんな、内面の見えない美にも価値を見出す日本人の感性や考え方は、世界にも誇るべきものなんじゃないかなと思いました。

今後も続くこの「日本のデザイン勉強会」で、さらに日本の世界に誇れる基本ルールとアーキテクチャーが見つけられるんじゃないかと思うとワクワクしてきます。勉強嫌いの渡部も、この勉強会には前のめりになれそうです!

執筆者

渡部 晋也

マーケティング渡部 晋也

青山学院大学国際政治経済学部卒業。学生時代に代表の林千晶も審査員として加わったmy Japanプロジェクトの運営に携わる。このプロジェクトがきっかけで、大学在学中からロフトワークでインターンとして働くようになる。2012年から正式にロフトワークに加わり、マーケティング Div.でビジネスセミナーや外部コラボレーションイベントの企画運営に携わる。最近は、増え続ける体重が悩みの種。

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