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Column コラム

次世代LED発光パネル「Lightface」の新しい活用法を考えるハッカソン「Light Hack“Lightfaceと描く、未来のあかり”」イベントレポート

ryo_kanazashi

クリエイティブディレクター
金指 了

こんにちは! ロフトワークのディレクター、金指です。2017年2月3日(金)、2月16日(木)、2月17日(金)の計3日間、東京・渋谷のFabCafe MTRLにて、ロフトワークと株式会社nittohの共同主催によるハッカソン「Light Hack“Lightfaceと描く、未来のあかり”」を開催しました。

本ハッカソンは、株式会社nittohが開発した次世代LED発光パネル「Lightface」(ライトフェイス)の新たな魅力を発見するため、様々な分野のクリエイターやアーティストと共にLightfaceの活用方法や利用シーンを考え、具体的なプロトタイプを生み出そうというイベントです。「光」をめぐる全7つのアイデアはどのように生まれたのか、背景やプロセスとあわせてお伝えします。


「東洋のスイス」長野県諏訪市の高い精密加工技術を、もっとクリエイターに知ってほしい

イベントの発端は、ロフトワークが事務局を務める「SUWAデザインプロジェクト」。長野県諏訪市は時計、カメラ、レンズなどの生産で知られ、古くから「東洋のスイス」と呼ばれている工業都市です。ロフトワークは、諏訪の高い精密加工技術を首都圏はじめ国内外に広く伝えるため、諏訪市および諏訪に拠点を持つ3つの事業者と連携し、プロジェクトを進めてきました。

このプロジェクトに事業者として参加しているのが、創業1876年、140年の歴史を持つ株式会社nittohです。同社のプロダクトLightfaceをクリエイターの自由な発想で“Hack”する過程や結果を通じ、諏訪地域やnittohのものづくりの魅力を広くアピールすることがハッカソンのねらいです。


“光のカンバス”Lightfaceとは?

Lightfaceは、一言でいうならば「美しく光る一枚の板」。厚さはわずか11mmで、パネルの隅々まで均一でムラのない高密度な明るい光を放ちます。2016年度グッドデザイン賞特別賞[未来づくり]を受賞しました。

様々なビエンナーレ、国際広告賞、国際デザイン展でグランプリや金賞等の受賞歴を持つアーティストの戸田正寿さんが発案したイメージを、高い工学技術に強みをもつnittohが忠実に具現化した、高品質な技術が光る商品です。

Lightfaceは薄くて軽く、またLEDならではの発熱しにくい特性から、インテリア、ディスプレイとして利用されています。

また、表面にフィルムや印刷物などの素材を置くとLightfaceの光によって原画の陰影に深みが増します。どの角度、どの場所から見てもムラのない高品質な光を放つLightfaceは、さまざまな素材を「光る絵画」に生まれ変わらせるアートピースにもなるのです。

「光のカンバス」の無限の可能性を探求しよう

アーティストの戸田正寿さんは、Lightfaceのコンセプトを「光のカンバス」とし、発案当初は自分と同じクリエイターにアートの領域で使ってもらうことを想定していたといいます。

そこでLightfaceの新たな可能性を模索するにあたり、さまざまな表現に取り組むクリエイターが参加しLightfaceの新しい活用法を考えるハッカソンの開催が決定。ロフトワークのクリエイターコミュニティで参加者を募り、全19名によるLightfaceを活用したアイデア企画とプロトタイプ制作が実施されました。

なお、ハッカソンで生まれたプロトタイプから選ばれた優秀作品は、2017年3月1日(水)~5日(日)に渋谷ヒカリエで開催されたJAPAN BRAND FESTIVALにて展示されました。

デザイナーから水墨画家まで、総勢19名のクリエイターが集結

ハッカソンには、デザイナー、エンジニア、プログラマー、アーティスト、水墨画家、イラストレーター、研究者、建築家、音楽家など、バラエティに富んだ個性的なメンバーが集まりました。

株式会社nittohの春日さん、諏訪市経済部長の飯塚さんも参加しクリエイターへ激励のメッセージを贈ります。

Day1ではLightfaceに関する「インプット」と「チームビルディング」を行います。午前の部ではLightfaceの特長、スペックの理解を中心に行い、午後の部では作品をともに作り上げていくチームづくりをします。

まずはnittohの篠原さんから「均質な光」「フレームレス構造」「高い演色性」などLightfaceの特長を紹介。これを受け、早速参加者からの積極的な質問が飛び交いました。

「中身の加工技術を詳しく教えてください」
「超強力な磁石を載せても壊れませんか?」
「表面の熱はどのくらい出ますか?」

中には「DMX信号を用いた調光はできますか?」など本格的な質問もあり、参加するクリエイターたちの熱意が感じられます。

つづくアイスブレイクでは他己紹介ワークショップを行い、参加者同士の理解を深めます。当日は節分ということもあり、ランチタイムには恵方巻を作りみんなで実食! 和気あいあいとした雰囲気でハッカソンは進んでいきます。

個性豊かなクリエイターチームから沸き上がる、新しいアイデア

午後はチームビルディング。まずはLightfaceの発案者・戸田正寿さんによるLightfaceの開発コンセプト紹介からスタートです。

インテリア、空間デザイン、アートなど、それぞれの分野でLightfaceがどのように活用されてきたか、今後どのような活用プランがあるかを具体的なアイデアスケッチとともに戸田さんが解説します。参加者はひらめきやヒントをメモしながら、新しい活用方法のイメージをどんどん膨らませていきます。

つづくワークでは、まずは個人単位でLightfaceの新たな活用方法を考えます。アイデアのターゲット、シーンを文章やスケッチを用いながらアイデアシートに落とし込んでいきます。

アイデアにはすぐに実現できそうなものから、固定観念を吹き飛ばすようなユニークなものまで実にさまざま。参加者全員によるアイデアの発表が終わると、しばしフリートークの時間となります。

お互いのアイデアに感想や意見、質問をぶつけあいながら、チームビルディングも同時に実施。こうしDay1終了時には7つのクリエイターチームが誕生しました。

2週間後に開催されるDay2までに各チームは個別にミーティングを重ね、作品の方向性を詰めていきます。

新たな視点とテクノロジーで、可能性を押し広げる

インプットとチームブルディングのDay1、チーム別ミーティングを経て、ついに制作と発表のDay2,Day3の開催です。

朝の光が差し込むFabCafe MTRLで、最後の作業に没頭するクリエイター。

Day2は朝10時から渋谷FabCafe MTRLをオープン、そのまま翌日のDay3開始時間まで場所を開放したところ、なんと半数以上のチームが徹夜で作業を進める白熱ぶり!

最終プレゼンテーションの直前まで、各チーム最後のチェックに余念がありません。「いいものを作りたい!」というクリエイターの情熱がひしひしと伝わってきます。

発案者・戸田さんをはじめ、日本デザイン振興会・矢島進二さん、内閣府政策参与・浜野京さん、大日本印刷・上田哲也さんら4名の審査員のみなさんによる審査で選ばれたのは、全7作品中3作品! 選出理由とあわせてご紹介します。(>>全作品の詳細はこちら

ディスプレイとしてのLightfaceの可能性を広げる「ヒカリ絵」

チーム名:日吉バスターズ
作品名:ヒカリ絵

貨幣や公文書に使われている「透かし」技術をはじめ、光のあたり具合によって見え方が変わる特殊な印刷技術はすでに多数開発されています。これらの技術を用いた商品パッケージをつくり、Lightfaceの上に陳列することで「手に取るとパッケージデザインが変化する→商品を思わず手にとって見たくなる」ディスプレイが実現できる、という提案です。

見慣れた商品パッケージも、Lightfaceの光を当てると違った印象に。

食い入るようにパッケージを見入る審査員のみなさん。

選考理由
「Lightfaceの特長は、ムラのない均質な光によって対象物の美しさをより一層引き出すところにあります。『ヒカリ絵』はその特長を応用し、光に照らされた対象物を美しく見せるだけでなく、見え方自体を変えてしまうというヒントを与えてくれました。このアイデアは商品パッケージだけでなく、今後DNPで行っていくLightfaceビジネス全般に広く応用できるものでした。さらなる発展のヒントを提示してくれた点を評価し、優秀作品に選ばせていただきました」(コメント:大日本印刷株式会社 情報イノベーション事業部 C&Iセンター ビジネスイノベーション部 IoTビジネス開発グループ リーダー 上田哲也さん)。

ギター演奏とLightfaceによる光のインスタレーション「ROCK STAR」

チーム名:ROCK STAR
作品名:ROCK STAR -to the double decade-

音と光によるパフォーマンスが始まると、会場は一気に幻想的な雰囲気に。

作曲家・川瀬さんのチーム「ROCK STAR」は、エレキギターの演奏と同期して明滅する“光のインスタレーション”を提案。

DMX信号でLightfaceが明滅する仕組みに製造元・nittohのみなさんも注目。

3層構造の特性パネルが、複雑かつ繊細な光を生み出します。

ギターの演奏音はセンサーによってDMX信号(*)に変換され、Lightfaceを複数枚使用した3層構造の特製パネルを光らせます。演奏にあわせて複雑かつ繊細な明滅を見せるLightfaceは、あっという間に会場内を幻想的な雰囲気に変えてしまいました。Lightfaceならではの圧倒的に美しい光と軽さによって、光と音の組み合わせを理想に近い形で実現できた自信作とのこと。
(*)音を二進数で表現する信号

選考理由
「この作品は、小さなお子さんでも楽しめるわかりやすさがあり、ライブなど音楽ビジネスにも活用できる余地が十分にあります。作品ではLightfaceを3層構造にしていましたが、1層でも十分にキレイな光を放つので商品化もしやすいと思います。アイデアの汎用性と広がりを評価し、優秀作品に選定させていただきました」(コメント:内閣府 政策参与 クールジャパン戦略担当 浜野京さん)。

窓のない場所に窓をつくろう!IoTインテリアデバイス「Anywhere Window」

チーム名:Light OR
作品名:Anywhere Window

Anywhere Windowはただの照明器具ではなく、インターネットと接続する「IoTインテリアデバイス」。

チーム「Light OR」は、インテリアとしてのLightfaceの可能性を広げる「Anywhere Window」という作品を発表。Anywhere Window=直訳すると「どこでも窓」です。

インターネット経由で屋外の日照時間、天候情報を取得します。

カーテンを取り替えれば部屋の雰囲気を変えることも。

コンセプトは「窓のない場所に窓を作る」というもの。Lightfaceが組み込まれた窓枠を部屋の壁に取り付けると、インターネット経由で屋外の日照状況や天候情報を取得し、それに連動したナチュラルな光を部屋の中にもたらします。Anywhere Windowは、ただの照明器具ではなく、いわば生活に寄り添う「IoTインテリアデバイス」なのです。

選考理由
「Lightfaceの薄さや自然光に近い演色性を活かした“窓”という発想の素晴らしさ、インターネット経由で外界の情報を室内にもたらすIoTデバイスとしての可能性、さらに付け替えできるカーテンのオプションを用意することでインテリアとしての楽しみ方まで考えられていました。非常にリアリティのある提案内容で、さまざまな可能性を想起させる魅力的な作品だったと思います」(コメント:公益財団法人日本デザイン振興会 事業部部長 矢島進二さん)。

まだ気づいていない魅力も、たくさんある

最後に、Lightfaceの製造元・株式会社nittoh 春日さんからの挨拶でハッカソンは閉会。

「クリエイターのみなさんの自由な発想に、今日はとても刺激を受けました。しかも、Lightfaceの新しい可能性を引き出すため夜を徹して作業をしてくれた方がこんなにいると知り、製造元として大変感激しています」。

「Light Hack “Lightfaceと描く、未来のあかり”」は、参加7チームがすべて高いクオリティの作品を生み出すという充実したハッカソンとなりました。

ロフトワークでは、今後もこのようなイベントを通じて、プロダクトの新しい魅力や可能性を惹き出すお手伝いをしていきたいと思います。知られざる魅力、可能性を探求したい技術やモノ、サービスをもつメーカーやエンジニアのみなさん、ぜひお声かけください!

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