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Column コラム

OpenCUディレクター長者原に聞く学びのデザインと企画の作り方

Kennosuke Yamaguchi

マーケティング
山口 謙之介

こんにちは。loftwork.jpのWebマスターの山口です。これまで事例イベントレポートなど社員の仕事内容を紹介するコンテンツを作ってきましたが、なかなか一人ひとりについて、深く紹介することができていませんでした。そこで、メンバーの声や考えを表に発信すべく社員にインタビューをすることにしました。

第1弾は、ロフトワークのオウンドメディアである、学びのプラットフォームOpenCUのディレクター長者原康達。2010年にはじまったOpenCUは、これまでに300件以上のイベントを開催、社内外で延べ7,000人以上が参加しています。これらの様々なイベントの企画を一人で考え、運用している長者原に、「学びのデザインと企画の作り方」を聞きました。

イベント開催のハードルが、今より少し高かった時代に立ち上がった学びのプラットフォーム

--改めてOpenCUについて教えてもらえますか?

長者原 2010年にクリエイティブの学びをシェアするプラットフォームとしてスタートし、毎月3〜4件のイベントやワークショップを行っています。上位概念から、実践的なメソッドまで幅広く、「クリエイティブ」「デザイン」の考え方を扱っています。

--もう7年になるんですね。はじめたきっかけはどんなことからでしたか?

長者原 千晶さん(ロフトワーク代表の林千晶)が、時々社外の人を呼んでロフトワークの社員向けの研修会、講演会をやっていたんです。せっかくだから、外部の人も交えてオープンにやろうという発想でした。

OpenCUディレクター 長者原 康達

ロフトワークはもともとオープン(情報を内外に共有する)にするのが大好きな社風なんですが、当時、現在のようにオープンスペース、コワーキングスペースなど、イベントを頻繁に開催している空間もそれほどありませんでした。加えてソーシャルメディアを使ってイベントを告知する文化も多くはありませんでした。言うなれば、イベントが、もう少しかしこまっていた時代だったかもしれません。今でこそ、PeatixやDoorkeeperなど気軽にイベントを立ち上げられるインフラが整いましたが、当時は少なかったですね。

そんな時に、自社でイベントをどんどん作れる仕組みを、オフラインとオンラインの両方を同時に作りました。場所とWebサイトをコミュニティのプラットフォームにしたかったんです。

社員でも楽しめる企画はいい企画

--イベントのうち自主企画はほぼ長者原さん一人で企画しているのですよね?

長者原 はい。ロフトワークではオウンドメディアの担当が1サイト1名なので必然的に年間50本くらいを目標でやっています。仕込みは2ヶ月くらい前から始めて、1ヶ月前には告知できるように進めていて、常時3〜4企画が同時に進行しています。

--それだけの本数を考えるのは大変そうですね。

長者原 立ち上げ当初はネタがなくて苦労しました。企画をロフトワークで作ることより、ネタや企画を持っている人や企業に、一緒にイベントやりませんか?と提案することも多かったです。でも試行錯誤をしていく中で、徐々に自主企画も増えていって、バランスよくなっていきました。肩の力が抜けて自然と時代にあったテーマで企画するようになっていったんだと思います。

--時代にあったテーマですか。何か見つけるコツみたいなものがあるんですか?

長者原 ソーシャルメディアやニュースで見かけるビックワードに注目することもありますが、よくやるのは本屋の平積みウォッチですね。ぱっと見、トレンドは把握できますよね。文字が飛び込んでくるし。帯にあるキャッチコピーも参考になります。内容に関して出版社の裏付けもありますし。仕事帰りによく情報をチェックしにいきます。

-- 企画の良し悪しを判断する基準はあるんでしょうか?

長者原 イベント自体の盛り上がり具合はもちろんありますが、ロフトワークの社員の参加が、多かったイベントは反応がよいイベントだったなと思います。

ロフトワークはクリエィティブの力で企業の課題を解決したり、今は見えていない価値を発見することに取り組んでいますが、そのジャンルや業界は多岐に渡ります。僕がちょっと面白いなと思ったことを社内にキュレーションできる場になればいいなと思います。今このあたりを知っていたら、視野が広がって面白いよっていう具合に。

本は本棚にしまった瞬間読まなくなるので、雑然と積み上げておくのが手に取りやすくてよい。という長者原のデスク

OpenCUがはじまったきっかけも、社内向けの勉強会のオープン化だったこともありますし、社員が興味を持つ企画を作り、ナレッジとして還元し、スキルアップしてもらう。その結果としてさらに面白い仕事をしてもらえたら嬉しいですよね。

何を学ぶのか。何故学ぶのかに対する一つの真理

--写真講座や、落語や空間のあり方など、かなり幅広くイベントを展開していますが、例えば落語講座はどのあたりに学びのデザインがあったのですか?

長者原 これは教養という感じ。ロフトワークの社員の約半数はクリエイティブディレクターで、クライアントワークを担当するメンバーです。クリエイティブを高めていくには、おのずと多方面への様々なリテラシーが求められます。例えば、写真だって、一眼レフくらい、触れるでしょう?といった具合に。落語は何故伝統芸能なのか、そもそも何をやっているのか。理解していたら思考の幅が広がるかもしれないと考え企画しました。現に話の作り方はプレゼンそのものだし。セールストークなどにも使えると思いました。落語って多くの人にとって新しい体験だし楽しそうじゃないですか。

落語講座では10Fに即席で専用のステージも作成

テーマについての実践的な話題ばかりを学びと定義してしまうと、つまらないと思うんです。全て吸収しなきゃいけないとなってしまう。でも時々箸休めがあることで、仕事でつまづいていることのヒントになったりインスパイアされたりします。開催時間が夜のことも多いし、仕事外の時間だから、楽しめることも重要かなと。

--今はオンライン授業やアクティブ・ラーニングなど様々な学びの形がありますが、学びの流行も意識しているんですか?

長者原 例えばカメラマンの土肥さんと設計したフィールドワーカーのための撮影技術では、フィールドワークと銘打ち、写真でストーリーを作る一点を学びのポイントにしました。通常のカメラ講座にしてしまうと、カメラとは、レンズとはの話になってしまいがちですが、写真は、切り取り方によって、良し悪しや意味付けができる面白さがあります。道端に落ちている空き缶をひとつとっても、撮り方によっては意味が出る。この1点を2時間で学んでもらう。それも楽しみながら。というのが僕と講師で設定した学びのポイントでした。

カメラ持参で、写真でストーリーを作る楽しさを体感したイベント

おそらく写真でストーリーを作る1点に関しては効率的に学べたはずです。面白さに気づいてもらったら、あとは各自で撮影技術などを学びながら掘り下げて貰えればよいのかなと。

なので、「楽しさ」と「効率」を意識しています。それが学びのトレンドと言えばそうなのかも、という程度です。「楽しさ」は何かを掘り下げるきっかけなんです。なぜ学ぶのかに対して真理は1つで、それぞれの人が「好きでやりたくて仕方ない状態をどのように作るか」だと思います。

時間をかけて、一歩一歩体得していく、大学の講義やオンライン授業とは学びの種類が違います。あくまで1回2時間の講座で、「あ、これ楽しいかも」と小さな興味をいかにみなの中に作っていくかです。楽しみを伴った興味は、その後自らそのテーマを掘り下げていくモチベーションの種になります。そうするともうすすんで学んでいる状態になると考えています。

講座で扱うテーマから効率的に美味しいポイントにまず触れてもらうかがチャレンジですよね。

オフィスをでてフィールドワークする

--長者原さんが企画を作る上で、心がけていることを教えてください。

長者原 ひとつだけ挙げるとするとフィールドワークです。机で悶々と考えずに外に出ます。街に出て新たな変化を見つけ、その理由を探ることを日常的にやっています。定点観測として、同じお店のウィンドウを毎日欠かさずチェックしたり。その変化は企画の種になります。

出先で見つけた面白いアイテムは写真で記録し、新しい企画を作るヒントにするという長者原

変化を見つけて企画にするのは昔から好きでした。企画会議を1時間やるくらいなら、みんなで1時間街に出ていって面白いと思う情報を拾ってくる方がいいと思います。

--今後のOpenCUで考えていることはありますか?

長者原 時代にあったテーマから企画に落とすのもよいのですが、まだ表に出ていない価値を発掘するのが最近は楽しくなっています。例えば例えば建築家の大野さんとやりはじめたイベントの「決めないデザイン」ワークショップ。これは「決めないデザイン」と定義したのは僕と大野さんで、これから提唱して広げていこうとしています。

それから、OpenCUの枠組みを企業に導入していきたいと考えています。企業がそれぞれのオープンな学びの場だったりコミュニティをもっと持っていていい。OpenCUはロフトワークの視点からの学びのキュレーションなんですが、例えばオリンパスさんがオリンパスさんの視点からキュレーションしてオープンに学びを提供していたら面白いと思います。

米国スタートアップ企業のサービスで生き残る多くは、「気付き」から生まれたビジネスなんだそう。う〜ん……と考えて絞り出したものではなく、ふとした瞬間に思いつくことからはじまるんです。日々仕事していると、色々なことに気付くと思うんですが、日本の企業は縦割り組織が多いからか、その気付きが企画会議に上ることが少ないんですよね。そんな時にオープンな場があると、社内外問わず繋がりができて、思いつきが実現に向けて動き出したりする。

あとは、新たな挑戦として。規模は小さくですが、参加者同士が教え合い、学び合える場を考えています。モーターと歯車について学ぶイベントです。

ロフトワークでも日々取り組んでいる組織の枠を越えたコラボレーションをOpenCUでも実践する試みです。「動力」というシンプルだけど奥が深いテーマで色々なものを各自で作って共有すると、そこに一人では思いつかない学びの種があると思っています。みんなでプロトタイピングするとナレッジの数も増えるのかなと想定しています。

--みなで楽しみながら学び、ひとつのテーマを深掘りしていくのは面白そうですね。好きでやりたくて仕方ない状態を作れたら、新たな学びを生み出すステージにいけそうですね。

話を聞いた社員

長者原 康達(ちょうじゃばら こうたつ)

「OpenCU」ディレクター/「LAYOUT」ディレクター
学びのプラットフォーム「OpenCU」で年間50件以上のイベント企画立案から実施運営、パートナーコラボレーション、そしてWebサイトディレクションから運営、オンラインからオフラインを横断したコミュニケーション設計まで、ほぼ1人で幅広くこなす。ロフトワークの大型イベント実施には欠かせない、孤高のイベント&コラボレーション総監督。

OpenCUについて

株式会社ロフトワークが運営する学びをシェアするためのプラットフォーム。渋谷・道玄坂を中心に、毎月3〜4回のイベントを開催し、現在約7000人のメンバーが登録中。扱うテーマは、主に「クリエイティブ」「デザイン」領域。クリエイターや有識者によるトークセッション「EVENT」、プロフェッショナルの知見を共有し、体験しながら学びを得る「WORKSHOP」、アイデアをシェアするWebコンテンツ「IDEAS」の3つのコンテンツを提供しています。

OpenCUの学びを貴社にも取り入れてみませんか?

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