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GOOD DESIGN BEST 100とその未来 vol.6 里山十帖に学ぶサステナブルなビジネスの創り方
  • 15
    9月
  • 有料
  • 東京

レポート掲載中

Clipニホンバシ

GOOD DESIGN BEST 100とその未来 vol.6 里山十帖に学ぶサステナブルなビジネスの創り方

GOOD DESIGN BEST100に選ばれた商品やサービスにイノベーションのヒントを学ぶシリーズイベントが、2014年5月から回を重ね、早くも第6回を迎えました。コワーキングスペース、Clipニホンバシで初開催となった今回は、ライフスタイル型宿泊施設「里山十帖」を手がけた株式会社自遊人の岩佐十良(いわさとおる)氏がゲスト。そのビジネス手法に注目が集まりました。

オープニングでロフトワークの原亮介は、「里山十帖はすばらしい施設。ライフスタイル提案、地方創生といったキーワードで取り上げられることが多いが、今日はビジネスの創り方という新しい観点でお話を伺いたい」と挨拶。

ロフトワーク グロースハッカー 原(左) 三井不動産 定塚氏

続いて三井不動産定塚氏より、今回の会場「Clipニホンバシ」と、前回までの会場「KOIL」が簡単に紹介されました。今後は双方の会員同士の交流を図るべく、相互利用の仕組みも検討中だと言います。

Clipニホンバシ
“新たな事業を社外でクリエイトする場”としてオープン。ビジネス創造に特化した会員制コワーキングスペース。

KOIL
国内最大級のコワーキングスペース。“オープンイノベーション”を掲げ、ここで生まれたアイデアを事業として育てていくプロセスを支援する。

Clipニホンバシ(左)とKOIL(右)

Session

“リアルの場をメディアに、世の中に新しい価値観を提供”

岩佐 十良氏

株式会社自遊人の岩佐十良氏は、里山十帖という施設を作るに至った背景に言及。岩佐氏が取り組むのは、世の中にあるモノとモノ、人と人をつなぎ、新しい価値観をつくること(これを、岩佐氏は「ソーシャルラインデザイン」と呼ぶ)。これまでにも、自然や文化、食など、地元の人が気づいていない「価値の再構築」に奔走してきました。

2000年から人気雑誌「自遊人」を出版する傍ら、「米一粒がメディア。お米は雑誌より伝える力が強い」として、2002年には食品の通販事業を開始。おいしいお米を消費者に届けるために勉強しようと、2004年には日本橋のオフィスを新潟の南魚沼に移転。さらに2014年には廃業予定の旅館を譲り受け、急きょ温泉旅館をやる決意をしたのです。

「伝えることが仕事」と言う岩佐氏は、「伝えるメディアや業態は変わっても、世の中に新しい価値観を提供するという根本的な考え方は同じ。一番のメディアは、実はインターネットでも、新聞・雑誌でも、テレビでもなく、リアルの場。だから自分もそこで何かしたい」と語ります。

こうして、自ら図面を引き、築150年の古民家と築23年の宿泊棟をリノベーション。岩佐氏が提供する新しい価値観とは何なのか。それは、里山十帖に散りばめられた「さとやまから始まる十の物語」に込められています。自分の感性で感じてもらうため、宿泊客にこれらが説明されることはありません。

オープンから1年が過ぎて「今日初めて空室が出た」というほど盛況なのは、「共感の連鎖」によるものだとして、「感動した人が、良かった、美味しかった、楽しかったと伝えてくれる。スマホのおかげで、その連鎖のスピードが速くなったことで、いろいろなものがぐるぐる回り始めている」と岩佐氏。

いろいろなものとは、里山十帖を中心とした「都市に住む人」「地元住民」「地方の潜在的な観光資源(食・自然・産業)」の3つ。都市から里山十帖に集客し、地元の人を雇用し、 地元の人が忘れていた地方の潜在的観光資源を発掘しプロデュースすることで、もう一度資源にしていく活動です。これにより、都市に住む人は本当のラグジュアリーを再発見し、地元住民にはふるさとへの自信が生まれ、新しい産業ができ、うるおっていきます。

「グッドデザイン賞はこの活動に対して送られたものだと思う」と語る岩佐氏は、「新しいことは何もないし、特別な技術もない。実に単純な話なのに、みんな意外とやらないし、気づかないだけ。今後10年で10拠点作っていく考えだが、真似てもらうのは結構。同様の施設が増えて、地域が抱える問題が解決し、観光と農業と地域活性が一体化しながらどんどん大きくなるなら、むしろ歓迎だ」と締めくくりました。

Cross Talk

“みんながやらないこと、気づいていないことに、ヒントあり?”

セッション終了後は、モデレーターにNewsPicks編集長の佐々木紀彦氏を迎えてのクロストーク。事前に用意されたテーマに回答する形で、岩佐氏のビジネスの創り方を深堀りしました。その概略をご紹介します。

岩佐氏とモデレーターを務めたNewsPicks編集長の佐々木紀彦氏

●もっとも無駄なもの、それが事業計画書
投資家や金融機関への説明に必要な書類だが、そのとおりになるわけがない!というのがホンネ。事業は有機的に動かしていくべきものなのに、出したがためにやる義務が発生するのはナンセンス。既成事実に囚われてしまうことで、倒産に追い込む原因にもなる。

●思考のスクラップ&ビルド
一回決めたことを崩すのは怖いし、もったいない気はするが、周りの状況は時間軸で変化していくので、本当にこれって正しいの?時代遅れじゃない?風が変わってない?と問い直し、白紙に戻す勇気を持つことが重要。

●共感の統合
里山十帖は私の価値観から生まれたものだが、「こういうものがいい!」と思ったものをカタチにしたわけではない。複数の必要となる人物を抜き取り、頭の中で彼らの価値観を同時に走らせつつ、共感ポイントを探っていった。どこまで多重人格になり切れるかがカギ。

●真の連携、真の協業
農業生産者と加工業者がつながっていない、旅館の経営者は農業の話を聞いたことがないなど、地元の農産物がどうなっているのかを意外とみんな知らない。観光のカギが“地域の食文化”になれば、おのずと農業生産者も潤うはず。観光と農業が密接に連携していくことが、地域を永久に持続させる鍵。

●物語性
物語はどこにでもある。物語性とは編集能力。歴史を含め、どの地域にもある当たり前の話をきちんと掘り起こしていくことがとても重要。宝石の原石みたいなものが地元に転がっているのに、安易にB級グルメとゆるキャラに頼る風潮はどうかと思う。

●妥協なき前進・魂は細部に宿る
進み始めたら、細かい部分にも緊張感を途切れさせず、決して妥協しないこと。作り手が細部にまで注意を払い計算尽くしてこそ、「なんとなくいいね」につながっていく。逆に魂が抜けてしまうと、どこかで「あら?」とか「なんかおかしい」と気づかれてしまう。

●未来の道をつなぐ自主的な継続活動
お金になるかどうかわからないことは、怖いのでみんなやらないが、誰かがやるしかない。メリットを考えずにいろんな人がやろうとすることが重要。意外と人間は暮らせるもので、事実、私も新潟に移住して年収は大きく落ち込んだが、むしろ暮らしは豊か。現代はインフラも発達しているし、地方はそれだけの包容力を持っている。

たとえば、日本を代表するような大企業が、本拠地を地方に移したら面白い。一気に地方都市への流れができ、日本中の価値観がいい方向に変わっていくと思う。地元の人が地元の良さに気づくことはなかなかない。一番大きいのは外部の風。

クロストークが終わり、最後は参加者からの質問に回答。モデレーターを務めたロフトワークの松井創自身も、里山十帖にすでに二回も足を運んだファンの一人。リピーターの絶えない宿である点に「サステナブル」のヒントがあるのでは?と突っ込む松井に、「サステナブルでありたいと思うが、すごく難しい」として、「常に世の中のモノや人をどうやって組み合わせていけばいいかを考えている」と岩佐氏。

自身も里山十帖ファンだというロフトワークのプロデューサー松井

「人のつなげ方」についての質問にも、「意外と大したことはしていない。私は場づくりをしているだけ。そこで何が生まれるかには関与しない」とあっさり。冒頭のセッションで「単純な話なのに、みんな意外とやらないし、気づかないだけ」という発言もあったように、実は私たちが当たり前過ぎて見落としていることに、サステナブルのヒントがあるのかもしれません。

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