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サービスデザインに役立つカスタマージャーニー活用法 開催レポート
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日本オラクル セミナールーム(外苑前)

サービスデザインに役立つカスタマージャーニー活用法 開催レポート

顧客体験をデザインするための手法として注目される「カスタマージャーニーマップ(以下、CJM)」は、その作り方ばかりがフィーチャーされ、作ることが目的化しがちです。ロフトワークは、日本オラクル株式会社とのシリーズイベント第3弾として、CJMから新しい価値を創造するワークショップを開催。参加者は、CJMを作って終わりにしないための実践的手法を体感しました。

ワークショップを前に日本オラクル株式会社の渡邊紳二氏は、「前回はオラクルが主体となってワークショップを実施してきたが、今回はロフトワークのワークショップを体験していただきたい」と説明。「奇抜なアイデアを新しいビジネスチャンスにつなげていくためには、本日ご紹介する取り組みが非常に重要になる。ぜひ楽しみながら学んでほしい」と挨拶しました。

日本オラクル FM事業統括本部 WebCenterソリューション部 部長 渡邊 紳二氏

座学

顧客への共感の質が、思考と行動と結果の質を変える

座学とワークショップで構成された今回のイベントは、ロフトワークでクリエイティブディレクターを務める西本泰司が講師およびファシリテーターを担当。はじめに、「CJMは作り方よりもどう活かすかが重要。CJMを活かすためにはCJM自体の品質を高める必要がある」と西本。自らが直近で手がけたプロジェクトでは、「CJMの作成に80時間をかけた。そのうちの60時間はユーザーインタビューに費やしている」と説明しました。

ロフトワーク シニアディレクター 西本 泰司

その理由は、「共感することが一番大事だから」と西本は強調。デザイン思考の5つのステップでも、共感に始まり、課題定義、アイデアの創造、プロトタイプ、テストへと続きます。つまり、顧客体験への共感が一気通貫ですべてのプロセスの中心軸として存在するのです。「Running Lean」の著者アッシュ・マウリャも「顧客と対話することは、人が欲しがるものを作るのと同じくらい大切なこと」と述べています。

また、西本は、「CJMは単なる“手法”に過ぎない。人が共感するのはその“内容”。したがって、まずはどうやって内容の“品質”を高めるかというポイントにフォーカスを当てたい」と語り、CJMの“内容”を作るプロセスを座学で紹介しました。

以下に、西本が実際のプロジェクトで実践したプロセスとそのポイントを簡単に整理します。

1) インタビューの準備をする

誰にどこで何を聞くかがCJMの品質を規定するため、準備は入念に行う。

STEP1 対象セグメントの設定
STEP2 声がけリストの作成
STEP3 リクルーティング
STEP4 質問内容の設計


質問内容の設計では、インタビューガイドやカードソートなどのツール使う。その際、特に明らかにしたいポイント3〜5つにを絞り、ポイントを深掘りするようなガイドにすると効果的。


2) インタビューを行う

話を聞く十分な時間の余裕と、聞いたあとの十分な分析の時間が品質を規定する。ロフトワークでは、1人2時間のインタビューを実施し、その分析にも1人あたり2時間をかけたることもある。4時間×15人で計60時間をこのプロセスに費やしたことになる。

STEP1 パイロットテスト
STEP2 インタビュー
SETP3 ラップアップ


3) インサイトを見える化する

インサイト=ユーザーの価値観。つまり、リサーチのすべての価値はインサイトにあると言える。したがって、インサイトを誰が見ても理解できる形にまとめ、一つ一つ丁寧に残すことが重要。

STEP1 付箋を使った構造化
STEP2 概要文章の作成
SETP3 資料化


4) ペルソナ&CJMを作成する

インサイトを文章で羅列するだけでは直感的に把握できないため、インサイトに人格と行動文脈を与えて可視化する。CJMは、フェーズ、タッチポイント、感情、思考で構成するのがもっともシンプルな基本形。

STEP1 インサイトの構造化
STEP2 ペルソナの作成
STEP3 CJMの作成


5) 機会領域を定義する

検討すべき価値のある領域(ビジネス観点から注力すべき領域)を絞り込み、施策を考える準備をする。機会領域は顧客とのタッチポイントにおける体験アイデアを考えるためのフィルターの役割を果たす。

STEP1 アイデアの発散
STEP2 領域の定義
STEP3 概要文章の作成


以上を説明したところで、「80時間かかった理由がわかっていただけたと思う」と西本。また、「共感を通じて我々の視点が変化する。ユーザの価値観を理解することで視野が変わり、視野が変わるから次につながっていく。この点がCJMの一番の価値」と強調しました。

ダニエル・キムの「成功の循環モデル」でも、結果の質をよくするために顧客との関係の質を変えることに着目しています。関係の質を変えると、思考の質、行動の質が変わり、ゆえに結果が変わるのです。この関係の質こそが、デザイン思考の5つのステップにおける「共感」にあたります。価値観が同化するレベルまで共感できると、共感以降のアクティビティがすべて変わってきます。つまり、どこまで共感できたかが、以降のプロセスの品質を規定しているということです。

「共感できていないと結果の品質は上がらない。だから顧客の話を聞くことが重要であり、我々はそこにたっぷりと時間を使っているのです」と語る西本は、座学で伝えたかったポイントをもう一度整理しました。


<まとめ>

・人は「ホンネ」に共感するため、CJMより「インサイトの内容」に価値がある
・CJMはインサイトを直感的に把握できるようにするツールであり、「共創+創造」に効果を発揮する
・顧客との「関係の質」を変えることが思考、行動、結果の質を変えるため、共感を通じて変わった「視点」こそ本当の魔法のツール
・「価値観が同化」するまで顧客に共感できるとベスト

Workshop

3つのアイディエーションで、共感~創造のプロセスを実践

続いて、座学でのインプットを受けてワークショップを実施。参加者は大手総合電機メーカーの社員という架空のシナリオのもと、ワークショップがスタートしました。

今回のイベントはCJMの活用がテーマであるため、架空のペルソナとCJM、機会領域を基にしてアイデアを出していきます。参加者たちは、まずは顧客への共感を深めるために、あらかじめ用意されたペルソナとCJMを読み込んだあと、3つのアイディエーションを体感していきました。

アイディエーションの基本は「発散⇒探索⇒収束」であり、ポイントは、「アイデアの生態系を広げて深めながら、これだ!を探すこと」です。

アイディエーション01
ペルソナとCJMをもとに課題を見つけ、解決するためのアイデア(手堅いアイデア)を考える。

アイディエーション02
機会領域を絞り込み、リフレーミング(発想の転換)の手法を使って、少々飛んだアイデアを出す。

アイディエーション03
さらに独自資源(強み)と掛け合わせて、その企業ならではのアイデアを考える。

ペルソナとCJMを読み込んで、施策を考えていきます。

途中で同じグループのメンバーに内容を共有しフィードバックをもらいます

こうして参加者から出てきたアイデアの数は約200。「アイディエーションの方法を複数用意すると実にいろいろなアイデアが出てくるが、1回ではなかなか難しく、発散⇒探索⇒収束のプロセスを何度となく繰り返す必要がある。新しいものを作るときは、9割が失敗すると言われる中で、その1割を探すのは大変なこと。実際には、今日体感したような内容を2日目のワークショップにつなげていくことになる」と西本。

壁一面に貼られたアイデアから、優れていると思うものにシールを貼っていきます。

シールが集まったアイデアは起案者が内容を発表

ただし、単に時間をかければいいというものではありません。重要なのは、どこまで共感できているかです。CJMの活用における共感の重要性を体感した今回のイベントを、西本は、「次はみなさん自身の顧客で、“価値観への同化”と顧客視点での“革新的な創造”にチャレンジしてみてください」との言葉で締めくくりました。

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