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訪日外国人の行動を「線」でとらえ新サービスをデザインする3日間 DESIGN CAMP FOR TOURIST EXPERIENCE 開催レポート
  • 15
    1月
  • 東京

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訪日外国人の行動を「線」でとらえ新サービスをデザインする3日間 DESIGN CAMP FOR TOURIST EXPERIENCE 開催レポート

年々増加する訪日観光客。彼らはどんな体験を求めてやってくるのか?どうすれば彼らの求める体験をより良いものにできるのか? ロフトワークは、訪日観光客へ実際にサービスを提供している企業を集め、ワークショップを中心とした3日間のイベントを開催。本レポートでは、サービスデザインの考え方に基づいて、デザインリサーチを行い、訪日観光客の体験を改善する、サービスアイデアへと落とし込んでいくプロセスを追いかけます。

<Day1>

本イベントをナビゲートするロフトワークのカワナ アキ(以下、アキ)は、オープニングトークで、「デザインプロセスにはサイエンスがある。発想の跳躍(クリエイティブジャンプ)を起こす確率を高めるための方法論があることを体感いただきたい」と挨拶。

さらに、「デザインプロセスを体感するにあたって大事なことは、手を動かしながら考えること。本イベントではデザインリサーチのプロセス、すなわち体験を作るプロセスを圧縮版でお届けする」と語り、1日目のキーワードに「インサイト」「ペルソナ」「メンタルモデル」の3つを挙げました。

ここで、参加者が積極的に発言できるように、ロフトワーク 柳川雄飛のファシリテートでアイスブレイクを実施。自己紹介、他己紹介を通じてインバウンド対策への課題意識を共有したあと、“手を動かしてみる体験”として、誰でも簡単に“私の流儀”が語れる番組公式アプリ「NHKプロフェッショナル私の流儀」を使ったムービー作成を体験しました。

ユーザ体験を紡ぐためのファーストステップ:デザインリサーチ

ワークショップの前には、多数の戦略的デザインリサーチのプロジェクトを実行してきたアキが、サービスデザインおよびデザインリサーチに関するインプットを行いました。

1)サービスデザインとは?

「ユーザーに何を提供していくかを考えるにあたり、サービスデザインという言葉をぜひ覚えてほしい」とアキ。サービスデザインについて、Wiki英語版から重要なキーワードとして次の4つを抽出し、そのポイントを解説していきました。

Planning and organizing:

サービスデザインを考えるときは、1つの製品やサービスだけでなく、ユーザー起点でのサービス開発で事業インパクトをどのように出せるかを、組織のトップから現場の担当者まで様々なレイヤーの人たちが議論をする。

Interaction between service provider and customers:

顧客・ユーザーとのインタラクションが起きる場所を明確に定め、どのようなインタラクションを起こしていくかを考える。

Needs of customers:

顧客ニーズを押さえる。アンケートはニーズを把握する一つの方法ではあるが、実際の言動との間にギャップがあることが多い。回答を鵜呑みにせず、なぜその人がそう言うのか、言動の源泉であるメンタルモデルを捉えることが重要。

Competences/capabilities of service providers:

やらないという選択も含め、自分たちのできること、できないことをきちんと見極める。そのサービスを実現するにあたってパートナーとなるべきプレーヤーを選定する。


続いてアキは、「Human-centered Design」という考え方を紹介し、「出せば売れる時代から、今は選んでもらう時代になった。誰に対してデザインするのかをきちんと捉えるために、ユーザーの思考や言動を把握し、共感しながらデザインに落とし込んでいく必要がある」と強調。また、「単体の体験から、体験の総和へ。1つの製品・サービスの体験から、製品・サービス全体の体験の総和を作るイメージを持ってもらいたい」と語り、そのポイントは「2つの軸で考える」ことだと言います。

<体験の総和を作る際の2つの軸>

●時間軸

ユーザー体験を時間軸で捉える(=カスタマージャーニーマップ)。例えばインバウンド観光客の文脈で言えば、自国で訪日計画を決めて予定を立て始めるところから、飛行機に乗り到着し、ホテルに滞在したり観光地を見て、おみやげを買って自国に帰り、想い出を共有するなどの一連の流れを考えることがそれに当たる。

●エコシステム

ユーザーを取り囲むタッチポイントの有機的な繋がりを捉える(エコシステム・マッピング)。インバウンド観光客の文脈で言えば、飛行機やホテルの予約・購入、現地での通信環境、位置情報のGPS、様々な商品の購入店、公共空間や移動中の接点、あるいはそれらのサービス提供者側がどのように連携しているのかを考えることがそれに当たる。

2)デザインリサーチとは?

「ユーザ体験を理解する作業の第一ステップに、デザインリサーチがある」とアキ。デザインプロセスには、一般論として、調査分析してインサイトを導く「Discover」→作るものを設計する「Design」→イメージをカタチにする「Deliver」の3つのフェーズがあります。

この「Discover」にあたるのがデザインリサーチですが、ここでインサイト(洞察)を導いたリサーチャーが次のフェーズに関わらないケースは少なくありません。それではせっかく得たインサイトが後半のフェーズに反映されなくなってしまうため、アキは、この3つのフェーズがほぼ重なるようなデザイン開発が理想だと指摘します。

「つまり、大事なのは一緒にやること。すべての役職の方がリサーチャーであり、戦略を考える人であり、企画を考える人であり、アイデアをカタチにする人である。今日からみなさんもサービスデザイナーもしくはデザインリサーチャーを名乗ってほしい」とアキ。

また、体験は一つひとつの感情の連続であり、デザインリサーチでは、それがどんなメカニズムで起こっているのかを探らなければなりません。そのためにはユーザーに共感する必要があります。そこで、「観察+インタビュー」を行うことになります。観察によってバイアスのかかっていない客観的事実を明らかにし、その事実がどういう意味合いを持っているのか、ユーザーへの質問を繰り返しながら翻訳していくのです。ユーザーのどのような思考プロセス(メンタルモデル)があるからそれらの言動が客観的事項として観察可能な状態になっているのかを理解する。これが、インサイトを導く作業というわけです。

「デザインにはアートとは違ってロジックがある。なぜ?と聞かれたときにこうだから!と答えられないといけない。天才と違って、ひらめきがそのままカタチになるわけではない。だからこそ、デザイン思考やデザインリサーチという科学的アプローチが大事」と説明するアキは、デザインリサーチのプロセスでは「なぜ?」という質問と回答の往復が大切だと強調しました。

Workshop

現状と理想の間にあるギャップを明らかにする

インプットを終え、いよいよワークショップがスタート。旅行中のライフライン「モバイル」をテーマにワークを行い、3日間をかけて、モバイルのサービスアイデアへと落とし込んでいきます。1日目は、ペルソナのプロトタイプを作成することをゴールに、3つのステップを通じてユーザーのインサイトを導いていきました。

STEP1 観察とインタビューを通じてユーザーの言動に関する事実を収集する

3人編成のチームで渋谷の街に繰り出し、訪日観光客をリクルーティングしてきてインタビューを実施。日本滞在中にモバイルサービスを利用する訪日観光客にどのような欲求があるのか、それに基づいてどのような行動が現れているのかを探りました。

<インタビューで確認するポイント>

・訪日外国人はどのような情報をもとに旅行の計画を立てて実行しているのか?(意思決定をするときに何が影響しているのか?)
・旅行中の体験をシェアすることがあるかないか?それによってどんな欲求を満たそうとしているのか?

STEP2 収集した事実から言えることの意味合いを翻訳する

インタビューのメモを見返しながら発言や観察事項を黄色の付箋に書き出し、それらの意味合いを考えながらグルーピング。さらに、グル―ピングしたものの意味合いを言語化し、青い付箋に書き出していきました。

STEP3 翻訳された意味合いからメンタルモデルの要素となるインサイトを導く

さまざまなペルソナのメンタルモデルを構成するインサイトをリスト化。具体的には、青い付箋だけの模造紙を作り、それらの意味合いを考えながら、さらにグルーピング。グルーピングしたものの意味合いを言語化し、ピンクの付箋にまとめていきました。このピンクの付箋が、デザインリサーチで導き出したインサイトです。

最後に、3つのステップを経て導き出したインサイトをもとに、ペルソナのプロトタイプを作成。「ペルソナとは、製品やサービスを作るとき、どういうメンタルモデルの人のために作るのかを明確に定義したもの。したがってセグメント情報はなるべく排除して行動の源泉となる考え方を中心にまとめることが大切。」とアキ。参加者は、ペルソナのタイトル(例:自己完結型のデジタル世代トラベラー)、概要、ゴール、ニーズ、キーとなるインサイトなどを、STEP1~3で書き出した付箋を使い、模造紙上で整理していきました。

このペルソナのプロトタイプをベースに、1人1つずつペルソナを作成すること。これが参加者に出された宿題です。一週間後のイベント2日目には、このペルソナに肉付けをし、カスタマージャーニーマップに落とし込んでいくことになります。

アキは「旅行のプランニングのきっかけから想い出を共有するまで、あるいは日本に滞在している時間の中で、どういうタッチポイントがあるのか、そのタッチポイントでどんなことが起こるのかを、Head(考えていること)、Heart(感じていること)、Hand(行動していること)の3つのHで考えていく」と予告、1日目のプログラムを終えました。

3日間のダイジェスト動画

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