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「物語の世界」で捉える、人間とコンピュータの10年後の未来とは? ー『Design Fiction Workshop』体験レポート
  • 10
    6月
  • 無料
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レポート掲載中

loftwork COOOP(loftwork渋谷 10F)

「物語の世界」で捉える、人間とコンピュータの10年後の未来とは? ー『Design Fiction Workshop』体験レポート

「物語の世界」で捉える、人間とコンピュータの10年後の未来とは?

「心の中に未来にふさわしいビジョンを描け。そして、自分を過去の末裔であるという迷信を忘れるんだ。あの未来の生を思い巡らせば、工夫し、発明すべきものが限りなくある」(フリードリヒ・ニーチェ/哲学者)。

2016年6月10日、NECパーソナルコンピュータ株式会社、レノボ・ジャパン株式会社、VAIO株式会社の協賛のもと「物語から未来を創造し、新たなコンピューティングのヒントや、イノベーションを起こしていこう」という目的のアイディエーションワークショップが開催されました。

「1日中、理想の未来を想像する」という心躍る内容のワークショップイベントに、抽選で選ばれたおよそ50名がloftwork COOOPに集結。

数々のグループワークを手掛けるロフトワークですが、“デザイン・フィクション”をテーマにした催しは初めての試み。今回はそんな『Design Fiction Workshop』の参加レポートをお届けします。

「こんなこといいな できたらいいな♪」想像すれば、理想の未来はやってくる

受付で指定された席につくと、さっそく自己紹介が始まっていました。

プランナー、デザイナー、ディレクター、編集者、マーケッター、エンジニア、映像関係、学生など職種や経歴もさまざまな方が集まりチームになっています本日はこの多種多様な面々が10チームに分かれてワークを行うとのこと。この多様なメンバーからいったいどんなアイデアが飛び出すのか、それを考えるだけで期待に胸が膨らみます。

本イベントの協賛・NECレノボの留目真伸代表の挨拶からスタート。

レノボ・ジャパン株式会社 代表取締役社長 兼 NECパーソナルコンピュータ株式会社 代表取締役 執行役員社長 留目 真伸さん

「PCが誕生してから30年以上経ち、本来は人の生活に変化をもたらすことを目指していたはずのPCも、本質的な変化はなくスペックを良くしただけのものが、新製品として発売される状況なってしまっています。いま“コンピューティング・エクスペリエンス”(コンピュータと人の関わり)が叫ばれていますが、本来テクノロジーは人間をもっともっと豊かにするもののはずです。本日はみなさんといっしょに、それを考えたいと思います」。

穏やかな人柄が伝わってくるスピーチの後、モデレーターの佐々木星児(ロフトワーク)によるワークの説明に移ります。

株式会社ロフトワーク クリエイティブディレクター 佐々木 星児

「本日のテーマは“デザインフィクション”。あまり聞きなじみのない言葉かもしれませんが、簡単にいえば、理想の未来を思い描くことです。“アイデアソン”や“ハッカソン”では考える範囲を絞っているので、ビジョンが狭くなってしまいがちですが、今回はもっと前段です。

「“デザインフィクション”についてもう少し説明すると、デザインのアイデアに説得力を持たせるための物語世界であり、ストーリーテリングの発展形のようなデザイン手法のことを指します。SF(サイエンス・フィクション)のように、架空の物語を創作する中で、未来に当たり前になるかもしれないプロダクトやサービスをプロトタイプするという発想です。
たとえば『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のVR、ウェアラブルデバイス、会話できるAI……いまでは全部実現されていますね! つまりは、未知のオブジェクトやサービスについて細部まで考えることで、未来をかたちづくっていく、という考え方。物語りをつくることで、たんなる想像ではなくリアリティの裏付けをしていくということです」。

佐々木は、さらに二人の言葉を引用し、説明を締めくくりました。

「『これが多分こうなるぜ』『こうなったらおもしろいぜ』という仮説を立てまくって、解像度を上げたイメージをいろんな人と共有するってことが大事」」
(熊野森人/エレダイ2 代表取締役・クリエイティブディレクター、京都精華大学・京都造形芸術大学・東京芸術学舎 非常勤講師)

「ドラえもんスピリッツです。『こんなこといいな できたらいいな♪』っていう(笑)」
(幸村誠/漫画家)

本日のゴールは、未来について自分なりの考えを持つことです。“理想の、おもしろい、ワクワクする”そんな未来像を共有できるカタチにしていきましょう」。
熱のこもった言葉にすっかり会場も温まったところで、いよいよワークがスタートしました。

Design Fiction Workshop vol.1 ー「物語の世界」で捉える、人間とコンピュータの10年後の未来 from loftwork on Vimeo.
本イベントを3分間にまとめたドキュメンタリー映像

初めての“デザイン・フィクション” 気になるワークの内容は?

盛りだくさんだったワークの流れは次の通りでした。

本ワークのミッション

「理想の、おもしろい、わくわくする」そんな個々の想像する未来のカタチを、共有できるかたちにすること。

1)アイデアを発散する「理想の未来世界を考える」<個人ワーク>

10年後、2026年の世界を想像し、その世界観を配布されたシートにイラスト入りで記入。これを5分刻みに4セット行います。

2)世界観を作る(2026年の理想の未来世界を深める)<チームワーク>

1)で考えたアイデアを、チーム内で発表。世界観を各チーム一つに絞り込み、「衣・食・住」「トレンド」「ワークスタイル」「ルール」など設定を細かく決め、未来世界の輪郭をつくります。

3)キャラクターのイメージをつくる <個人ワーク>

先の世界観に沿って、そこで生きる理想的な人物のキャラクターを想像。ペルソナを設定するように「名前」「性別」「得意・不得意」「尊敬する人」など、シートの項目に沿ってキャラクターの解像度を高めます。

4)ストーリーを作る(未来世界のストーリーボード制作)<個人&チームワーク>

作成したキャラクターが未来世界でどんな生活をしているのか。印象的なシーンを4コマ漫画で表現します。「日常的に使われているコンピューティングはどんなものか」「暮らし方や働き方はどうなっているか」などを深掘りでき、もっとも共感できるストーリーを選び、チームで更にアイデアを重ねていきます。

個人ワークでは“質より量”をとのことで、「未来世界を考える」ワークを4セット。

さすがに短時間に何パターンも具体化するのは至難の業だったのか、みなさんかなり頭を悩ましている様子でした。

描いたアイデアをチーム内で発表。

普段人前で話す機会も多い方でも、カタチのないまったくの想像を人に伝えるとなると、これがまたけっこう難しい。イラスト付きなのですが、むしろそれが仇となり伝わらないのです。ビジュアルの重要さを再認識しました。

続くチームワーク。

参加したチームでは全員の世界観が近くテーマはすぐに決まったものの、夢が膨らみすぎてしまい、まとめていく作業で苦戦しました。途中ランチタイムを挟むも、時間いっぱい世界観の共有は続きました。

続いて深掘りするキャラとストーリーを一つに絞り込み、ブラッシュアップ。

これまでの流れでメンバーのキャラはつかめていたので、絵を書く人、まとめる人、コピーを書く人など、それぞれの役割で「10年後の理想の世界・キャスト・ストーリー」を最終段階のストーリーボードにまとめ上げました。

笑いと感嘆の声の絶えない発表ばかり はたして最優秀賞は誰の手に!?

どのチームもレベルが高く、またここまでのハードな流れからの開放も手伝って、全10チーム × 5分の発表は、笑いと感嘆の声の絶えないものになりました。

個別化がより顕著になった世界で食卓をシェアする“キッチンコミュニティ”を想像した「あしたの食卓」(Bチーム/優秀賞)、なぜか滋賀県の上に無重力の街をつくり会場中の話題をかっさらっていた「New Air」(Aチーム/ロフトワーク賞)、パーソナライズされたAIを用い余暇の持てる世界を考えた「1日36時間の世界」(Hチーム/VAIO賞)、感情をシェアすることでコミュニケーションを活性化させる「Knowledge Sharingの究極的世界」(Fチーム/NECレノボ賞)などは、まさに十人十色で甲乙つけがたい、すばらしい企画ばかりでした。

このレポートでは、そのなかでもやはり飛び抜けていた、最優秀賞のEチーム「場所に縛られないドローンハウスの生活」をご紹介。淡々とした口調で、次々と独創的なアイデアが飛び出しました。

「いま場所に縛られない働き方が注目されていますが、いずれ生活そのものがそうなっていくのではないか。そこで、Amazonが移動型のコンテナ住居を開発したという設定で『10年後には、住む場所にすら縛られない生き方ができるようになった』という企画を考えました」

「たとえば、“スーパーすし職人”。この人は好きなタイミングで海へ魚を獲りに行って、パリやロンドンなど好きな場所でお店をオープンします。ほかには、“ものすごくアウトドア好きな開業医”。チョモランマの頂上に病院を立てちゃう。そんなエクストリームな人ばかりでなく普通のOLでも、1週間のうちにいろんな地域に行き、いろんな場所で彼氏をつくる、みたいな生活も可能になりますね(笑)」。

突飛な発言の連続に、笑いの絶えなかったEチーム。しかし続く締めの言葉で、決してこれらが冗談などでなく、きちんと考え抜かれたアイデアだということも伝わってきました。
「10年後にはインドや中国またシンガポールなど、世界的に人口過密が激しくなります。土地を広げることはできませんが、移動の自由はあるんじゃないか、と。そうすれば人口過密も、欧州の難民問題なんかも解決できる。もし日本で直下地震が起きても回避できるかもしれない。場所にとらわれないことによって、あらゆる問題の解決や、何より自由になれるのです」。

持ち時間を1分半も余し、発表は終了。すると留目さんから「税金はどこに収めるんでしょう?」と、ちょっといじわるな質問が。でもこの難題もEチームはさらりと交わしてしまうのです。
「(現在も)ネットワークビジネスがどこの法律に縛られるか問題になってますが、それと同じように住所を持たない人々への対応が求められます。たとえば税金を回避するためにこの移動式住居に住むっていう人も現れて、議論が起こると思います」。

未来を想像することこそ“人間らしさ” 人は常に新たな価値観を発想してきた

審査員には、協賛企業のレノボ・ジャパン及びNECパーソナルコンピューターの代表を務める留目真伸さんと、VAIOの商品開発の責任者である伊藤好文さん、株式会社ABBALabの代表で「DMM.make」の総合プロデューサーである小笠原治さん、Cerevoの岩佐琢磨代表など日本のIT産業を担うそうそうたる面々に加え、AR三兄弟の川田十夢さんや脚本家の長谷川徹さんという豪華な顔ぶれが揃います。

右から、審査員のAR三兄弟(長男)川田 十夢さん、株式会社Cerevo 代表取締役 岩佐 琢磨さん、株式会社ABBALab 代表取締役 小笠原 治さん

審査員の伊藤さんは優秀賞に添えて

VAIO株式会社 商品企画部 部長/商品プロデューサー 伊藤 好文さん

「10チームのプレゼンを聞き、理想の未来について共通するテーマが見えてきました。コンピューティングといってもその本質は、人間らしいコミュニケーションだったり、人間らしい生活を促すもの。そのためにテクノロジーを使おう、今回はそれを非常に表しているものとして選ばせていただきました」と、讃えました。

優秀賞を獲得したBチーム「あしたの食卓」と審査員の伊藤さん

また総評として、留目さんから「みなさん力作で最後の最後まで、本当に議論が尽きませんでした。テクノロジーをどう使っていくかは、やはり“人間らしさ”に集約されていたと思うのですが、なかでも方向性は“愛情”と“開放”の2つに分かれていました。とくに優秀賞にはあたたかい“愛情”が、最優秀賞には飛び抜けた“開放”がよく表されていたと思います。また最優秀賞の『ドローンハウス』が秀でていたのは新たな価値観を提示していたこと。『衣・食・住』に変わる『“移”・食・住』ですね。とても納得できました」。

最優秀賞を獲得したEチーム「場所に縛られないドローンハウスの生活」と審査員

冒頭にあったとおり、本ワークショップのテーマは“デザインフィクション”。10年後の理想的な物語を紡ぎ、未来を創造していくことでした。テーマに沿って考えれば、図らずしてすべてのチームが「コミュニケーションを深める」「もっと自由になる」「余暇を増やし手間をかける」といった“人間らしさ”を掲げていたことは、そう遠くない未来をひもとく鍵になっていくのかもしれません。

言うまでもなく、幸せの定義は人それぞれですが、少なくとも“らしく”あることは共通したヒントになりうる。そう考えればやはり、未来には「工夫し、発明すべきものが限りなくある」はずだ、と思いました。本イベントは、そんな“幸せ”についても考えるきっかけを与えてくれました。

ライター MASARU YOKOTA

多種多様なメンバーと未来を考える体験しませんか?

不確実な未来を想像しながら、創造的なアイデアを、組織や業界を超えたメンバーと一緒に形にしてみたい。そんな方にぜひ参加いただきたいワークショップです。

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