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【セミナーレポート】未来への正しい問い 身体の境界線としての皮膚 ポーラ化成工業
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レポート掲載中

【セミナーレポート】未来への正しい問い 身体の境界線としての皮膚 ポーラ化成工業

未来への正しい問い 身体の境界線としての皮膚

WIREDとLoftworkは、未来を創造したい企業に向け、正しい問いの設定と答えを探すプロセスをサポートするプログラム「Polémica」(ポレミカ)を始動。その初の事例となったポーラ化成工業さまをゲストに迎え、イノベーションを可能にする正しい問いのあり方を考えました。

Talk Session “思考停止に近い安易な考えに未来はない”

はじめにロフトワークの君塚美香は、「イノベーションって何だろう?イノベーションを成功させるにはどうすればよいのだろう?そんなことを、今回ご支援したプロジェクトを通じて議論していきたい」と挨拶。続くトークセッションでは、『WIRED』日本版 編集長の若林恵氏とロフトワーク代表取締役の林千晶の二人が、「Polémica」をスタートした経緯を振り返りつつ、イノベーションの視座について意見を交わしました。

林: 企業の方からご相談をいただく際に、課題の設定、事業の設定そのものに疑問を感じることがよくあります。たとえば、選挙で例えるなら、若い人を選挙に行かせるための議論は盛んにされるものの、選挙というシステム自体を疑ってみることをしません。改めて本質を問い直す力が必要だと思うのです。

Polémica」でやろうとしているのは、みなさんの問いに対して正しい答えを導き出すことではありません。「本当にその問いから始めていいの?」と、問いそのものを一緒に追求したらどんなことができるだろう?という実験です。

若林: 多くの企業が専任部署を作ってイノベーションに取り組んでいますよね。参考書やフレームワークもたくさんあるし、みなさんよく勉強されていますが、その割にはどこにも到達していないし、会社として何を価値としたいのかがなかなか見えてこない。人為的に集まってできた企業体が、人の意思がないまま動くことに慣れてしまっている。これはゆゆしき問題だと思ってます。

これをやっていればゴールが見えてくるだろうとか、ある方法を使えば答えが出るかもしれないといった安易な考えは、思考停止に近い。向かいたい先がないところに新しいことを取り入れても、どこにも向かいません。

あらゆるものを疑い、再定義することから始めよう

林: 人口が減り、モノがあふれている時代に、企業は依然として、大量生産時代のルールを変えられずにいます。社会が求めているものとのギャップを埋める作業をしない限り、次のステップにいけないのでは?という問題意識が「Polémica」を始めたきっかけです。

自分たちの会社に何ができるのかを考えるときに、あまりにも多くの前提条件を無条件に受け入れて、最後の表層的な部分だけでイノベーションを作ろうとするのは間違っていますね。

『WIRED』 日本版 編集長 若林 恵氏

若林: ある枠組みの中に留まっている限りイノベーションは生まれない。現状のルールから抜け出せないからです。未来は今と違うからこそ価値があります。いろいろなものを再定義することから始めることが非常に重要です。当たり前をどう疑うか。疑おうと思えばあらゆることが疑える。そういう発想で物事を考えていくことです。

たとえば、松下幸之助が目指した質的な豊かさは実現したけど、本当に豊かになったのか?貧しさの克服がミッションとしてあったなら、我々は今どういう貧しさの中にあるのだろう?と考えてみることが大切だと思っています。

個人の行動が企業、社会、世界を変えていく

若林: イギリスのEU離脱やバングラデシュのテロなどを見ても思うんですが、当たり前だと思っていた仕組みが通用しなくなってきた今、ビジネスに限らず、何を価値として生きているのかを考える大きな転換点にいるのかもしれません。

林: 見方によっては、個人の行動の結果が社会や企業、世界のあり方を変える時代に突入しているのかも。そうなると、個人をいかにうまく動かす仕組みを作れるかが鍵になります。個人の力をうまく使ったプラットフォームの先行例が、UBERやAirbnbなど。企業がモノを作って消費者に渡すという流れは大きく変わりつつあります。

若林: みんなが当たり前だと思っているけど、実は間違っていることってなんだろう?その問いに的確に答えられたものがイノベーションにつながっていきます。「Polémica」では、そうした当たり前の疑い方を一緒に考えていきたいと思います。

Panel Discussion “人間の思考自体が変わっていく、それが「Polémica」”

続いて、「Polémica」初の事例となったポーラ化成工業株式会社から近藤千尋氏と米倉和輝氏を交えてパネルディスカッションを実施。あらゆる前提を疑い、徹底的に問い直すことで、新しい未来を導き出したプロジェクトを振り返りました。

●プロジェクトの背景

米倉: ある日、経営陣から新規事業を考えるように言われたものの、そのような経験が今までなく、近藤と二人で頭を悩ませながら定めた領域が「皮膚×テクノロジー」。長年皮膚の研究をしてきたので、皮膚と最近盛り上がっているテクノロジーをかけ合わせれば何か新しいことができそうだということでスタートしたプロジェクトでした。

ポーラ化成工業株式会社 研究企画部 係長 近藤 千尋氏

近藤: 若林さんにご相談にお伺いしたとき「テクノロジーなら何でもいいわけじゃないでしょう。人とテクノロジーの間には文化とか社会というものがあるのに、そこをどう考えているのですか」と言われてハッとしました。

人の生活がほんの少しでもよくなってほしい、誰かがもう少し優しくなれる時間を作りたいといったイメージから出発したはずなのに、そうした数値に置き換えられない価値がいつの間にか企画書からこぼれ落ちていたのです。

林: 企画書を拝見して、「このプロジェクトはメンバー全員で知的探検に出るようなもので、行き先はわからないし、終わったときにこの企画とは全く違った未来を描いているかもしれない。それでもいいですか?」と確認したのを覚えています(笑)。

●プロジェクトの進め方

北島(ロフトワーク): ポーラ化成工業とWIREDとロフトワークで強みを持ち合い、さまざまな問いを立てながら仮説と検証を行ってきました。企画書をただ否定したのでなく、今あるルールを疑うという土壌を作っていったのです。

進め方としては、文献調査を通じて身体・皮膚の歴史と現在をひもとくと同時に、皮膚感覚に優れていそうな各界の方々にインタビューを実施。そこで得られた情報をもとにワークショップを重ね、皮膚の未来はどこにありそうか、対象エリアはどこにすべきかを議論していきました。現在もプロジェクトは続いています。

林: 一般的な企業のリサーチは、箱を決めたら、その箱の中の情報しか集めません。今回特徴的だったのは「身体」や「皮膚」を長い歴史観、文化感の中で捉えたこと。動物的な臭いがする方がかっこいいとされた時代と、臭いがしないほど良いとされる現代。この変化の理由を捉え直さないと、「身体」とか「皮膚」の輪郭は見えてこないからです。

若林: 文献調査は重要です。たとえば、「女性は美しいほうがいい」という話も、いつからそんな話になったのか。もしかしたら、広告で誰かが言ったのを鵜呑みにしているのかもしれません。それが消費とセットでドライブしているうちはよくても、通用しなくなってきたときに、その前提自体に問題があることになります。

●プロジェクトの成果

北島: 文化的、歴史的な観点から捉え直した新しい「皮膚」の定義ができたこと、そこから皮膚研究(領域)のアイデアを発見できたこと、ポーラ化成工業がそこに取り組む理由を明確化できたことが大きな成果です。

ポーラ化成工業株式会社 肌科学研究部 研究員 米倉 和輝氏

米倉: 安易な切り口で、儲かりそうだからというのではなく、本当にやりたいことを拾ってもらいカタチにできました。今後も他の化粧品会社とは違うアプローチで進んでいけそうです。

近藤: テクノロジーはツールに過ぎないことが腹落ちし、自信を得たこと、皮膚に対する定義が変わったことが大きな変化です。皮膚を再定義して以降、出てくる企画やアイデアも変化しました。今進んでいる企画も当初の企画書とはまったく違います。

若林: 誰もが飛びつくアイデアはイノベーションとは言いません。○○とは何か?をじっくり考え続けることはすごく困難で、その困難なことができる人がイノベーションを生むのです。

林: 最後まで変化に富んだ充実したプロジェクトでした。ゴールは企画書ではありません。人間の思考自体が変わっていく。それが「Polémica」サービスのアウトプットなのです。

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