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A CREATIVE SPACE for INNOVATION ー 未来をカタチにしていく「創造空間」のつくり方
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loftwork COOOP(loftwork渋谷 10F)

A CREATIVE SPACE for INNOVATION ー 未来をカタチにしていく「創造空間」のつくり方

新結合が生まれる「場」とは?時代が求める創造空間のあり方

近年、テクノロジーの進化や人々の価値観の変化が急速に進む中、企業はよりスピード感を持って、革新的な開発を進める必要が出てきました。企業内のリソースを最大限に活用したり、社外の人材とオープンにアイデアを出し合えるなど、創造性を刺激するクリエイティブな「空間」の作り方への試行錯誤が繰り返されています。
理想の創造空間を作るためのポイントについて、イベント「A CREATIVE SPACE for INNOVATION ー 未来をカタチにしていく創造空間の作り方」で富士通株式会社とパナソニック株式会社の成功事例を踏まえた、活発な議論が行われました。

「『オフィスの再発明』!? 新結合が生まれる「場」を考える」
株式会社ロフトワーク イノベーションメーカー 棚橋 弘季が考える、新しい価値創造に必要なコトとは?社会的価値が生まれるにはどんな空間・活動があればよいのか?「オフィスの再発明」という考え方を切り口に解説。

オープンイノベーションを創発する空間に必要な「3×3の要素」
株式会社岡村製作所 マーケティング本部 ソリューション戦略部 未来企画室 室長/WORK MILL編集長・エバンジェリスト 遅野井氏が、オープンイノベーション創発する空間づくりの要素を9つ(3×3)に分解して解説。

Case Study紹介「日本で本格化しはじめた「場」づくり ー 富士通株式会社とパナソニック株式会社事例紹介」
富士通株式会社のHAB-YUとPLY、パナソニック株式会社のWonder LAB Osaka。それぞれの共創空間が出来るまで、その後の成果などを担当者が紹介。

Open Discussion「空間デザイナーと考える、機能する「場」づくり実現のヒント」
株式会社ロフトワークの創造空間プロジェクト担当者、建築家、デザイナーとともに、創造空間に必要な「場」づくりのポイントをディスカッション。

「結局、「場」作りとは何か。自前主義に陥らないための、イノベーション発生装置としての「場」を考える」
株式会社ロフトワーク 代表取締役社長 諏訪 光洋とプロデューサー 松井 創が、それぞれ「場」づくりに必要な考え方や姿勢を語る。

新たな価値創造に必要なコトとは

多くの日本企業が、新たな価値創造を求めて創造空間を作り始めています。一方、せっかく空間を作ったが思うように使われない。機能しないケースも。では、どうすればいいのか。パナソニック株式会社のWonder LAB Osaka、富士通株式会社のFUJITSU Knowledge Integration Base PLYの創造空間を立ち上げてきたロフトワークの棚橋が答えます。

株式会社ロフトワーク イノベーションメーカー 棚橋 弘季

まだない空間、まだない活動をデザインする『オフィスの再発明』

棚橋は「創造空間を作るとき、まず価値創造に必要な活動とは何かを考えることが重要。その時、既存の空間や活動に縛られないことが大事です。」と言う。新しい価値を作る空間や活動は従来のオフィス空間や企業活動とは違い、まだない空間・活動である可能性が高いからだという。ロフトワークもloftworkCOOOP、FabCafeやMTRLを実験的に作ってきた。その場で始まった、従来の仕事の域を超えた活動から、多くの新しい価値が生まれてきた実感があるという。「名前のない空間、名前のない活動を共に考え、デザインすることが僕たちの仕事です。例えば、どんな新しい価値を作りたいか。どんな活動をするかを再定義、言語化したり。新しい活動を促すために、オリジナル家具やイベントもデザインします。僕たちの仕事は、すこし大げさに言うと『オフィスの再発明』だと思っています。」と語った。

新たな価値創造に結びつくような、まだ「名前のない活動」は、従来の執務空間や会議室、社員食堂などの名前にはおさまらない、「名前のない空間」を作ることがもとめられる。

オフィスの起源にみる、オープンイノベーションのヒント

オフィス起源を探ると、1729年にロンドンのレドンホール・ストリート沿いに作られた東インド会社の建物が、オフィス専用に建てられた世界初のビルと言われています。以降、会社の拡大・組織化に伴いオフィスは効率化を重視。科学的管理法として「計画者と執行者の分離」や「職能別組織」が導入され、現在の島型レイアウトや縦割りオフィス空間に行き着いた。しかし、「巨大組織の大量生産構造では機能するが、新しい価値を作るにはもっと小さく挑戦できる場が必要では」と棚橋。
そんな彼が注目するのは、オフィス発祥前にオフィス代用されていた、「コーヒーハウス」。多様で異質な人々が緩やかに集い、株式会社や船舶保険、新聞といった新たな価値を創出した、まさにオープンイノベーションの原点かもしれません。

多様性をもったコミュニティが、新結合の可能性を高める

新結合が生まれる可能性を高めるというのが、創造空間のひとつの方向性。それには、多様性をもったコミュニティ作りが鍵。」と棚橋は言う。「たとえば曜日に合わせて複数企業のオフィスを横断して働くのも良さそう」というアイデアを提案。一箇所にとどまらないことで、新たな人と出会い、つながり、また新たなアイデアが生まれるのでは。という発想です。「大事なのは、『複数の“場所”で働く』ことではなく『人との接点を複数持つ』ということ。イノベーティブな活動を生むには、多様な人との接点が必要。役割や役職といった組織の枠をも超えることで初めて実現されます。」と語った。

オープンイノベーションを創発する空間に必要な「3×3の要素」

では理想の創造空間を作るための具体的な要素は何なのでしょうか。長年オフィス研究を専門としており、「はたらく」の新しい価値を挽きだすWEBマガジン「WORKMILL」編集長でもある、株式会社岡村製作所の遅野井 宏さんにその要素をご紹介いただきました。

株式会社岡村製作所 マーケティング本部 ソリューション戦略部 未来企画室 室長/WORK MILL編集長・エバンジェリスト 遅野井 宏氏

呼び名はないけど個性がある。自由な共創スペース

遅野井さんは、現在から10年後にオフィス空間の構成はどう変化しているか、ある仮説を解説。テレワーカーやクラウドワーカーが増え作業スペースのフリーアドレス化が進み、執務室の大きさは半減、会議室や生活支援、収納その他の要素が少しずつ減り、それらの機能を包括して受付やエントランス周りが現状の倍ほどの広さへと変化していく……という想定です。確かに、エントランス周りにテーブルやショールームが設置され、打ち合わせや休憩ができる機能を備える会社が増えきていますよね。

本イベントは、50人定員のところ、90人程度の申込みがありました。当日も満員御礼。

さらに、株式会社岡村製作所の研究から見えてきた、活発な「創造空間」に共通した特徴の説明も。空間が持つ個性が十分に活かされている、各国のオープンイノベーションラボやコワーキングスペース、フューチャースペースなどの例を紹介していただきました。

Thailand Creative & Design Center, Bangkok, Thailand
膨大な数のデザイン本を貯蔵し、会員は自由に使用できる専門書というキラーコンテンツを備えるナレッジコモンズ

Galvanaize SOMA, San Francisco, USA
ITに特化し、企業や大学と提携した学習プログラム持つなど人材育成も兼ねているコワーキングスペース

Greenspaces, Denver, USA
環境保全に関わるソーシャルコンシャスな人材や企業が集うコワーキングスペース

今社会に求められている「空間」は、あくまでもイノベーションを始めとした目的を果たすための、ひとつのツールなのだと実感できます。

オープンイノベーション空間に共通する「3×3の要素」

遅野井さんはこうした創造空間からは、共通した「3×3の要素」が抽出されたと展開。

遅野井さんの考える、オープンイノベーションスペースに必要な「3×3の要素」

1 空間要素

・ 特設:空間の特徴や「ここにしかない設備」が非日常を演出し、創造力を刺激する

・ 可変:時や条件、人数などによって、設備を移動したり空間を変えられる、時々の活動目的に応じて柔軟に対応できる多用性をもつ

・ 筆録:アイデアはいろいろな場所で記録し、可視化され、共有される。カジュアルに残すことで複数のアイデアが交わる

2 機能要素

・ 交流:カフェを併設するなど、自然に人を足止めする仕組み作りによって、人と人との新しい交流を促す

・ 創作:既存の明確な目的に対する「試作」のショーケースではなく、その空間で生まれたアイデアを結合して形にする「創作」をサポートする、ものづくりや発表の場の機能をもつ

・ 発信:設備使用者の専門性や特性を可視化し、空間の中にいる人のアクティビティを積極的に外部に発信する

3 人間要素

・ 関心:誰が何を得意としているのか、どんなことを考えているのか。場所を共有する人同士がお互いに興味を持つことで生まれる「関心のエネルギー」を活用すべく、人と人をつなげていく機能

・ 互恵:権利があるから、恩恵を受けたから、という前提があって行動するのではなく、利己的でも利他的でもない、積極的な行動が起こる仕組み作り。Give&Takeよりも一歩深度が高い「Give&Give」の関係性

・ 秩序:多様な人が集うことで起こる新たな交流やアイデアなど、無形の価値が蓄積されていることに創造空間の存在価値がある。コミュニケーションやナレッジが生まれる秩序、それを保つ機能を備える

どの項目も、一貫して新しい価値を生むためのアイデアや人の交流に関わることなのが特徴的です。

Case Study 「日本で本格化しはじめた「場」づくり」

イノベーティブな目的や概念を持った創造空間作りが、日本でも本格化しています。すでに実践している例として、富士通株式会社の平野さんとパナソニック株式会社の蓑田さんが立ち上げの背景から開設後までをケーススタディとして紹介してくれました。

富士通株式会社 グローバルマーケティング本部 総合デザインセンター シニアマネジャー 平野 隆氏

富士通株式会社の共創プラットフォーム、HAB-YUとPLY

富士通株式会社では、2つの共創プラットフォームをオープン。それぞれ、目的や対象が違うため、あえて違う空間を立ち上げたと、平野さんが説明。

HAB-YU platform
人・地域・ビジネスに関わる様々な課題を解きほぐし、解決策を見つけ、社会への新たな価値を作り出すことを目的にした共創プラットフォーム。森ビルとの共同開発により、森ビルの地域活動やイノベーティブネットワークを共有、活用。

FUJITSU Knowledge Integration Base PLY
富士通株式会社の3万人のSEを包括する部門が2016年5月にオープンさせた場。クライアントのリクエストに沿って製品を提供するだけではなく、たとえば企画段階から関わり「クライアントと一緒にもの作りをする」ことを実現。またそのようなプロセスで開発を行うことのできるシステムエンジニアの人材の育成を目的としている。

HAB-YU platform(左)、FUJITSU Knowledge Integration Base PLY(右)

「これからの時代のエンジニアはデバイスを開発したり、クライアントの仕様に基づいて仕事を進めるばかりではなく、構想や企画段階から関わって一緒にプランニングする中で新しい発想を生み出さないと差別化が図れない時代。生活者や企業のトップ、そして現場の人間が接点を持つことで新しい価値やビジネスが生まれる。」(平野さん)

パナソニック株式会社 先端研究本部 インタラクティブAI研究部 主幹研究員 蓑田 佑紀氏

Wonder LAB Osaka

パナソニック株式会社は、2016年4月、共創型イノベーションの実践を目的に「Wonder LAB Osaka」をオープン。Wonder LAB Osakaは、パナソニック株式会社の本拠点大阪・西門真の構内にある、「共に+創る」をコンセプトにプロトタイピングやワークショップスペースなどオープンイノベーションのための機能を持った空間です。

Wonder LAB Osaka

「パナソニック株式会社が、"おどろきのある商品やサービス”を創出し、人々の生活を変えるためには、技術者の日常の景色を変える必要がある。そのためには、オープンイノベーションを含め、社内のテクノロジーと社会との関係性を再構築しようと考えています」と蓑田さん。作り上げた空間では、積極的に社内ピッチコンテストや社外メンバーも交えたアイデアソンなどのイベントを展開。徐々に人が集まり、コミュニティが形成され始めました。

蓑田さん自身、「空間の中にコミュニティが形成されていくことで、アウトプットが後からしっかりついてきていることを日々実感している」そうです。オープンから3ヶ月間でWonder LAB Osakaのりよう予約総数は2倍へと伸び、中でもアイデアソンなどのワークショップ型の使用は5倍に急増したという数字にも、実績が顕著に現れています。

場がかわると、日常がかわる?

この後のパネルディスカッションでは、ロフトワークの松井と棚橋が加わり、すでにイノベーションスペースや創造空間を持っている人や、これから作りたい人、運営する人など、場作りに関わるあらゆる人に向けて、作りやすくするポイントが話し合われました。

まず「活動していく」ことから全てが始まる。

「企画段階では、本当に新しい空間が必要なのかと疑問を抱きながら企画をねった。」(平野さん)
「創造空間作りのきっかけは個人的な興味。新たな空間作りをしたいと発言をし続けるうちに、次第に協力者が集まった」(蓑田さん)
松井からの、プロジェクトの始まり方は何だったか、という問いへの回答が、まさに現場が抱える大きな課題を表しています。前例のない空間を他者を巻き込んで作るということは、裏打ちされた結果などを最初に提示しづらいもの。社内稟議など障壁も多く、「まず動くこと」からしか始まらないことも多々あります。

なぜ「場」を作るのか。動きながら、活動の本質を問い続けていく

「軸は、チャレンジする人を集めたい、ということ。仕事とはいえ、どうせなら何かおもしろいことをしたい、そう共感できる”相手”と、つらくても真剣に取り組みたい。」(蓑田さん)
特徴的だったのは、空間のコンセプトが固まるまでの過程では明確な見通しは立っていなかったという話。とにかく現場レベルのヒアリングを徹底したり、チャレンジ意欲のある人を探すなど、「人」を中心に模索していくことでおのずとコンセプトが見えてくる…裏を返せば、コンセプトだけが一人歩きをしても成功へは繋がらないのかもしれません。

デザイナーにも聞いてみた。機能する「場」づくり実現のヒント

オープンディスカッションでは、富士通株式会社 FUJITSU Knowledge Integration Base PLYとパナソニック株式会社 Wonder LAB Osakaの空間設計を担当した建築家の古市淑乃さんと、LoftworkCOOOPやFabCafeMTRLの空間設計、パナソニック株式会社 Wonder LAB Osakaの家具デザインを担当した、空間デザイナーの岩沢仁さんを交え、参加者とともにディスカッション。

制約があるからこそ面白い。限られた条件の中、想いを実現する秘訣とは。

「制約や条件があるからこそ、その中でどの程度遊べるか」(岩沢さん)
可変的、新しい空間とはいうものの、予算的に既存のハードとどう組み合わせていくのか。という参加者からの質問に対し、「制約や条件の中でどの程度遊べるか、とポジティブに捉えみては。余白は必ず見つかる。そもそも創造空間は、奇抜なデザインをするのが目的ではない。空間に求められる機能は何か、というのを掘り起こすのが根本。」というのは岩沢さん。「だからこそ、できる限りプロジェクトの初期段階から関わり、「一緒に作る」プロセスを重視している」と語るのは古市さん。途中から要望を吸い上げるのではなく、一緒に考えて作らないとなかなか生かし切れません。

交流はひとつの手段。その先まで描ける環境作りも必要

参加者からの、「交流すればイノベーションが生まれるのか?」という問いに対して松井は「交流はイノベーションのための手段のひとつにすぎません。たくさんの人が交流すればするだけ、新しいアイデアが発生する可能性は高まります。しかし、イノベーションを実現するためには、生まれたアイデアをインテグレートする過程が次に必要になることは確かです。」と回答した。

結局、場作りとは何か。本当に必要なのか。

いよいよイベントセミナーも終盤を迎え、松井とともに、ロフトワークの代表である諏訪が登壇。

創造空間作りとは、”SPACE”作りではなく”PLACE(場)”作り

「PLACEには、”人間性”があり”機能”があり、そして”空間”がある。クリエイティブPLACEを作るべき。」(松井)

松井はまとめとして創造空間作りとは、「PLACE(場)作り」だと説明しています。ただの間仕切られた空間である「SPACE」ではなく、機能性、空間性と合わせて、「人」の姿が欠かせない場所が「PLACE」。創造空間に必要なのは空間の概念以上に、そこに存在する人の姿を作り上げる概念だといえるでしょう。

自前主義にならない、ビジネスモデルに向けた創造空間

諏訪によると、「時代は自前主義から変革のときを迎えています。ライフスタイルや価値観の多様化が進む中、商品ひとつをとっても、自社の技術を展開するだけでは十分とはいえなくなってきました。ユーザーにとって、何が必要とされているかを過敏に取り入れながら、自社の外にある、あらゆる分野の素材や技術、芸術、才能を柔軟にリンクさせていくことが求められています。」

*loftworkでは、FabCafe、MTRL、OpenCU、LAYOUTなど様々な「場」のプラットフォームを持ち、日々あらゆる分野・テーマのイベントやワークショップ、ハッカソンや交流会が実施されている。

富士通株式会社や株式会社岡村製作所、パナソニック株式会社の事例を見ても、すべて外から人が入ってくる境界線となる場所に創造空間を設立しています。
「社会に点在している”素材” ”技術” ”芸術” ”才能”などの要素を融合させるためには、それを持ち合わせた「人」を集める場所が必要。現代のビジネスに求められているAPIのひとつが「創造空間」という場所なだけであり、空間にさらにどんなAPIをインストールしていくのか、つまりどんな活動をしていくのかを一緒に作り上げなければいけない」と締めくくりました。

(テキスト・嶋川一葉)

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