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レポート掲載中

loftwork COOOP(ロフトワーク渋谷 10F)

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シリーズイベントloftwork Webmaster Camp vol.7のテーマは「ブランディング × CX」。氾用されがちな「ブランディング」の定義や手法とは?ブランドの価値を高める企業が提供すべき顧客体験“CX(Customer Experience)とは?

ブランドを体現するためのWebサイトとは?

本イベントのアドバイザリーボードであるアビームコンサルティング 本間氏、ロフトワーク 重松、シフトブレイン 鈴木氏によるトークセッションからスタート。

アビームコンサルティング 本間 充

まずは本間氏が、ブランドとは「企業や商品を認識できる特徴」を指すと定義し、その上で日米における差異を紹介。アメリカにおいてブランドとは、コカ・コーラが「くびれた赤い瓶」、ペプシは「青い缶」のように「全世界の誰が見てもわかる」を必須条件に挙げているといいます。一方、日本は日本語のみを話す「単一言語市場」であることから、ロゴや色、形、質感などで自社の差異を示す理由に乏しかったと話します。

一例として、日本の企業Webサイトはロゴを隠せば競合と見分けがつかないケースを挙げ「競合に自社が"似せている"なら考え直すべき」と呼びかけました。


デザインではないブランディング

ロフトワーク クリエイティブDiv. シニアディレクター 重松 佑

ロフトワークの重松は、ブランディングは大きく2つに分けると考えやすいと言います。ひとつは、“Corporate Identity”で、ロゴやデザインなどビジュアルや、タグラインのようなメッセージで自社を発信するもの。もうひとつは、“Strategy”。ターゲットに向けたコンセプト周知や顧客満足度の向上といったいわゆる「ブランド戦略」です。

本間氏の言うブランド価値が反映されていないWebサイトを作らないためにも、「デザイン」と「戦略」の間にある「設計」という考え方が重要だといいます。中でもWebサイトのブランディングに活用できるのが「Customer Experienceを軸とした設計思想」。つまりワイヤーフレームやユーザー導線といった「設計」を誰かの才能やセンスに頼るのではなく、利用者であるカスタマーの体験を元にしたファクトの解釈を取り入れ設計を行うことです。

カスタマーの体験を反映させたWebサイトとして、重松は事例を2つ挙げます。Audio-Technicaのスタジオ仕様モニターヘッドフォンを紹介するWebサイトでは、プロダクトの魅力をクライアントと共に紐解き、「音がフラット=階層構造がない」「余計なものがない=メニューがない」「原音再生=素の魅力をそのまま表現する(装飾せずに商品を見せるビジュアル)」といった解釈にたどり着きました。それが「ヘッドフォンの本来の価値」を伝えるためにWebサイトのデザインやコンテンツに反映されています。グローバルメニューを省略したり、ボタンの要素がなかったりユーザビリティを重視したサイトではありません。しかし、ブランドの魅力がWebサイトでも反映された結果、Audio-Technicaがこのヘッドフォンを通じてユーザーに届けたいプロダクトの価値が伝わるWebサイトに仕上がりました。

ベネッセアートサイト直島のリニューアルプロジェクトでは、幅広い層に愛される瀬戸内の島々の魅力が伝わるWebサイトを目指し、性別や年代の属性が異なる直島滞在者16名にデプスインタビューを実施。


16人にはそれぞれ直島で得た体験がどういうものだったか?という視点でインタビュー。重松は「デプスインタビューで重要なのはニーズを聞かず体験を聞くこと」と強調。体験を聞くとは具体的に、直島で実際にユーザーがとった行動をベースに、それを支えている感情、思考、価値観を明らかにしていく作業です。そして様々なユーザーの思考や価値観から導き出された共通項=メンタルモデルがWebサイトの「設計思想」を作る材料となっていきます。


加えて重松は「年齢、性別、家族構成などの属性情報だけでなく、どんな体験をしてなにを感じたのかという感性情報をきちんと把握して、それに共感したWebサイトの設計やデザインを作ることができる」と、体験を軸にしたデプスインタビューとメンタルモデル作成の利点を語りました。
集まったメンタルモデルを元にプロジェクトメンバーで3泊4日、計5回のワークショップを実施。グローバルメニューが多い従来型の「担当者が管理しやすいサイト」から、カスタマー体験を軸とした「共感されるサイト」へ再構築できたと言います。


併せて、現在の潮流としてWebサイトの役割が変化していることにも触れ、「情報発信」にウェイトが置かれていたところから、これからはユーザーに「共感の輪」を広げることが大切と指摘。「共有から共感」へ時代がシフトしていると語り、「Customer Experienceを軸とした設計思想」の有用性を伝えました。

クライアントを味方にするための5つの視点

シフトブレイン CHIEF DESIGN OFFICER CREATIVE DIRECTOR 鈴木 慶太朗

シフトブレインの鈴木氏は、 ヤフー株式会社の採用ページを事例に、昨今のWebサイト構築でブランディングが話題に挙がる理由を「プロダクトが作られる順序の変化」にあると話します。


従来はパンフレットなどをまず制作し、そのコンテンツや世界観をWebサイトに転載していました。しかし、現在はトーン&マナーやコンテンツやといった構成要件をWebサイト向けに一から作ったうえで、パンフレットへ落としこむというように立場が逆転してきているというのです。
これからのWebマスターに求められるものは、クライアントの感情を言語化し、構成要件を共に作り上げていくこと。そのために、鈴木氏はクライアントと制作チームが仲間となって「同じ方向を見るための5つの要素」として下記を挙げました。

  • 背景:クライアントの歴史、社員、社風、服装…
  • 目的:Webサイトの存在目的、KPI、レギュレーション…
  • ターゲット:使ってほしいと考える想定ユーザー…
  • 競合把握:コンテンツの方向性、自社メディアの有無
  • 将来:展望、今後の方向性…

この5つの観点から、クライアントの「特長・強み」や「トーン&マナーを設定するためのキーワード」を策定することが、ブランディングを意識したサイトを構築する近道になると話しました。

キーワードは「言語化」、ベースになるのは担当者の想い

ここからは3名が登壇してのディスカッションへ。
「企業においてブランディングは誰の仕事か?」というテーマについて、鈴木氏は「企業の担当者は自社ブランドを感覚的にわかっているものの言語化が難しい」とした上で、外部パートナーを組み込むことで事実情報と感覚値の両面から探っていくことを勧めます。

この考えに本間氏は共感、仕事の所在を「ブランドオーナーはあくまで会社固有だが、ブランドとプロダクトが連携するなら経営企画室、連携しなくてもよいならブランドマネージャーか事業責任者」と、ブランドが及ぶ範囲によって対応する部署も異なるとの見方を示しました。


一方で重松は、企業を包括するブランドを全サービス/プロダクトに落としこむのではなく、それぞれの部署の担当者が自分たちなりのブランド価値を考え、個別に伝えるのもひとつの道だと提案。今回のイベントを例に取れば、「主催のロフトワークに共感せずとも、Webmaster Campに共感できればよい」となるように、担当者が抱く想いを発信して、ユーザーから共感されることを重視する姿勢を見せました。


今回のディスカッションで幾度となく現れたキーワードは「言語化」でした。ブランディングは外側から定義づけられるのではなく、クライアントの感覚値をいかに抽出し、目に見える形で共有できるが鍵になるというわけです。


鈴木氏は雑誌や写真といったアイデンティティを集めたアイデアボードをつくり、「この雑誌に載ると嬉しい」といったイメージを共有し合ったこともあると振り返ります。重松は言語化したキーワードにはそれぞれに解釈が生まれるため、「クライアント、デザイナー、ディレクターが共通感覚を持ち、チーム間での共有を」と呼びかけました。
また、本間氏は「今までのイメージを脱却したい」という常套句は、それまで構築してきたブランドを安易に壊すことにもつながりかねないため、この場合も「なぜ脱却したいか」をしっかりと言語化できるレベルまで議論することが大切と述べました。

ブランディングのためには、ネガポジ両面の着想を

その後、ロフトワークの柳川をファシリテーターにワークショップを実施。ディスカッションでも重視された言語化を体感すべく、テーマは「“街”をさまざまな切り口から言語化することで、ブランドを言語化する切り口を学ぶ」です。

参加者は渋谷、浅草、お台場、丸の内から好きな街をひとつ選び、グループに分けて自己紹介をした後、個人ワークからスタート。「選んだ街での体験やイメージを自由に言語化」して付箋に書いてからグループで共有します。その後は、ファシリテーターから出されるテーマ(切り口)に対して答えを共有する、一種の“大喜利”を通じて街のイメージを積み重ねていきました。


お題は、人々の服装や街の歴史といった事実に基づく観点だけでなく、色や食べ物などに例えて想像を膨らませるものも。参加者は着想した切り口を共有し合い、貼られていく付箋によって「新しいその街の姿」を可視化していったのです。

今回のようにグループで切り口を変えながら対象を見つめるワークは、設計思想の組み上げにも似ています。まずは個人の体験や感情から「事実」をあぶり出し、共通項や特異点から解釈がしやすい状況を作ります。また、色や食べ物、動物、温度といった項目に例えて「感性の情報」を組み合わせることで、デザインやビジュアルにも落とし込みやすくなり、ブランディングの柱となる方向性が見えやすくなるのでしょう。「多方向・多面的」なアイデアの発散こそが、今回のワークにおける重要なポイントだったといえそうです。


重松は発散したアイデアの活かし方として「収束させる方法」を話し、ラベリング(KJ法)、文章化(コピーライティング/ストーリーテリング)、絵コンテ(イメージボード)などがあると紹介。収束させた結果を元にデザイナーとセッションするのもビジュアルやレイアウトを考える上で有用だと言います。


最後に、本間氏は企業内でブランディングを考える時のアプローチについて言及。アメリカでBtoBカンパニーとして事業を進めていた東芝が自らのブランド価値を考えた際に、「ジャパンクオリティのサポート企業である」と行き当たり、不足していた案内板や歓迎の言葉といった「サポートの要素」をオフィスや駐車場のいたるところに配置し、そのひとつずつから“ジャパンクオリティ”を伝えていった事例を取り上げました


自社についてネガティブなキーワードは出しづらい面があることは理解を示した上で、「ネガとポジをどちらを出しても良い。ギャップがあれば直せばいい。社員で楽しみながら考えてみてほしい」とエールを贈りました。



レポート 長谷川賢人:

編集者、ライター。1986年生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒。リゾーム的な働き方に自分の未来を見つめてそわそわしています。最近はPodcastに熱中しています。

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