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新規事業をドライブさせる7つの時間とは!? 未来を設計するプロジェクトの描き方 レポート
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新規事業をドライブさせる7つの時間とは!? 未来を設計するプロジェクトの描き方 レポート

新規事業をドライブさせる7つの時間とは!?

新規ビジネス、新商品開発、Webリニューアルなど、「新たな価値」創出のためのプロジェクト設計は多くの企業や組織にとって課題の一つです。「デザイン思考」や「顧客体験デザイン」「オープンコラボレーション」といった手法に注目が集まる中、ロフトワークは「未来を設計するプロジェクトの描き方」というイベントで、これまでの実績やノウハウから形式知化された「プロジェクトデザイン」の手法をシェアしました。

イノベーションの芽は「点」と「コミュニティ」を意識するところから

冒頭、ロフトワーク 代表取締役社長の諏訪から「イノベーションを起こすために必要なポイント」をテーマにオープニングトークがありました。

ロフトワークはこれまで、イノベーションの「場」づくりや、デザイン思考、アイデアの事業化など、イノベーション創出に関する様々なプロジェクトを手がけてきました。そうした経験を踏まえ、新たなビジネスのシーズをどう見つけていくかについて、「点を見つける」「コミュニティを作る」という2つのポイントを示しました。

「点」とは、課題解決のポイントのこと。たとえば、「高齢化をIoTで解決」というのはポイントが広すぎ、どうしても「介護ロボットを開発しようという画一的な答えになりがちだ」と諏訪は語ります。

そこで「身体が不自由になり、立ち上がれない生活環境をどう解決するか」と課題を細分化していけば、発想がどんどん広がり、ユニークな改善策を着想できる可能性が広がります。

「コミュニティ作り」の重要性については、すでにイノベーションの創出を自前主義で行うことには限界があります。アップルはApple Watchの発売前に、開発者向けの情報を「WatchKit」として公開。これにより、外部の事業者が自由にアプリケーションを開発するエコシステムを確立しました。諏訪は、この2点を意識して欲しいと呼びかけました。

FabCafe×三越伊勢丹 マレーシアでのオープンイノベーションの取組み

続いて、ロフトワーク FabCafe LLP COOの川井が、FabCafeを通じた、ものづくりのイノベーションの「場」作りについて話しました。

ロフトワーク FabCafe LLP COOの川井

FabCafeは、「FABrication(ものづくり)」と「FABulous(愉快な、素晴らしい)」の意味が込められた“ものづくりカフェ”。ロフトワークと、クリエイティブディレクター・福田敏也氏がプロデュースを行い2012年3月の東京を皮切りに、現在は世界各国に7カ所を展開しています。

現在のビジネスの主軸は、企業の新製品の用途開発や、プロトタイプから製品開発を一緒に行うといった企業とのコラボレーション事業で、「このビジネスづくりに3年ほど試行錯誤があった」と川井は振り返ります。

ポイントはコミュニティ作りで、「50人から200人規模のマイクロコミュニティを作り、クリエイティブのハブにしていく」ことです。たとえば、「フード」と「クリエーション」の融合から新たな食のコンセプトを創る「THE OYATSU」という301との共同プロジェクトや、「車」と「クリエーション」の融合から、ミニ4駆のカスタマイズをプロデュースするなどの取り組みが生まれています。

FabCafeを中心に展開するマイクロコミュニティの数々

また、プロダクト開発では、台湾のデルタ電子とのオープンコラボレーションで、家庭用水耕栽培機「foop」の開発を支援しました。

こうした企業コラボレーションの新たな事例が、マレーシアのクアラルンプールに進出した三越伊勢丹にて、ロフトワークがプロデュースした「Fabスペース」です。

この取り組みについて、三越伊勢丹ホールディングス海外事業本部の秋吉さんが登壇し、新しいスペースについて解説しました。

労働人口の減少などを背景に、特に2011年の震災以降、小売業は売上減少が続いており、海外進出に活路を見出しています。秋吉さんによれば「モノが売れなくなり、顧客はモノからコト(体験)を重視する傾向が進んでいる」とのこと。

そこで、マレーシアに進出する新店舗のコンセプトは「日本のいいモノを日本のリソースで提供」「現地の生活を豊かにするコトの提案」に設定したといいます。

秋吉さんは、「生活を豊かにするコト」の中の「学ぶ」をテーマにしたフロア作りを担当することになりました。「最初はどうしても『打ち手』から考えてしまって行き詰まった」そうですが、「学ぶ」を徹底的に問い直した結果、学ぶことを一番実践しているのは「子ども」であるとの気づきを得たそうです。

Isetan The Japan Store内のFab Space

知育からヒントを得た「感じる体験」「創る体験」「知る体験」をフロアのテーマに設定、こうして「日本文化の学び体験フロア」というコンセプトが明確になりました。

FabCafeは、「創る体験」をテーマにしたエリア内に位置する「Fab Space」のプロデュースを担当しています。秋吉さんはFabCafeをパートナーに選んだポイントとして、「業界の第一人者」「世間の評判(実績)」「チャレンジの人」の3点を挙げ、「壁に当たったときに突き抜ける」人選びが最も重要だったと述べました。

オープン後は、「学び」フロア全体で、カフェや本といった他の売り場とのコラボレーションが自然発生的に生まれているとのことで、今後もパートナーと一緒に、フロアを成長させていきたいと抱負を述べました。

「問い」と「時間軸」から生み出したいインパクトを明確にしていく

引き続き、ロフトワーク プロデューサーの松井 創が登壇し、ロフトワークのプロジェクトデザインのメソッドについて、具体例を交えて紹介しました。

ロフトワーク プロデューサー 松井 創

新しいプロジェクトを考えるとき、これまではビジネスバリューの軸と、ユーザーバリューの軸で価値を最大化しようというアプローチを取ることが一般的でした。

ところが、最近では、もう一つ、ソーシャルバリューという軸があります。この「社会的な価値」を加えた3軸を最大化させたところに、めざすべきインパクトがあるのです。

では、具体的にはどんな風にプロジェクトを設計していくのでしょうか。まず「どのようなインパクトを、なぜ起こしたいか」という「問いを立てること」が大事と松井は述べます。

例えば、自動車部品の総合メーカーであるデンソーの新規事業の事例では、「農業分野で新しいことをやりたい」という相談に対し、松井は、問いとインパクトを見つけるため、以下のような7つの時間を、プロジェクト開始前に用意できるか確認したそうです。

(1)「現場」:現地に生産現場に行って、農家に会う。
(2)「体験」:実際に農産物を食べてみる。
(3)「対話」:生産者を含め、徹底的に対話する。
(4)「合宿」:お互いをより知るために、可能であればメンバーと寝食をともにする。
(5)「要約」:対話(合宿)の後で、整理、要約してみる。
(6)「共有」:要約したものを、リアルイベントなどで外部の人と共有する。
(7)「視点」:発想の着眼点(ポイントオブビュー)をディスカッションする。

「問い」により、その先に起こしたいインパクトを言語化、視覚化できる効果があります。

そして、「問い」の次にやるのが、インパクトを生み出したい「時間軸を把握する」ことです。たとえば、4年後の2020年をゴールと想定したときに、その少し先(たとえば、2045年など)から逆算する視点を持つことです。

こうした視点は「バックキャスティング」とも呼ばれ、アクサ生命との共催で2016年8月に行った「未来をデザインする」のシリーズイベントでは、「新しい保険サービスの創造」をテーマに、参加者がグループを作り、バックキャスティングによりアイデアを出し合いました。

プロジェクトをスパイラルアップさせる「インプット」「プランニング」「アウトプット」の高速反復

「問い」「時間軸の把握」が完了したら、実際のプロジェクトマネジメントです。ここで大事なことは「やれることから始める」こと。松井は、以下のような「インプット」「プランニング」「アウトプット」を高速で反復していくことが大事と述べました。

さらに、これらを短いフェーズで高速で反復していくことが肝要です。これにより小さな価値、成果がスピード感をもって検証でき、さらなるブラッシュアップにつながっていきます。

この代表的な事例が「OLYMPUS AIR」です。これは、スマホとミラーレス一眼が融合した新コンセプトのカメラで、撮影の設定はすべてスマホアプリで行えます。また、ソフトウェア開発キットや、外装の3Dデータ、通信規格などが公開され、開発者やクリエイターが自由にアプリやアクセサリーを開発できる「オープンプラットフォームカメラ(OPC)」というコンセプトが特長です。

松井は、「実はOPC Hack & Makeというコンセプトは最初からあったわけではない」と語ります。プロジェクトの第1フェーズでは、MITのメディアラボで、未来のカメラについてアイデアソンを行い、オリンパス社内で設計、最初のプロトタイプをつくりました。

しかし、競合会社が似た仕様のカメラを発表したこともあり、第2フェーズとして、再びプロダクトのプランニングを行いました。

このフェーズをスピーディに反復することにより、OPCのプロトタイプが完成、最初のユーザー候補として、デザイナー、エンジニアに体験してもらいました。プロジェクトは第4フェーズまで行われ、ワークショップなどリアルイベントの開催や、前述した規格やSDKの公開などが行われました。これにより、一般的な製品のライフサイクルでは、「発売から時間が経過するとともに、徐々にビジネス価値が低下していく」曲線をたどるのですが、OPCの場合、「発売前から一定数のコミュニケーションと売上が確立され、それが時間とともに低下しない」曲線を描くことに成功したそうです。

プロジェクトを進めるうえで大事な「4つのP」とは

イベントの締めくくりとして、会場では松井とプロデューサー 浅見 和彦、プロデューサー 石田 真里を交え、プロジェクトデザインに関するパネルディスカッションと質疑応答が行われました。

「プロジェクトデザインで大事にしていること」に関する9つのキーワードについて意見を交換しました。たとえば、「独自性」というキーワードについて、浅見は、プロジェクトを始める際に「自社の課題が何か」という観点だけでなく、「何が一番強みか」という観点で、自社、他社の強みを見直すことの重要性を挙げました。

石田も「競合サービスが多い分野では、自社が強いと認識している点が、外から見るとよくわからないケースがある」と指摘。ユーザー視点で「差別化して価値が提供できるか」を考えることをしているそうです。

ロフトワーク プロデューサー 石田 真里

こうした思考のヒントになるのが「勝ちパターン」です。浅見は、自社の中だけにあるノウハウ、たとえば、コア技術や「自社の優秀な営業マンの行動パターン」など、自社の強みを未来に最大化できるものは何か、ディスカッションを通じて明らかにすることがプロジェクトを設計する上で重要になってくると述べました。

また、松井は、プロジェクトを進める上で「4つのP」を大事にして欲しいと語ります。これは、「パッション(Passion)をもって」「仲間と(Peers)」「楽しく(Play)」「プロジェクト(Project)をすすめる」の頭文字を取ったものです。

参加者との質疑応答では、「新しい調味料を創るというミッションで、試行錯誤するうち、どんなものを作ったらいいのかわからなくなってしまった」という悩みに対し、浅見は、「ドリルが欲しいのではなく、穴を開けたいのだ」と、真の課題を見つけるために「食べる体験」を軸に考えると、違った切り口で商品や売り方が見えることがあるとアドバイスしました。

また、石田は、「新商品のユーザーにどう思ってもらいたいか」から逆算して考えると突破口になることがあるとアドバイスしました。

会場の壁には、セッション内容の要約がグラフィックレコーディングされました。参加者が記入した課題もポストイットでグルーピングされ、セッション終了後は、参加者がそれぞれに得られた知見を振り返りながら交流を深めました。

イベント取材/執筆:阿部 欽一(キットフック)
撮影/編集 山口 謙之介(ロフトワーク)

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