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大学WEB VOL.1事例:東北福祉大学 ターゲットの共感を生む、ストーリーのつくり方 イベントレポート
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大学WEB VOL.1事例:東北福祉大学 ターゲットの共感を生む、ストーリーのつくり方 イベントレポート

東北福祉大学Web事例に見る、ターゲットの共感を生むストーリーのつくり方

 高校生の情報収集や大学をめぐる環境が大きく変化する中、Webを通じて大学の魅力や独自性を伝えていくにはどのような戦略を立て、実行していけばいいのか――。ロフトワークはこの一つの解が「ターゲットの共感」にあると考え、大学広報担当者やWebマスターを対象にセミナーを実施。東北福祉大学のWebリニューアルを実例に、「ターゲットの共感を生む、ストーリーのつくり方」を解説しました。

大学選びの前提条件が変わる時、私たちは何を伝えるのか

 オープニングセッションはロフトワークのシニアプロデューサー、柏木鉄也が担当。大学入試や受験生の大学選びに関する変化を紹介しました。

 学部数や入試の方式など、最近の大学入試は大きく変化しています。また、過去30年近くで大学の入学定員数は拡大しているのに志願者数はほぼ横ばい――という状況で、大学の経営環境は厳しくなってきています。

1989年と2016年の数値比較

 一方、受験生の大学選びを巡る環境も変わってきています。情報源は高校や塾の先生、両親のほか、Web、SNSなど多岐に渡っており、価値基準も多様化しています。しかし、情報があふれている割には、高校生が自分の将来像と重ね合わせられるようなリアリティのある情報は少ないという問題があります。
 大学Webは、必要最低限の情報提示をしていた時代から、自分らしさを表現するところまで進化してきましたが、柏木はここから一歩進めて、「共感を生むことが必要」と指摘。そのポイントとして、

1. 具体的なイメージを提示する(学生の活動、学べる内容、卒業生の姿)
2.きれいに整えた理想を見せるのではなく、リアリティを見せる
3.高校生が知っている表現を使う

という点を挙げています。

大学の課題意識からの価値の再発見と共感を生むストーリーのつくりかた

 それでは実際に共感を生むWebサイトをどのように作ればいいのか――続くセッションでは、ロフトワークのクリエイティブディレクター、青木大地が東北福祉大学のWebリニューアルの事例を紹介しながら、「共感」をキーワードに以下4つの項目を解説しました。

課題から価値を再発見するプロセス

 東北福祉大学の抱える一番の課題は、「福祉」という言葉から連想されるイメージにありました。「福祉=介護」という先入観が生まれる傾向にありますが、実際には一般企業や学校、地域の活動、行政など、福祉が関わる領域はもっと幅広い。これがうまく伝わっていないという問題を明らかにするために、同プロジェクトではまず卒業生にインタビューを実施し、過去に彼らが考えていた事などを聞きました。
 インタビューで得られたのは、東北福祉大学と相性のいい学生像や入学前のイメージ、そして実際に在学して得られたことなど。これらの「事実」をもとに、大学の特徴や魅力について改めて言葉を整理し、言語化するという作業が進められました。

選ばれない場面から逆算したWebリニューアルのコンセプト

 インタビューの結果からは、「東北福祉大学が選ばれない場面」も整理されました。「知らない土地だから」「ネームバリュー」「他大学との違い」「スペックが少なくて比較できない」などが挙がり、これらをもとに解決方法を検討しました。
 その結果、高校生が入学後のイメージを描けるコンテンツを作る必要があると判断。大学のニュースを分かりやすく丁寧に配信したり、大学で体験できる事や学びの特徴を見せたりする内容が考案されました。そして、「東北福祉大学のドキュメンタリーを自分のドキュメンタリーに」というWebリニューアルのコンセプトが打ち立てられました。

福祉だからできないことを、福祉だからできることへ

 「福祉=介護」という狭いイメージの中で、高校生は「『福祉』のことしか勉強できないのかな?」という疑問を抱きがちです。そこで、新しいWebでは東北福祉大学でできることを様々な切り口から紹介。同大学だからこそ実現できる「福祉の幅広さ」や「福祉の本当の面白さ」を伝えられるコンテンツを目指しました。
 具体的には「東北福祉大学でできること」というページで、入学してからどんなことを学び、活動し、どんなチャレンジができるのかを紹介。また、「興味・関心から探す」という部分では「経営について学びたい」「『情報』への理解を深めたい」など16種の項目を提示し、福祉の幅広さを知らせています。
 さらに、「東北福祉大学のDNA」というページでは卒業後、様々な職業に就いている先輩たちのインタビューを掲載。「福祉=介護」ではないことを具体例で示し、多様な将来の姿があることを知らせています。

新たなストーリーを伝えるデザイン、コンテンツ制作

 大学から受験生へのメッセージを伝えるに当たっては、「言葉えらび」や「シーンの切り取り方」も重要なポイントとなります。
 東北福祉大学のキャッチコピーは「あたりまえを超えていく」というもので、Webのトップページでまずこれが現れます。ここで受験生に多少の疑問を抱かせ、興味を引き、その先の「東北福祉大学のDNA」というページに誘導する形となっています。そして、「東北福祉大学のDNA」では臨場感のある職場写真とQ&A形式の卒業生インタビューで、直感的にリアルな職場を体感してもらえるように工夫しています。

 以上4つの項目を解説した上で、青木は「一方的な情報発信では、共感はなかなか得られません。相手の立場に立って、相手がどう思うかを想像することが大切」と指摘。「そのためには、改めて言葉を整理し直し、特徴的な言葉、魅力的な言葉、知ってほしい言葉などをメッセージやストーリーとして紡ぎ直すことが必要」とまとめました。

「共感」をつくるヒントを考える、パネルディスカッション

 柏木と青木によるセッションが終了した後は、ホワイトノート株式会社の代表取締役、宗像誠也氏を交え、3人によるパネルディスカッションと質疑応答が行われました。宗像氏は東北福祉大学のWebリニューアルで、プランニングとコピーライティングを担当しました。

共感を作るためのTIPS、難しさ

 共感を得るためのTIPSとして宗像氏は、「基本的な考え方として、広告だとかWebだとか媒体は変われども、結局は人と人とのコミュニケーションと変わらない」と指摘した上で、共感を得るために強く意識していることとして、「誰が」「何を」「どのように」言うのか――という3点を挙げました。
 中でも「どのように言うのか」という点については、「まずはひっかかりを作り、『何それ?』と思ってもらうことが大事。それが本題につながる重要な導線の役割を果たす」と説明しています。東北福祉大学のWebでは、「あたりまえを超えていく」というキャッチコピーが導線になっています。そこから繋がる卒業生インタビューでも冒頭のキャッチコピーで「何それ?」と発見があるように意識して作られています。

大学選択の決め手をつくる工夫

 複数の大学Webのプロジェクトを手掛けた青木は、東京有明医療大学の例を挙げました。ここでは和気あいあいとした雰囲気が印象的だったため、青木は「これを大学選びのポイントにできないか」と考案。学生達がグループで国家試験の勉強をしているシーンや鍼灸クラスで学生同士が針を打つ練習をしている楽しそうな様子を写真で紹介しました。その際には、「実際に現場に入り込んでいき、リアルな写真を撮るようにした」といいます。
 一方、宗像氏は同じくロフトワークと共に取り組んだ立教大学のプロジェクトを例として挙げ、大学選択のポイントとして、「偏差値や学力ではなく、大学の強みをもとにした選択肢をもっと提示したい」とコメント。立教大学のプロジェクトの例を挙げ、「学びの具体的な中身を提示し、大学選択の入り口にしてもらうという考え方で取り組んだ」と述べました。これを受けて柏木は、「学科の名前や簡単な内容だけでは『送り手側の目線』になるが、『やりたい事がこれなら、こういう事もできる』というような、学生の目線に立った選択肢の提供の仕方が必要」と加えました。

パネルの内容をリアルタイムで可視化するため、グラフィックレコーディングも実施

Q&A:Webローンチ後の検証/プロジェクト成否の目標はどのように決めていたのか?

 東北福祉大学のプロジェクトの目標設定について柏木は、「大学内でウェブサイトの位置が低かったので、まずは学内に『ウェブサイトが学外とのコミュニケーションツールである』と共通認識してもらうということが大事でした。Webの運用体制や学内改革が裏ミッションとしてあった」と振り返ります。
 同大学のリニューアルサイトが公開されたのは、2017年3月。すでにページビューが好調だとの評価はあるものの、まだ検証はされていません。柏木は、「次の受験が終わった後にリニューアル前と比べた数字が出るのではないかと思い、楽しみにしています」と締めくくりました。

文:山本直子、編集:岡徳之(Livit

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