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次の100年を豊かにする未曾有の実験区の舞台裏 〜イベント「100年先につながる新しい価値を目指して、パナソニックが100BANCHをつくった理由」〜
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レポート掲載中

100BANCH

次の100年を豊かにする未曾有の実験区の舞台裏 〜イベント「100年先につながる新しい価値を目指して、パナソニックが100BANCHをつくった理由」〜

次の100年を豊かにする未曾有の実験区の舞台裏 〜イベント「100年先につながる新しい価値を目指して、パナソニックが100BANCHをつくった理由」〜

“未来をつくる実験区、東京渋谷ヒャクバンチ”

次の100年を豊かにする100のプロジェクトが集い、
短期集中・同時多発で、野心的な若者と共に未来を創造する…。

未だかつてない実験区として、2017年7月7日に、渋谷・新南口エリアに誕生した100BANCH。そのプロジェクトの全貌をオープンにしたイベント、「100年先につながる新しい価値を目指して、パナソニックが100BANCHをつくった理由」は、新規事業に携わるビジネスパーソンを中心に参加者100名超!と、注目度の高さを実感するものになりました。

壮大なビジョンと4つの行動指針

オープニングでは、コーポレート戦略 経営企画部 未来戦略室 則武里恵さん、ロフトワーク Layout unit CLO松井創が、ビジョン・基本構想・プログラムの背景を紹介しました。

パナソニック コーポレート戦略本部 経営企画部 未来戦略室 則武里恵

きっかけは、パナソニックが来年2018年に創業100周年を迎えるにあたって社内で発足した100周年プロジェクトでした。『次の100年どういう会社になっていきたいのか?』、『社会にどうやってお役にたっていくのか』(パナソニックにはお役だちという言葉がある) を真剣に考えたときに、自分たちだけでは限界がある、次の時代を作っていく世代とともにお役立ちについてチャレンジしていく活動や場を作ってみたいと思ったのがスタートでした。

なぜ若者なのか? パナソニックは、創業者の松下幸之助が23歳で起業した会社です。当時の彼はおそらく相当無謀な挑戦をした今でいうベンチャー起業家でした。これからのパナソニックには、もう一度若い挑戦者魂が必要だと考えたからです。
また、松下幸之助は、250年計画を掲げ、長期スパンで未来を見据えていた方でもありました。

そこから“長期の視点で若者と未来をつくる”という基本構想がかたちづくられ、それを実行するために立ち上げたのがGARAGE Programです。このプログラムは若者の挑戦を支援しながら、一緒に未来をつくるための取り組みです。

ロフトワーク Layout Unit CLO(Chief Layout Officer) 松井創

GARAGE Programは、U35歳未満のヤングリーダーの野心的な創作活動を支援するプログラムで、 支援内容は「スペースのフリーレント」「メンタリング」「情報発信」の3つです。2年間で100プロジェクトを展開することを目標に掲げてスタートし、これまでの3ヶ月間で100件ものエントリーがありました。

入居するプロジェクトのジャンルやカテゴリーは、ロボット、昆虫食、ふんどしなど、驚くほどバラ端で多様です。彼らは2FのGARAGEで、短期集中、同時多発でプロジェクトを進展させるだけでなく、異なるプロジェクト同士のコラボレーションまで生まれています。

こうした多様性と化学反応を起こす仕組みは、メンターと独自の審査方法にあります。
ジャンルの異なる各界のトップリーダー21人にメンターになっていただき、エントリーの審査を合議制ではなくメンター個人の独断にゆだねています。

毎日のようにイベントが行われ、日々新たなネットワークとコラボレーションが起こっています。主催イベントとしては、新たなモノづくりの実験を行なう「アップサイクルハッカソン」なども行っってきました。

オープニングセッションの最後には、100BANCHの4つの行動指針を紹介。

1)つくるひとをつくる
パナソニックの考え方に繋がる指針で、松下幸之助が大切にしていた「ものをつくる前にひとをつくる会社です」ともつながる考え方。正解がない、複雑な時代には、ひとりひとりの個の力がもっと大切になると思っています。挑戦する場があることで、人は輝けると考えています。

2)WILLと化学反応
未来をつくるのは、すべては個人のWILL、意志からはじまると考えています。
どういう未来へ、どんな方向を進んでいきたいのか? そんなWILL同士が交われば化学反応が起こります。ここでは出会いや化学反応の仕掛けを起こしたいと考えています。

3)働き方の実験
組織や会社の枠を超えたコラボレーションを起こしていきたい。2Fに入居するメンバーたちも新しいかたちでの同僚だと考えています。

4)クロスオーバー・ザ・バリアンス
バリアンスは、意見や考えの不一致や相違を意味する言葉。異なる考えを交わらせていきたい。ここ渋谷は変わりゆく街、多様なひとが集まる場だからこそ、化学反応が起こしやすいと考えています。

締めくくりには「世界文化の進展」というパナソニックの経営理念を掲示し、「世界文化の進展は途方もないトライでいつそれが叶ったのかを実感できるのかもわからないが、行動を起こさないと文化は生まれないと信じて、行動していきたい」(松井)と、これからの意気込みを語りました。

“わずか9ヶ月”の不可能を可能に変えたスクラム開発

ふたつめのセッションは、100BANCHのソフト面とハード面の舞台裏。松井のファシリテーションのもと、ソフト面のプロジェクトマネージメント/クリエイティブディレクションを担当したロフトワークの寺井と、ハード面を建築家として空間ディレクションをした古市が紹介しました。

ロフトワーク 京都ブランチ事業責任者 寺井翔茉

古市淑乃建築設計事務所 古市淑乃

参加者に大きなインパクトを与えていたのは、次の100年を築く実験区という未曾有のプロジェクトが、「企画を始めたのが2016年10月、100BANCHはわずか9ヶ月でできています」(松井)。脅威の短期間で出来上がっていたという事実でした。

松井は「ハードとソフトを両輪できるのかがチャレンジポイントでした。作って終わりではないし、それをどう活用するのか、どうコミュニケーションしていくのか……。総合的に考えて進めていくことが重要でした」と、ソフトとハードの密な連携が鍵だったことを明かしました。

ソフト側でのプロジェクトデザイン

寺井はソフト面でのポイントを「ネーミング」「VI」「ブランディング」「プロジェクトマネジメント」の4つの視点から紹介。それぞれキーになった考え方や狙いを語りました。

ネーミング
名前を決める時点でブランディングは始まっています。重要なのは、ネーミングからアートディレクターをチームに迎え入れ、自分たちで考えることです。このプロセス自体がビジョンを共有することになります。

VI
立体的に空間を表すときに使われるアイソメトリック図という手法を用いました。120度の斜線と交差さえつくれば、誰でも扱うことができるモチーフにしています。

ブランディング
120度の斜線と交差のVIは、空間やWEB、名刺ほかさまざまなコミュニケーションツールで展開しています。こうした大量の制作物に統一性を持たせるためにBIガイドラインも作っていますが、NGのガイドラインを作らなかったところがポイントです。今後100BANCHでたくさんの人が関わってものを作っていくことを想定し、誰でも使える緩やかで開かれたデザインルールにしています。
デザイナーしか作れない、さわれないルールは、オープンな場にとっては足かせにしかなりません。

プロジェクトマネジメント
ソフト面の制作期間は実質6ヶ月しかありませんでした。そこで取り入れた手法がスクラム開発というソフトウェア開発の現場などで使われる手法です。

“問題を十分に理解することも定義することもできないので、現れた要求へ素早く対応するためのチームの能力を最大化していこう集中していこう”というのがスクラムのアプローチです。

根幹はすべてのメンバーが物理的に同じ場所にいること。ロフトワークのオフィスの3Fにできた3ヶ月かかる仕事を3日で終わらせるための空間「COOOP3」にプロジェクトスペースを構えました。

同じ場所で一緒に考え、一緒に作るため、説明のための資料づくりもいらないし、承認をとるための打合せも不要になります。WEBの構造設計もタスク管理などあらゆるものをボードを使って、フィジカルに見渡す状態を作りました。

サマリー
・プロジェクトの初期からクリエイターが参加
・誰でも利用可能なゆるやかなデザインルール 
 いろんな人が参加できるハックできる
・プロジェクトルームの設置とスクラム型の進行

参考記事「逆流のデザインが未来をつくる」

ハード側での空間デザイン

空間ディレクションで携わった古市は「プログラムと空間の融合を同時進行で考え形作っていくことが重要だった」と100BANCHでのチャレンジを紹介。内装の設計とデザインをスキーマ建築計画の長坂常氏に依頼した理由を、「工場などのリノベーションでの実績が豊富で、前例のないようなプログラムを空間に落とすことに積極的にチャレンジされていた稀有な建築家……と考えたときに、長坂さんだった」と語りました。

担当したのは4つ

・空間・機能・設備
・デザイナー、工務店、メーカー依頼調整
・予算・スケジュール
・備品・設備の選定および購入・セッティング

すべてを、規模や行動、見える化を含めて綿密にシミュレーションをしていきました。バラバラに計画せず、プログラムの進度に応じて柔軟に、すべてを横断しながら変更と調整を繰り返す進め方をして、みんなで同じ空間を共有することの良さを実感しました。

このセッションのまとめとして松井は、「ウォーターフォール型のやり方で、ソフトやハードやその他多く子プロジェクトをひとつひとつマイクロマネジメントしたらきっと破綻していた。メンバーがスクラムし、各自の担当範囲を超えて連携して進めてくれました」と振り返り、これからの100BANCHの運営においてもスクラムで柔軟に取り組んでいきたいと語りました。

入居プロジェクトにとってのGARAGE programのメリット

ロフトワーク クリエイティブディレクター 越本春香

3つめのセッションは、オープンから3ヶ月たった運営面での舞台裏がテーマ。
100BANCHのコアプログラムGARAGE Programの運営を取り仕切るロフトワーク越本が、入居プロジェクトのメンバーを紹介するとともに、メンバーとのクロストークというかたちで100BANCHのユニークな特徴を紹介しました。

登場したプロジェクトは6プロジェクトです。

「水槽」という生態系から、コミュニティと未来について考える
Now Aquaponics! 邦高 柚樹
http://100banch.com/projects/now-aquaponics/

最新技術を用いて「着物」を未来につなげるための環境作りを
KISABURO KIMONO Project キサブロー
http://100banch.com/projects/kisaburo-kimono-project/

「人間」×「コンピューター」という視点からの新たなクリエイティビティの探求
Computational Creativity 出雲 翔
http://100banch.com/projects/computational-creativity/

渋谷の街全体をコワーキングスペースに
SHIBUYA GREEN CARD 斎 絢矢
http://100banch.com/projects/shibuya-green-card/

伝統下着"ふんどし"を「表現者のためのファッションウェア」として未来に伝える
FFF〜Fundoshi Fashion Festival 星野 雄三
http://100banch.com/projects/fff/

コオロギの大量繁殖技術と養魚飼料としての普及で食料問題を解決
ECOLOGGIE 葦苅 晟矢
http://100banch.com/projects/ecologgie/

「代替不可能な自分だけのもの」を容易に手に入れられる世界を
MonoConnect 竹内 国貴
http://100banch.com/projects/monoconnect/


── MonoConnectは3ヶ月で見事サービスローンチまで達成しましたが、3ヶ月というプロジェクト期間はどうでしたか?

MonoConnect 竹内 短いけれど、その分集中できたかなと思っています。サービスローンチまでこぎつけられたのは、100BANCHのメンバーとのコラボレーションできたからですし、メンターのグロービス・キャピタル・パートナーズの高宮慎一さんから、スタートアップ視点からさまざまなアドバイスをいただけたからだと思っています。3ヶ月というお尻がなかったら間延びしてしまっていたでしょね。

── メンターで言えば、ふんどしのFFFは、落合陽一さんがメンターですよね。どんなアドバイスをいただいていますか?

FFF 2週間に一度くらいの頻度で相談させてもらっています。それこそコンセプトの相談や人生相談まで。落合さんは天才なので、すべてのことにクリアに答えてくれます。

── KIMONOプロジェクトはパナソニックの発明家、大嶋光昭さんがメンターですが、いかがですか?

KISABURO KIMONO Project キサブロー わたしは着物を作っているのに京都との接点がなかったんですが、大嶋さんは「着物は京都だろう」って、京都市産業技術研究所繊維技術センターの理事長さんをつないでいただきました。しかも接点ができただけでなく素材の協力までしていただけるようにアレンジしてくださいました。また、大嶋さんはいつでも「スイッチをいれなさい」と声を掛けてくれるので、迷ったときにはいつもその言葉を思い返しています。

── みなさんメンターの方々からさまざまなアドバイスと刺激を受け取っているんですね。ちなみにメンバー同士の化学反応は起こっていますか?

Now Aquaponics! 邦高 ぼくらアクアポニックスのチームは、昆虫食や食糧問題関連のチームと隣同士なので、なにかと意見交換できるんです。アイデアのスピードが桁違いに前に進むし、コラボレーションの話も生まれたりもして、成長させてもらっているなと実感しています。

── 100BANCHのGARAGEの program以外のアクセラレーションプログラムにも参加したことがあるECOLOGIEの蘆刈さんは、他のプログラムとの違いを実感していたりしますか?

ECOLOGIE 蘆刈 企業のコーポレートアクセラレーターにも参加したこともあるのですが、100BANCHは自由に活動できるし、横の連携が密なのが魅力ですし違いです。バイオ系のプロジェクト仲間と、今後もここを利用してがんばっていきたいと考えています。

── 渋谷を拠点としたプロジェクトを行っているSHIBUYA GREEN CARDチームはいかがですか?

SHIBUYA GREEN CARD 斎 人をつないでもらえるし、さまざまな機会を提供してもらえるところが魅力です。プロジェクトだけではなく、個人として学ぶ機会ももらっています。

── 3ヶ月の期間を終えて、論文まで発表するという成果を出したComputational Creativityチームは、卒業生として今後どうしていきたいと考えていますか?

Computational Creativity 出雲 論文は現在査読中なので、無事アクセプトされること。そしてこのアカデミックな研究を実際のサービスへと落とし込んでいきたいと考えています。

── みなさんありがとうございました。もしかしたらこの100BANCHから未来のノーベル賞が生まれるかもしれません! みなさんぜひ注目していただければと思います。

奇跡的なプログラムと空間には高い密度と熱量が必要

イベントのクロージングトークはロフトワーク代表取締役社長の諏訪光洋が、“なぜ100BANCHが強いエネルギーを持つ場になり得たのか”を自身の考察を踏まえ、語りかけました。

「若者の力を組織に取り組む」という目的に掲げたときに、誰もが考えがちで楽なやり方は、『パナソニックXX大学』のようなスクール形式のプログラムを作り、コワーキングスペースのような空間を作ることだったかもしれない。でも、100BANCHはそうしませんでした。21人のメンターを束ね、毎月審査会をするという膨大なカロリーがかかる大胆な選択をした。また権威ある大企業が普通だったら選ばない、渋谷という場所を選び、古い倉庫を空間に選んだ。
パナソニックさんが、本当の意味で「若者の力を組織に取り組む」という目的を捉えて、高い熱量を持って取り組んだからだと思います。その熱量に答えるかたちで私たちロフトワークは極限まで考え、プログラムと空間をデザインしたからこそ、こうした奇跡的なプロジェクトができたのだと思っています。
ぜひ、他の企業、組織のみなさんともこうしたチャレンジをできればと思っています」

未曾有の実験区は、まだ3ヶ月を終えたばかり。10月31日には、いよいよ1F KICTHENにカフェカンパニーのレストランがオープンし、これまで以上に多様なひとたちを文字どおりバンチ(束)にして、発展していくはずです。

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