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日本人は、イノベーションを巻き起こせるのか? COURIER #2イベントレポート
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Loftwork COOOP 10

日本人は、イノベーションを巻き起こせるのか? COURIER #2イベントレポート

日本人は、イノベーションを巻き起こせるのか? COURIER #2イベントレポート

株式会社ロフトワークとFabCafe、MTRLによる世界市場をターゲットにするイノベーターのための活動支援プログラムとオープンコミュニティ「COURIER(クーリエ)」。2017年11月10日に開催されたイベントでは、「今、グローバルビジネスのチャンスがあるのはどの都市か?」をテーマに、各地域に精通するビジネスリーダー9名によるプレゼンテーションとミートアップが行われ、そのさまざまな知見とチャレンジが共有されました。

新規事業を考え、実践し、共有するコミュニティ。それが「COURIER」

この日ロフトワークは、世界10ヶ所に展開するFabCafeも含めたロフトワークのグローバルな活動の中心地として、新たにロフトワーク香港の設立を発表。加えて、「MTRL Hong Kong」のオープンと、素材メーカーとクリエイターをつなぐオンラインプラットフォーム「マテリアルサービス(MTRL.com)」のスタートを明らかにしました。

COURIERの始動も、こうした動きと密接に関係しています。オープニングトークに登壇したロフトワークの諏訪光洋は、「我々は企業の中の新規事業やイノベーションをサポートしてきたが、意外とスタートアップとはつながってこなかった」と振り返り、「アピールする相手は違っても、実はアントレプレナーもイントラプレナーも、資金面や人材面で置かれている状況は同じ。互いに情報やネットワークを共有し、補完し合えればシナジー効果が狙える」と説明。

グローバルマーケットを狙うスタートアップのプラットフォームとしてFabCafeを生かせれば、役員や投資家向けにビジネスとしてスケールすることを説得でき、可能性の広がりも生まれるはず。こうした発想から、新規事業を考え、グローバルに実践し共有するコミュニティとしてCOURIERが誕生したと語りました。

目的意識や覚悟のないスタートアップは迷子になるだけ

スタートアップの聖地と言えば、シリコンバレー。コンサルティング会社を経営するPacific Sky Partners代表の村瀬功氏は、「残念ながらシリコンバレーでの日本人のプレゼンスはない」と前置きしたうえで、シリコンバレーがスタートアップの聖地と呼ばれる理由をこう分析します。

<シリコンバレーがスタートアップの聖地である理由>

1)天気がよい
気候の良さが、新しいアイデアをシェアしたり、新しいことをスタートしたりすることを歓迎する雰囲気を生み出している。

2)世界一のエコシステム
1960年代から、成功者が次の成功者を生む流れが脈々と続いている。

一方で、物価は東京の2.5倍。人件費や生活費が高く、開発チームをシリコンバレーに抱えるのは現実的ではないなど、特有の実情もあります。果たしてスタートアップにチャンスはあるのでしょうか? 村瀬氏が紹介した最近のトピックは次のとおりです。

●投資総額は増加傾向
投資件数は減少傾向だが、投資総額は増加傾向にあり、スタートアップ1件あたりの投資金額が増えている。
●シードステージへの投資件数が減少傾向
投資家が状態の良いシードステージのスタートアップに積極的に投資しており、投資先を厳選している様子が伺える。
●ビッグ5の勢力が圧倒的
スタートアップがイノベーションを実現しても、Facebook、Amazon、Microsoft、Google、Appleの5社に買われるか、徹底的につぶされてしまう。

では、シリコンバレーで日本人が通用するには何が必要なのでしょうか。最後に村瀬氏は次の3点を強調しました。

<シリコンバレー進出の心構え>
1. 明確な目的意識を持つ
2. 腰を据える覚悟を決める
3. 評判と信頼を積み上げる

プロモーションは、地元メディアや現地の人たちとのつながりが鍵

続いて、株式会社ネットワークコミュニケーションズ代表取締役の岡田直子氏は、自身がオフィスを構えるワシントンDCエリアのビジネス事情を紹介。セキュリティ系のベンチャーが多い、アントレプレナーの成長率は全米No.1、レストラン業界が熱い、スマートシティに関する取り組み「Smarter DC Project」が進む、現地大使館や商工会議所によるサポートが手厚いなど、スタートアップにふさわしい街であることを強調しました。

また、専門分野であるグローバル広報については、「事業とPRは密接している。現地になじむものを創り出すのと並行で、プロモーション、広報活動を展開すること」と岡田氏。特に現地でのプロモーションにおいては、“ほしい情報がほしい人にニッチに届けられる”地元メディアへの掲載が鍵を握るとして、「現地の人、コミュニティの人、大使館の人、メディアの人、現地経営者とつながること。そのために自己開示して情報を発信していくことが大事」と語りました。

事例に学ぶ、日本のモノやサービスを世界に届ける方法論とは?

ロフトワークの二本柳友彦は、これまで計21ヶ国への海外展開を支援してきたJAPANブランドプロデュース支援事業「MORE THAN プロジェクト」を例に、「世界に届けることは、現地の生活に届けるということ。これができないとモノは売れない。狙う地域やターゲット、その生活習慣、マーケット動向を探ることが大事」と強調。その具体的なアプローチを次のように紹介しました。

<海外展開のアプローチ>
1)自社の商材の正しい理解
2)パートナーの選定
3)現地のリサーチ
4)ローカライジング
5)現地でのプロモーション

また、株式会社Culture Generation Japan 代表取締役 堀田卓哉氏は、日本の染め文化を伝えるべく、東京染小紋をムスリムドレスにアレンジすることに成功した例を挙げ、その成功要因を次のように分析しました。

<現地での流通の成功要因>
●パートナー選定
方向性や熱量が合致していることが大前提。販路を持つデザイナーやディストリビューターを組めるとうまくいく。
●守るべき部分と変えるべき部分
制約条件、コスト感、強みなど明らかにする。
●伝えたいフィロソフィー
根底にある熱い思いを判断基準とし、目的を見失わない。

各地域の特性、得意分野を生かしたベストチームで世界へ

第2部はTHE BRIDGE 共同創業者 兼 ブロガーである池田将氏のセッションでスタート。スタートアップ系のニュースメディアを運営する立場から、さまざまな国のビジネス事情に精通する池田氏は、「日本のスタートアップはまずアジアを目指そうとするが、社会やインフラの成熟度、経済状況を考えると、うまくディプロイできないことも少なくない」と指摘。

池田氏はこの点を踏まえて、今後注目されるスタートアップハブ(都市)をいくつか紹介しました。

●パリ
駅舎をリノベーションした世界最大のスタートアップキャンパス「STARTION F」がオープン。投資銀行出資の大統領もスタートアップに積極的な動きを見せている。AIの人材を見つける上でもホットな都市。

●タリン
資金調達の仕組みが多様化しつつあり、ブロックチェーンの技術を用いて投資家と企業をつなぐ「ファンダービーム」などは非常に興味深い。

●ヘルシンキ
ノキア発祥の地。研究所が数多く存在し、スタートアップが盛ん。オウル市では、凍ったバルト海に入ってピッチをするイベントが開かれ一大名物となっている。

●テルアビブ
イスラエル最大規模のスタートアップの祭典「DLD Tel Aviv」が毎年9月に開催されるなど、一大スタートアップハブとして名を成しつつある。

重要なのは、”都市”ではなく、そこにいる“人そのもの”

続いてFabCafeのインターナショナルのコミュニケーションを担当するロフトワークのケルシー・スチュワートは、FabCafeのグローバルネットワークの作り方を紹介。「新しいFabCafeをオープンする際の判断材料は、その”都市”ではなく、”人そのもの”にある」として、具体的なポイントに次の点を挙げました。

<FabCafe新規オープンの判断材料>
・FabCafeに対するビジョンがあるか
・デジタルファブリケーションとカフェの経験があるか
・ローカルのクリエイターコミュニティとつながっているか
・FabCafeがクリエイティブプラットフォームとして機能し得るか

さらに、「FabCafeはフランチャイズではない。各国のFabCafeは各地域の推進者がそれぞれリソースと資金、コミュニティを調達して独自に運営している」と説明。FabCafeのフィロソフィーに共感してくれる人を集め、同じ価値観、考え方、ブランド、グラフィック、Webサイトを共有しつつグローバルに展開していると語りました。

世界を目指すスタートアップ2社がショートプレゼンテーション

ここで、注目のスタートアップ2社が登壇。”Product for Peace.”をビジョンに掲げる the Babels inc. CEO 大西ラドクリフ貴士氏は、世の中の衝突点に多様な解釈を提示するQ&O(クエスチョン&オピニオン)サービス「historie(ヒストリア)」を紹介。「歴史や国際的な問題をはじめ、世の中の情報は片側目線のポジショントークに溢れている。それが原因で片側目線しか持てない人が増え、争いの元になる。その解決策として、様々な立場のオピニオンを集めて並べるプロダクトが世の中に必要だ」と語りました。ベストアンサーを1つに決めてしまうQ&Aサービスではなく、検索エンジンやSNSでは出会えない意見、ウィキペディアにも教科書にも載っていない情報を集めて、多様なオピニオンを可視化することで、人類が失いつつある想像力を進化させようという新しい取り組みです。

一方、デジタルツールの技術集団として活動を展開する株式会社デジネル/株式会社デジタルアルティザンのCEO 原雄司氏は、今後ローンチ予定のサービスの一つとして、ひとりひとりの爪の形状にぴったり合ったネイルチップサービス「OpenNail」を紹介。同社は、3Dプリンターによってクリエイターやデザイナーがネイルデザインに参画できる仕組みを構築。ネットやスマホで気軽に好みのネイルチップを発注できる未来が現実になろうとしています。

世界を知るビジネスリーダーが語る、成功するスタートアップのヒント

全セッションを終えたところで、再びPacific Sky Partnersの村瀬氏、THE BRIDGEの池田氏を登壇者に迎え、株式会社ネットワークコミュニケーションズの岡田氏をファシリテーターにパネルディスカッションが行われました。

●日本人の存在感について

村瀬氏:英語ができない代表格が日本人。幼少期から自己主張を教えられる米国とは違い、同調をよしとする日本人は自己主張ができないから相手にしてもらえません。シリコンバレーではそこが障害になっています。

池田氏:日本人は“日本の”スタートアップであることをアピールしようとしますが、そこを取っ払ったときのアイデンティティをどこまで出せるかが重要です。

岡田氏:活躍している起業家たちはアピールの仕方を訓練しているのでしょうか。

村瀬氏:シリコンバレーに行くと決めたなら、エレベーターピッチを徹底的に練習すべきでしょう。もちろん、英語があまり堪能でなくてもシリコンバレーで目立っている人はいます。そういう人はパッションがあるかユニークなものを持っていて、自信たっぷりに話します。英語が通じなくてもそのオーラに負けてしまう。それもまたスキルのひとつです。

●拠点について

岡田氏:コミュニケーションの問題を除けば、実は拠点はどこに置いても構わないのかもしれませんね。

池田氏:SaaSやネットがこれだけ普及してくると、こだわる必要はないでしょう。実際、人を分散配置することでビジネスが成立するようにしているケースは数多くあります。特性に応じて都市を選び、得意分野を集めて複数拠点で展開するほうがいいスタートアップができるとも考えられます。

村瀬氏:シリコンバレーでチームを分散させるのは珍しくありません。各地域の特性をうまく利用したベストチームがつくれると強いですね。

●グローバル展開で一番大事なことは「英語とマインドセット」である

村瀬氏:英語。これに尽きます。

池田氏:英語はもとより、マインドセットが必要です。日本で何十年も生きていると自分が見ている世界がすべてになってしまう。世界には多様な人種、文化があることを意識しながらビジネスをするだけでも、可能性が広がると思います。

日本人が真のイノベーションを巻き起こす主役になるためには、課題もあります。しかし、世界にイノベーションを届けるためのプラットフォームが整いつつある今、目の前に道は開けています。世界を目指すすべてのスタートアップに向けて、岡田氏は、「日本人、世界でもっと活躍しましょう!」と力強いエールを送りました。

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