Main menu

プレスリリース

デジタルファブリケーション部門のグローバルアワード「YouFab 2016」結果発表

  • 2017.02.09
  • FabCafe

デジタルファブリケーション部門のグローバルアワード「YouFab 2016」結果発表

デジタルとフィジカルを横断し、結合する23作品が受賞

FabCafe Global(東京、飛騨、台北、バルセロナ、バンコク、トゥールーズ、シンガポール、ストラスブール)は、デジタルファブリケーション領域の優れた挑戦を表彰するグローバルアワード「YouFab Global Creative Awards 2016」(以下、YouFab)の受賞作品を発表しました。

2016年8月1日から11月7日までの応募期間中、31カ国から合計196作品が集まり、その中からグランプリ、準グランプリ、一般部門賞、学生部門賞、ヤマハ賞、ファイナリスト19作品が選出されました。

グランプリは、視覚的な文字情報を音声に変換することで、文字を読むことが困難な方の「読む」行為をサポートするスマートグラス『OTON GLASS』(クリエイター:株式会社OTON GLASS) が受賞しました。視点と同一位置にあるカメラで撮影した文字を、文字認識技術でテキストデータに変換、音声として読み上げることで、ユーザーは文字情報を理解することができます。

準グランプリは、KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭の作品制作を目的に開催された「KENPOKU Art Hack Day」から生まれた、ガラスの器のなかでシャボン玉が浮遊するアート作品『干渉する浮遊体』が受賞しました。

一般部門賞は、電気を使わず重力の力で動くアナログ3Dプリンター『This New Technology - The World's First Analog 3D Printer』(クリエイター:DANIEL DE BRUIN)が受賞しました。学生部門賞は、イルカのエコーロケーション(反響定位)に着想を得た水中型触覚探査グローブ『IrukaTact: Submersible Haptic Glove』(クリエイター:Aisen C. Chacin)が受賞しました。

今回のYouFabから新しく設置されたヤマハ株式会社による特別賞「ヤマハ賞」は、『OTON GLASS』がグランプリと同時受賞しました。「ヤマハ賞」はヤマハ株式会社が受賞者との共創を目指す試みです。3月8日から3月19日まで開催される「YouFab受賞作品展示会」で、OTON GLASSをベースに“エモーションのスイッチ”をテーマにヤマハ社員とOTON GLASSが開発したプロトタイプを展示します。

全ての受賞作品と、受賞作に対する審査員のコメントは以下のページよりご覧ください。

結果発表ページ(英語) http://www.youfab.info/2016/winners.html
結果発表ページ(日本語) http://www.youfab.info/2016/winners_jp.html

3月8日(水)から3月19日(日)まで、東京・渋谷ヒカリエ 8F 8/ CUBE 1, 2, 3 にて受賞作品の展示会を行います。また3月7日(火)に、授賞式と展示会オープニングレセプションをヒカリエ 8/ COURT にて開催します。

受賞作品

グランプリ&ヤマハ賞(同時受賞)

・作品名:OTON GLASS

・クリエイター名:株式会社 OTON GLASS(日本)

文字を読むことが困難なディスレクシアの方や弱視の方を対象とした、読む行為をサポートするスマートグラス。視点と同一位置にあるカメラで、ユーザーが読みたい文字を撮影し、それを文字認識技術でテキストデータに変換、音声として読み上げることで、ユーザーは文字情報を理解することができます。

準グランプリ

・作品名:干渉する浮遊体

・作者名:干渉する浮遊体(日本)

自然の美しさに対する認識を問い直す作品。上空から降り注ぐシャボン玉がガラスの器の中に浮かび、それらの揺れや破裂に音と映像が呼応します。シャボン玉の美しさ、生まれてから消えるまでの微細な変化や儚さを、空間全体から感じとることができます。

一般部門賞

・作品名:This New Technology - The World's First Analog 3D Printer

・作者名:DANIEL DE BRUIN

モノをつくるワクワク感を味わい「自分で作った」ことを証明するためにつくられたアナログの3Dプリンター。約10kgの重りを吊るすと、重りが重力に引かれる力を動力として、3Dプリンターが動き始めます。手作り感をおぼえながら、個性溢れる昔ながらの陶器制作が可能。

学生部門賞

・作品名:IrukaTact: Submersible Haptic Glove

・作者名:Aisen C. Chacin(日本)

水中に沈んだ物体の位置を特定するのに役立つ、イルカのエコーロケーション(反響定位)に着想を得た「水中型触覚探査グローブ」。水中からの音波を探知して指先でシグナルを受信、シグナルの強さはユーザーと物体の近さによって変わり、物体に近いほど強くなります。水中にある物体の位置探査以外にも、様々な領域で応用可能。

ファイナリスト(19作品)

・作品名:AMIMONO
・作者名:FREE-D(日本)

・作品名:BioKnit
・作者名:Ammo Liao(台湾)

・作品名:Caress of the Gaze
・作者名:Behnaz Farahi(アメリカ)

・作品名:アイゼンハーツ
・作者名:小林武人(日本)

・作品名:Hozuki Lantern Project
・作者名:SmartCraft Studio 2016(日本)

・作品名:Deltu
・作者名:Alexia Lechot(スイス)

・作品名:Sensory Lines
・作者名:EJTECH(ハンガリー)

・作品名:ファブ・スクーター(ハンドル形電動車いす)
・作者名:倉本 義介(日本)

・作品名:Coffee Coffee Bar
・作者名:Alex Schofield(アメリカ)

・作品名:Audi Mind Race
・作者名:Antiloop (スペイン)

・作品名:Guided Hand
・作者名:Yeliz Karadayi(アメリカ)

・作品名:GRAFFITI BOT
・作者名:GRAFFITI BOT(タイ)

・作品名:Quartz
・作者名:Daniel Sauter and Jaskirat Randhawa(アメリカ)

・作品名:VOLLY - Your voice in rolling ball
・作者名:VOLLY project (日本)

・作品名:JUNO
・作者名:Nitisha Jaiswal (アメリカ)

・作品名:News Globus
・作者名:News Globus Team(デンマーク)

・作品名:表面素材交換可能ディスプレイ(Leaked Light Field)
・作者名:高澤 和希(日本)

・作品名:Cilllia
・作者名:Jifei Ou (アメリカ)

・作品名:READY TO CRAWL
・作者名:杉原寛(日本)

審査員コメント

田中 浩也(審査委員長)

慶應義塾大学環境情報学部教授、SFCソーシャルファブリケーションラボ代表

「Fab」の定義(あるいは含意)を、単に「デジタルファブリケーションツールを使うこと」と狭くとらえてしまったなら、3Dプリンタやレーザーカッターがこれだけ一般的になった現在、これ以上の大きな発展はあまり見込めないだろう。しかし、実際に「ファブ施設」周りで世界中で次々と起こっているプロジェクトの裾野は広大だ。
“既存”の3Dプリンタやレーザーカッターがあくまで手段のひとつとしか使われていないのは当然として、販売されている既存の工作機械を超える“自作”3Dプリンタやデジタルファブリケーションツール、ArduinoやRasberry Piなどの電子回路、多様な新素材、伝統的な工芸との融合など、世界にある「ほぼあらゆる」技術や技芸が総動員され組み合わさり、新たな創造が生まれているのである。では改めて「Fab」とは何だろうか? 多様なプロジェクトの間にある共通性をひとつだけあげるならば、「デジタル(情報世界)とフィジカル(物理世界)の往復と連携の模索」ではないか。これを「Fab」の(ひとまず現時点での)定義として呼び掛けてみたい、というのが、YouFab2016が始まった時点で私が考えたことだった。

その後アワードを通じて、「デジタル(情報世界)とフィジカル(物理世界)の往復と連携」は「技術」のレベルに限らないことが改めて浮かび上がってきた。たとえば「感性」のレベルで、「デジタル的な軽さと、フィジカル的な重さ」をどう共存させるか。「価値」のレベルで、「デジタルによって生まれる“新しさ“と、改めて問い直される“古さ“」をどう掛け算するか。あるいは「思想」のレベルで、「デジタルによって生まれるグローバルなデータフローと、フィジカルがもつローカルの地理的な制約」をどこで止揚させるか。そんな、真逆/対極にあるモノゴトを、何かを「つくる」ことによって「つなげて」いきたいという想いにあふれていたのである。

こうした、「つくること」と「問うこと(問い直すこと)」が合体した「模索、実験、試行錯誤」の日常化こそが「Fab」の真骨頂であり、理想である。われわれは、つくることで問うことができるようになり、「つくる」という実践を行えば、机上で問うのと異なり問い自体を問い直し、スピンアウトさせ、他者との関係を構築することもできる。その意味で、Fabは、「Manufacturing (製造)」とは異なる、「つくることの価値」の再検討を表す概念といえるのではないか。Fabでつくられるものはやはり、制作者の「分身」なのではないか。

YouFab2016では、「カテゴリー」ごとの募集をやめたことから、Fabの現在形がより鮮明に表れる結果となったように思う。Fabはまだまだ終わらない。「3Dプリンタやレーザーカッター=Fab」から卒業できたことが、今年の最大の成果であっただろう。さて、次にどこにいけるだろうか。

四方 幸子(クリエイティヴキュレーター)

Fabが成熟・洗練し、Fab2.0の時代に突入したことを強く感じた。複雑かつ有機的、より触覚的で「なめらか」さが前面に出てきたという印象である。とりわけガーメント(身体に纏うもの)、エコ、バリアフリー、バイオミミクリなどにおいて突出したものが目立った。Fabは広く異なる知覚や立場の人々、ひいては人間を超えたものの知覚を疑似体験し共有する場を提供しつつある。夢のようなアイデアと実践的な社会の問題解決というソーシャルな側面は、今や両立する。開発においても、異なる専門家がコラボによりプロトタイプを公開し、フィードバックを取り入れるというオープンな方法がますます活発になっている。と同時にFabの原点に立ち返り、ユーモアや批評性をもつエントリーに際立つものがあった。全体にプロダクトや産業系のものが多く、アートやハック系が少ないのは時勢的なものなのか。審査は、いくつかのエントリーに評価が集まり、おおむねスムーズに進んだ。多様な作品の応募があり、全体的にレベルが高かったが、とりわけ学生のレベルの高さが印象的に残っている。

Kyle Li(パーソンズ美術大学 プログラムディレクター)

審査の過程で、国や文化を超えたデジタルファブリケーションのシナジーを感じることができました。メイカームーブメントは物をつくる方法に革命を起こし、YouFabのようなグローバルアワードは文化交流の融合を起こし、独創的な考え方を後押ししています。今後、Fabの定義は、より優れた直感的なツールや、AIによって進化し続けるでしょう。そして近い将来、よりダイナミックで効率的に、クリエイティブな作品が作られるようになるでしょう。応募者のみなさんが生み出した、あらゆる創造性と前向きなエネルギーに感謝します。私たちのルーツであるものづくりを続け、未来のメイカーを目指し、この素晴らしい冒険を続けましょう!

Singh Intrachooto(建築家、OSISUデザインプリンシパル)

YouFab Global Creative Awards はデジタルファブリケーションに留まらず、その先を見据えていると感じます。
今年の参加者はとても多様で洞察力があり、順位をつけるのがとても難しく感じました。Fabというコンセプトを提唱したニール・ガーシェンフェルド教授がいうように、FabというのはFabrication(ファブリケーション)ではなく、Fabulous(素晴らしい)!という言葉を表していると思います。
YouFabの作品の多くは、単に作品を作るというのではなく、デジタル技術によって、社会構造を結び付けています。科学や工学の分野で取り組んだ作品もあれば、人間的で心に訴えるような形で取り組んだ作品もありましたが、どちらにしても、どの作品も私たちに幸せと好奇心を与えてくれました。今回のYouFabでは、幅広い社会的な側面においてアート、デザイン、科学や工学といった要素が組み合わさり、問題解決や未来の技術に向けた画期的な発想で溢れていると感じました。受賞された方々、おめでとうございます。そして、これからもたくさんの作品を楽しみにしています。

Nicolas Lassabe(Artilect 共同設立者、ORCAS共同設立者)

YouFab2016の審査員ができて光栄です。応募作品は年々レベルが上がっており、そのクオリティの高さに感心させられました。参加者のみなさんの創造力を称えたいと思います。YouFabは、デジタルファブリケーションを誰でも創造することができ、革新的なモノづくりができることを見せてくれます。この挑戦はモノづくりの文化を見せる場であり、デジタルファブリケーションが普及する中で、他とは違った物作りができることを見せる場となりました。今年のYouFabがきっかけとなり、もっと多くの人々が参加したり、或いは単に「自分でやろう」と思う人が増えることを願っています。

Natalia Arguello(コンサルタント)

YouFab2016の審査員を務めることができ光栄に思っています。「デザイン」「アート」「テクノロジー」が交わる場所で生まれた創造力や情熱を目の当たりにして、とてもワクワクしました。このようなアワードは、経験の長さにかかわらず、新しいテクノロジーやツールを使うことで、デザイナーは日々の問題を解決できるものということを示してくれます。この一年間のチャレンジは確実に、デザインの実践とデザイン界を向上させることでしょう。皆さんの今後の活躍も期待しています。

ヤマハ賞審査員コメント

川田 学(ヤマハ株式会社 デザイン研究所 所長)

人工知能の時代といわれる昨今だが、AIが他者の感情を理解したり、深く感動したり、やる気に溢れたりするのは、実は相当難しいらしい。今回のヤマハ賞「エモーションのスイッチ」は今ドキの技術を駆使して、人間らしい感情の領域に踏み込もうとする挑戦的なテーマだったのかもしれない。生活者にとって身近で切実な問題を解決したり、世の中をもっと便利にしてくれる道具の提案よりも、人々のエモーションを揺さぶるアート系作品が有利かなあ、なんて漠然と想像していたが、その予想は見事に裏切られた。「エモーション」を非言語コミュニケーション全般に捉えたり、脳波として計測可能と見なしたり、それは人間らしさだと考えてみたり。一方「スイッチ」は押す側からも押される側からも様々なアプローチが存在し、そのどれもが面白く解答の多種多様ぶりに感嘆の連続であった。
そんな中で我々が最終的に選んだ作品が『OTON GLASS』である。意外に思われるかもしれない。結局ヤマハは音に関する作品を選ぶのか、と思われる方もいるだろうが聞いて欲しい。この作者は大変誠実に、突然の病いで文字解読が困難になった自分の“お父ん”の為に「その人が見ている文字を認識し自動で声に変換してくれるメガネ」を開発した。応募動画で「エモーションのスイッチ」を強調する箇所は全くなかった。しかしながら、読みにくい文字に目を凝らしているとき、自分の耳だけに声で語りかけられた被験者達の表情は輝いており、視覚と聴覚のミックスによる新たな体験とそれがもたらす心の動きに、我々は非常に大きな可能性を感じたのだった。
大変に実用的な道具であり「楽譜を見たら歌ってくれるメガネ」にもなるだろう。「しっかり太い文字は威圧的に、小さな字は囁くように」情緒的に語ってくれるかもしれない。『大真面目な新聞記事を落語家のように聴かせてくれる』ことも可能だろう。漫画の台詞はどうなるだろう?と、ヤマハ技術陣の妄想は加速している。『OTON GLASS』に我々が加わることで一体どんな「エモーションのスイッチに発展するのか、僕は楽しみで仕方がない。

畑 紀行(ヤマハ株式会社 研究開発統括部 新規事業開発部 VAグループ リーダー)

「エモーションのスイッチ」というテーマに、うれしいことに多くの応募をいただいた。もう感謝しかない。個人的には世界中の日常をもっと楽しくしたいという野望があるのだが、そのタネになるようなスイッチを探していたのだと思う。OTON GLASSはそんな多くのスイッチ達の中で妙に異質だった。心に刺さったのは、OTONという完全に絞られたターゲットへ向けた価値提案の美しさ、そして大いなる愛情。これ以上無いくらいに分かりやすく実用的なそれは、非常に悩ましい存在だった。想定と違いすぎる。何しろもっとアーティスティックで難解なもののはずだったのだから。しかしこれを再解釈したい。世界中の日常をもっと楽しくするスイッチに化けさせたい。そんな想いもまた止まらなかった。気が付けば自分のエモーションのスイッチはカッチリと深く押されていた。

YouFab Global Creative Awards 2016 協賛スポンサー

株式会社ロフトワークについて

ロフトワークは、オープンコラボレーションを通じて、Web、コンテンツ、コミュニケーション、空間、イベントなどの「デザイン」を手がけるクリエイティブ・エージェンシーです。
2万3千人のクリエイターが登録するオンラインコミュニティ「ロフトワークドットコム」、グローバルに展開するデジタル工作機械を備えたクリエイティブなものづくりカフェ「FabCafe」、クリエイター向けコワーキング施設「MTRL KYOTO(マテリアル京都)」、クリエイティブな学びを加速するプラットフォーム「OpenCU」を運営。
世界に広がるクリエイティブコミュニティと共創することで、幅広いサービスを提供しています。

会社概要

  • 社名:株式会社ロフトワーク
  • 本社所在地:〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂 1-22-7 道玄坂ピア9F
  • 設立:2000年2月17日
  • 資本金:26,875,000円
  • 代表者:代表取締役社長  諏訪 光洋
  • 事業概要:Webサイト構築、デジタルコンテンツ開発、Webサービス運営、カフェ運営
  • 連絡先:TEL:03-5459-5123 FAX:03-5489-6667

お問い合わせ

  • 株式会社ロフトワーク パブリックリレーションズ
  • お問い合わせ時間 10:00~18:00(土・日・祝祭日を除く)
  • TEL:03-5459-5123
  • pr@loftwork.com

採用情報

  • 東京・京都・台湾オフィスでメンバーを募集中です。詳しくは採用ページをご覧ください。

コメント

blog comments powered by Disqus