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loftworkers vol.15 入谷 聡

東京大学で土木工学を専攻し、卒業後はWeb解析専門のベンチャー企業やNPO職員を経て、2012年にロフトワークに合流。ロフトワーク烏丸でクリエイティブディレクター兼、「プロジェクトデザイン」推進担当 兼、ファシリテーションエヴァンジェリストとして働く傍ら、自身のブログ「It’s Real Intellogence!7+」に記した解説記事「早稲田大学のサイトリニューアルはなぜスゴイのか?」がヒットするなど、多才な入谷聡。ロフトワークきっての理論派キャラでもある彼には、しかし、ひとつの秘密があります。

「実は私、ゲーマーなんです」

情報を整理し、本質的な目的を探る。 その時間が、一番楽しい。

保育園行事のKPIとPDCAサイクル」―――――。京都烏丸でディレクターとして働きながら、子育てにも積極的にコミットする入谷。昨年、彼のブログ「It’s Real Intelligence!7+」にはこんなタイトルの記事がアップされました。記事の内容は、自身の長女が通う保育園で行われたバザーの運営手法や満足度を、定量的な数字などから分析したもの。ロフトワークメンバーからも「実に入谷らしい!」という称賛の声(と笑い)が巻き起こった記事ですが、仕事・プライベート問わずとことん理詰めで考え、実験し、フィードバックを繰り返すのが入谷の「習性」なのかもしれません。

数値で目標設定を行い、数値で振返る。なんと「負担だった」が半減し、かつ「楽しかった」が20ポイント以上も改善。

「ひとつの課題に対して、他の人がまだ書いていなかったり気付いていなかったりすることを詳しく調べて書くことが、昔から好きなんです。Webディレクションやプロジェクトデザインに関わる時も、まだホームページでは表現されていないけれど、実はものすごい魅力が潜んでいるケースがあります。それを見つけた時に喜びを感じるんですよね。クライアントの持つ情報や課題を整理し、議論を交わしながら、本質的な目的や伝えるべき魅力を探り出す時間が一番楽しいと感じます。ロフトワークに惹かれたのは、そうしたプロジェクトを数多く、しかも体系立てて進めていけるからです」

情報を整理し、本質的な目的を探り、その後の指針を定める。それが入谷にとって「一番楽しい時間」。こうした楽しみを最大化するための“修行”の数々も、入谷らしさを物語るエピソードです。

「たとえばクライアントの課題を正確に引き出すためには、インタビュースキルが欠かせないと思うんです。そのために、5泊6日にもわたってインタビューの特訓をするワークショップに参加したり、自分のインタビューメディアを作ったりしたことも……。そんな経験を通じて学んだのは、インタビューの前提となる情報や条件を事前に勉強しておくことの大切さ。なるべく「読めばわかる話」は省略してもらうことで、限られた時間のなかでもっと先の話ができるようになるんですよね。だからクライアントにインタビューする時には、事前に調べられる情報をとことん頭にたたき込むようにしています。」

インタビューだけでなく、Webサイトの設計図となるワイヤーフレームの作成についても、入谷なりの“修行”方法があるのだとか。

「ワイヤーフレーム模写の100本ノックですね。ロフトワークの班活動にもなったのですが、良質なWebサイトの情報構造だけを抜き出して、ひたすら写経のように模写するという“修行”です。延々と書き写していると、サイトの全体構造やパーツごとの役割をすごく意識するようになるんですよね。その結果、いろいろな気付きがありましたし、とても良いトレーニングでした」 5泊6日のインタビューワークショップやワイヤーフレーム100本模写……。一見、過剰にも思えるこれらの“修行”ですが、入谷は「楽しかったですよ」。さらりと笑います。

最大限のロジカルな思考。 クリエイティブの飛躍を生むために。

感覚や感情に訴えかけるクリエイティブは、理論や言葉では表現できない「感性」の世界だと思われがちです。けれど、「クリエイティブはクリエイターにしかわからない」と言語化を諦めてしまっては、よりよいプロジェクトのゴールにはつながりません。ロフトワークがプロジェクトマネジメントの知識体系「PMBOK」を積極的に取り入れてきたのは、クリエイティブの言語化に挑戦するべきだと考えたから。もちろんセンスや感性という”飛躍”は重要なエッセンスです。でもそれを引き出すためにも、土台となるロジックを曖昧にしてはいけません。入谷も、そんなロフトワークの哲学を体現するひとり。

「要件定義や設計は、あくまでもプロジェクトの途中行程。最終的にクライアントの持つ価値を上手に表現するためには、理詰めのレベルからさらなる“飛躍”ができる優秀なクリエイターが必要です。ロフトワークは多くのクリエイターの方と仕事をしていますが、才能あるクリエイターを新たに開拓するのも大好きです。特に烏丸では、関西ローカルのクリエイターと対面でコミュニケーションを取りながら、プロジェクトを進めていくことを大切にしています」

そんな入谷のスタンスが発揮されたのが、京都に拠点をおく環境コンサルティング企業「アミタ」のコーポレートサイトリニューアルプロジェクト。ホールディングスと事業会社の情報が混在していたサイトを整理し、同社の持つ魅力や特徴的な取り組みをわかりやすく発信するサイトを作ったことで、それまで年間数件しかなかったサイト経由の問い合わせが10倍以上に。デザインを手がけたのは、同じく京都四条にオフィスを構える”Caramel”でした。

事例:アミタホールディングス株式会社 コーポレートサイトリニューアルより

「訴求したい内容をきちんと整理し、ビジネスという結果につなげること。力のあるクリエイターを発掘し、良い“飛躍“をしてもらうこと。やりたいことが全部詰まったプロジェクトだったので、目に見える成果が出たことが本当にうれしかったです」

Web制作は100面まであるゲームのようなもの。

日々、“修行”を続け、若きクリエイターを開拓するために“行脚”する入谷。決して楽には見えない道を活き活きと歩む彼の源泉にあるものとは何か。そう訊ねると、入谷は即答。

「私、ゲーマーなんです。特にシミュレーションゲームが好きなんですけど、クリアできそうもないレベルをどうやったらクリアできるようになるのかを考えるプロセス自体が、喜びの基本にあるんだと思います。もちろん仕事やプロジェクトをゲームと思って軽く扱っているわけでは決してありません。けれど、向き合うアプローチとしては、与えられた制約条件のなかで最大限の成果を目指すという点で、共通していると思うんです。負けず嫌いなので、条件が厳しい“ハードモード”をクリアしたときの達成感は大きいです」

複雑で大規模なプロジェクトでも、「ゲーマー魂」で楽しむという入谷。では、難易度がそれほど高くないプロジェクトの場合は、どこに喜びを見いだすのだろう。

「簡単な仕事なんてひとつもありません。ただ、もしもさらに色々なことができるプロジェクトだなと感じたら、新たな挑戦を組み込むこともできますよね。たとえば、納品までのスケジュールを短縮したり、コストを圧縮したり、最新のシステムを採用したり……。これらは当然、クライアントにとってもメリットになること。常にプロジェクトのゴールをより良い形で達成するのが目的ですが、とにかく、Web制作にはチャレンジポイントが本当にたくさんあるんですよ。喩えるなら、数百ステージもあるゲームというか……。まだまだ序盤戦、この先もずっと楽しめそうです」

ロジカルな思考力をベースに、ゲーマー的探求心でひとつひとつのプロジェクトに挑戦する。そんな入谷のスタイルは、多彩な個性が集うロフトワークのなかでも、ひときわユニークなものと言えるのかもしれません。

ちなみにシミュレーションゲームでは『三国志』が好きだという入谷のお気に入りの武将とは?

「やっぱり諸葛亮孔明です(笑)」

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loftworkers vol.15

Satoshi Iritani

クリエイティブ入谷 聡

ロフトワーク京都でWebサイト制作プロジェクトを主導するクリエイティブディレクター。堅実なプロジェクトマネジメントを得意とする、ロフトワークきっての理論派。優れた情報整理能力と洞察力・言語化スキルで数々のクリエイティブを飛躍させてきた。PMI認定PMP(*)。1児の父。